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掲載日:2022年3月30日
Q 西山淳次 議員(公明)
言うまでもなく、地球温暖化は人類の生存基盤に関わる最優先課題の一つであります。よって、質問が少々長くなろうかと思いますが、御理解ください。
地球温暖化対策の国際的な枠組みであるパリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2度より十分低く抑え、1.5度に抑えることを目標とし、そのために国際社会は、2050年までに世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすること、つまり脱炭素化を目指しています。2050年に温室効果ガス排出実質ゼロという人類共通の目標を達成するには、2030年までの10年間が決定的に重要です。その2030年の目標として、現在我が国が掲げているのは、2013年比で最低でも46%の温室効果ガスの削減です。これが達成できれば、2050年への光明も見えてくるでしょう。もしできなければ、前途に暗雲が立ち込めることになります。私は、私たちの世代の責任として、この目標は何としても達成し、次世代にバトンタッチをしたいと念願をしております。
さて、2030年までの10年間を計画期間とする現行の埼玉県地球温暖化対策実行計画(第二期)の削減目標は、2013年比で26%、国の目標である46%とは20%もの大きな隔たりがあります。国の新たな目標設定を受け、本県も急きょ計画の見直しを始めていますが、どうやってこのギャップを埋めていくのかが問われております。
当然のことですが、本県の温暖化対策を進めるには、できるだけ多くの県民事業者に協力していただくことが重要です。本県はまだ、2050年での脱炭素化、いわゆるカーボンニュートラルを宣言していない数少ない県になってしまいましたが、その意味でも温暖化対策の重要性を県民に強くアピールし、一人ひとりの意識改革と行動変容を促す必要があります。
そこで、カーボンニュートラル宣言を含め、各種イベントの活用や広報強化など、温暖化対策への県民意識を高めるために知事が先頭に立って取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、本県が温暖化対策を具体的、効果的に進めるには、オール県庁で取り組む必要があります。2030年の目標達成に向け、あらゆる部門があらゆる政策立案、事業執行の段階で、温暖化対策という観点を念頭に置くべきです。今後、本県の政策立案、事業執行に、温暖化対策という横串を通すことについて、知事の見解を伺います。
さて、先ほど申し上げた本県の地球温暖化対策実行計画の見直しでありますが、まずは、2030年の目標設定は、国の目標である46%以上と考えてよろしいでしょうか。また、その目標達成のための新たな対策としてどのような取組を検討しているのか、知事に伺います。
脱炭素化を目指すには、再生可能エネルギーの利用拡大は必須要件です。国は、2030年のエネルギー基本計画において、再生可能エネルギーの割合は36から38%を目標としています。これは、2019年度実績の18%を少なくとも倍増しなければならない目標です。経済界は、既に脱炭素サバイバルの時代に入ったとも言われ、再生可能エネルギーの利用は、企業の生き残りのための必須要件になりつつあります。
そこで、今後、県民や県内事業者の再生可能エネルギー利用拡大を県としてどう進めていくのか、知事の考えを伺います。
一方で、温暖化対策として見逃せない重要なもう一つの対策は、省エネであります。エネルギーの使い放題を前提にしないで、エネルギーの消費量そのものをできる限り減らすことは、脱炭素化に向けて大変に重要です。この省エネに県としてどう取り組んでいくのかについても、知事に伺います。
次に、埼玉県庁自身の取組について伺います。
埼玉県の部局別の温室効果ガス排出量の現状は、下水道局が約6割、水道事業を行う企業局が約2割と、この2部門で全体の約8割を占めています。県庁自身が脱炭素化に向かうには、この2部門の責任と役割は大きいと言わざるを得ません。上下水道という生活インフラを担う両部門には、安定した事業運営を行いつつ、大幅な温室効果ガス削減を行うという困難な課題が待ち受けていますが、是非頑張っていただきたい。下水道事業管理者と公営企業管理者それぞれに、2030年の削減目標及びその目標達成に向けた取組について伺います。
あわせて、本庁舎や地域機関、各種県有施設など県管理の公共施設に対する目標と取組についても、知事にお尋ねいたします。
加えてですが、本県の公共事業の発注や物品の調達についても、徹底したグリーン調達を行っていくべきです。この点についても、知事からお答えください。
もう1点でありますが、コロナ禍で大きなダメージを受けた飲食、観光などの分野に対する支援策に、グリーンな視点を盛り込むことはできないでしょうか。今後、感染状況が落ち着いてくれば、「とくとく埼玉!観光応援キャンペーン」など各種支援策の再開が期待されます。その際に例えば、観光に自家用車ではなく公共交通機関を使うと更にお得になる、あるいは飲食店への支援事業では、お弁当などのテイクアウトにプラスチック容器を使わないようにする、環境に配慮し、ごみを出さないイベントにするなど、環境負荷を減らす誘導策を県で用意し、事業者と利用者の双方にグリーン意識を持ってもらうのです。お考えを伺います。
A 大野元裕 知事
県民意識向上のための知事の取組についてでございます。
地球温暖化対策は、正に「待ったなし」の課題であり、国では2030年までに温室効果ガスを46%削減する極めて野心的な目標を掲げました。
この目標を達成するためには、国はもとより、地方公共団体、事業者、国民が一丸となって取り組むことが求められます。
県としても、カーボンニュートラルの実現に向け、多くの事業者や県民の協力を得ていくことは大変重要と考えております。
私はかねてから申し上げているとおり、事業者や県民の皆様にお示しする新たな削減目標は、裏付けのある取組をもって設定する必要があると考えております。
削減の中で最も大きな分野を占める発電部門等については、国の方向性なしに決定することはできず、宣言だけで終えるようなことは決してあってはならないと強く感じています。
このため、カーボンニュートラル宣言をも視野に入れつつ、2030年度を目標年度とする県の地球温暖化対策実行計画の見直しについて全庁を挙げて進めているところでございます。
こうした見直しを進めていく中で、先月も、環境省主催の地域脱炭素施策に関する会議において、山口環境大臣と県の課題や取組について直接意見交換するとともに、自らも取り組んでいるところです。
今後、県の実行計画の見直しを鋭意進め、事業者や県民の皆様に具体的な温暖化対策の方向性を示しながら、先頭に立ってその重要性をアピールしてまいります。
次に、政策立案、事業執行に温暖化対策という「横串」を刺すことについてです。
現在、県の地球温暖化対策実行計画の見直しを進めておりますが、地球温暖化対策は全庁の課題であり、全ての部署で取り組むよう指示いたしました。
そこで、庁内に部局横断のプロジェクトチームを立ち上げて検討を行い、先日各チームからの報告を受けたところであります。
2050年脱炭素社会の実現に向けて、今後の施策展開や事業執行に当たっては、温暖化対策という「横串」を刺すことを意識してまいります。
次に、本県の目標設定は国の目標である46%以上と考えてよいか、また、その目標達成の新たな対策としてはどのような取り組みを検討しているのかについてであります。
46%の目標達成には、多量に温室効果ガスを排出する発電事業者に対し脱炭素化に向けた取組を促すなど、エネルギー政策をつかさどる国の果たすべき役割が大きいと考えています。
本県といたしましても、これまで実施してきた各部門における削減対策の強化はもとより、エネルギーの供給面など、あらゆる視点からの検討が必要と考えます。
その上で、県の新たな目標は、国の削減目標である46%以上としたいと思います。
他方、私は、裏付けのある取組をもって新たな削減目標を設定する必要があると考えており、施策の検討と合わせて、学識経験者や産業界の関係団体などの御意見を伺いながら削減目標を設定してまいります。
目標達成の新たな対策については、これまでにない視点からの検討も必要です。
例えば、エネルギーの効果的な活用には、コージェネレーションシステムなどによるエネルギーの面的利用が有効であり、そのためにはまちづくりを進める段階からその導入を検討する必要があります。
また、再生可能エネルギーの利用には、気象予測や需給データの解析、仮想発電所いわゆるVPP技術を使ったエネルギーの需給調整やAIやIoTなどのデジタル技術の進展や活用が欠かせません。
このようなことから、まちづくり、DX、脱炭素、この3つを三位一体で進められるような施策についても、埼玉版スーパーシティプロジェクトをはじめ検討してまいります。
次に、県内の再生可能エネルギー利用拡大の推進でございます。
再生可能エネルギーの利用促進は不可欠でありますが、一方、その導入コストが高いという課題もあります。
その利用拡大には、県民や事業者の皆様に、脱炭素社会実現の必要性を正しく理解していただくとともに、その導入に当たりインセンティブを高めることが重要と考えています。
また、世界が脱炭素社会実現を目指す中で、サプライチェーン全体で再生可能エネルギーの導入に取り組む大企業が増えています。
今後、県内中小企業に対し、事業で使用する電力を、再生可能エネルギーに切り替えること等を求められる動きが、更に加速することも予測されます。
そこで県では、中小企業を対象に、太陽光発電や太陽熱、地中熱などの再生可能エネルギー導入に当たり、補助による支援を行っています。また県民の皆様には、発電した再生可能エネルギーを貯め、いつでも利用していただけるよう、蓄電池への補助も行っております。
さらには、国においてエネルギー需給調整などデジタル技術を用いた様々な実証実験が行われており、このような取組に対しても、県内の事業者と連携し参加を検討してまいります。
次に、省エネの取組についてであります。
2050年脱炭素社会の実現に向けては、EVの推進など、ますます電化が推進され、その使用量が増大することが予想されます。
国際エネルギー機関(IEA)の推計でも、2050年には2020年比で2.6倍の発電量が必要になるとされています。
増大する電力の需要に応じて再生可能エネルギーを供給することは相当困難であり、徹底した省エネは不可欠です。
県全体の温室効果ガス排出量のうち産業・業務部門で約4割を占めております。
この部門における省エネの取組として、本県では目標設定型排出量取引制度を平成23年度から取り組み、令和元年度では事業者ごとに設定した基準排出量との比較で約31%の削減を達成しています。
特に、中小企業に対しましては、従来の省エネ診断や補助、融資の制度に加え、脱炭素化に向け計画的に取り組む事業者を重点的に支援する補助を拡充してまいります。
また、日本の最終エネルギー消費のうち直接的な電力としての利用は26%で、残りの70%以上が化石燃料を用いた熱利用と言われています。
他方で、投入された一次エネルギーのうち6割以上が最終的に熱として廃棄されており、未利用の熱エネルギーの活用は避けて通れない課題と認識しています。
現在、県では、工業団地におけるエネルギー利用の調査を実施しており、エネルギー事業者と連携し、複数工場間での熱の共同利用や、コージェネレーションシステムなどの導入による電気・熱の効率的な利用を検討してまいります。
次に、県管理の公共施設に対する目標と取組についてです。
私は、県民や事業者の皆様に高い削減目標を示すには、まず、県庁自らが姿勢を示すべきと考えております。
そのため、先ほど申し上げた県全体にかかる実行計画の見直しの前に、県庁の事務事業を対象とする実行計画の見直しを先行して行っております。
県庁の事務事業を対象とする2030年の新たな削減目標は、県民や事業者に求めている目標を踏まえれば、少なくとも同等以上とすべきと考えております。
県庁が高い削減目標に向かって取り組んでいくためには、全ての職員が温暖化対策を自分ごととして捉え、意識、行動を変えていくことが何より重要です。
ペーパーレス化を端緒としたDXによる一人ひとりの働き方改革や、施設単位での温室効果ガス排出量の見える化、施設改修・更新等による高効率設備の導入などに取り組んでまいります。
次に、本県の公共事業の発注や物品のグリーン調達についてであります。
県では、グリーン購入法に基づきグリーン調達推進方針を定め、物品の調達、役務の契約等に当たっては、環境負荷が少ない製品やサービスを優先的に行うようにしております。
この方針には、使い捨てプラスチック製容器の原則不使用など県独自の取組も定めており、県庁の事務事業を対象とする次期実行計画にもしっかりと位置付け、より徹底を図ってまいります。
野心的な削減目標の設定と目標達成に向け、県庁ワンチームで取り組んでまいります。
次に、飲食、観光などに対する支援策にグリーンな視点を盛り込むことについてでございます。
昨年9月に開催した「強い経済の構築に向けた埼玉県戦略会議」においても、ウィズコロナ・ポストコロナの経済雇用対策を検討する中で、国、県、経済・産業界の関係機関が連携をし、カーボンニュートラルを推進していくことが決定されました。
2月15日には、関東経済産業局が中心となって主催し、県内経済団体や金融機関に呼び掛け、カーボンニュートラルに関する動向や取組の方向性、支援策など基礎的な内容の理解を深める勉強会を実施するなど、連携強化の取組を進めております。
県といたしましても、企業のカーボンニュートラルに関する主体的な取組を促すため新技術・新製品の開発に関わる経費を補助いたします。
御提案いただきました観光分野につきましては、事業者支援のための感染症収束後に開始する観光応援キャンペーンについて、旅行代金割引支援の一部の対象を観光バスや公共交通機関の利用に限定するなど、脱炭素にも配慮をしてまいります。
また、県主催の会議やイベントにおけるプラごみゼロや県庁売店における使い捨てカトラリーの利用辞退などを進めており、社会全体にグリーン意識が浸透していくよう、こうした取組を引き続き推進してまいります。
あらゆる行政分野の推進の中で脱炭素社会実現を意識し、持続可能な埼玉県の実現に向け、私が先頭に立って取り組んでまいります。
A 今成貞昭 下水道事業管理者
「下水道局の2030年の削減目標について」でございます。
下水道局では、県人口の約75%の下水を処理しており、その結果、県庁全体の約6割を占める温室効果ガスを排出しております。
その削減は、大変重い課題であると受け止めるとともに、責任の重さを痛感しております。
下水道局といたしましては、国の目標を踏まえ新たに策定される県の目標値を上回る削減を目標に、鋭意取り組んでまいります。
次に、「目標達成に向けた取り組みについて」でございます。
下水処理では、微生物の活動を活発化するための装置に多くの電力を使うため、その設備の更新に当たっては、省エネルギー性に優れた機器を導入し、消費電力の削減を図っております。
例えば、反応タンクにおける空気をより細かくし、水に溶けやすくする超微細散気装置の導入を進めております。
汚泥の処理では、昨年11月に中川水循環センターで全国最大級の汚泥消化施設が稼働したところでございます。
この施設は、汚泥の焼却量を半分にし、温室効果ガスの排出を大幅に減らすことが可能であり、他の水循環センターへの導入についても積極的に進めてまいります。
また、汚泥の焼却時の廃熱を活用した発電機能を有する焼却炉を荒川、新河岸川、元荒川の各水循環センターにおいて令和5年度から順次導入してまいります。
さらに、これまでベテラン技術者の経験に頼ってきた水処理の運転管理をAI技術に置き換える取組も、現在進めているところでございます。
昨年7月には、これらの対策を更に加速するため、下水道局内に流域下水道地球温暖化対策実行委員会を立ち上げ、局を挙げた体制を整備いたしました。
今後とも下水道局の持てる力を結集し、目標達成に向け温室効果ガスの更なる削減に取り組んでまいります。
A 北島通次 公営企業管理者
「企業局における2030年度の削減目標について」でございます。
議員ご指摘のとおり、目標達成に向け、県として温暖化対策を具体的、そして効果的に進めるためには、オール県庁で取り組む必要があると考えております。
企業局といたしましても、国が46%の削減目標を掲げていることを踏まえ、県の目標達成に資するよう知事部局や下水道局とともに力を尽くしてまいります。
次に「目標達成に向けた取組について」でございます。
企業局の温室効果ガス排出量の97%は、浄水場等における電力消費によるものです。
このため、企業局単独の排出量は、供給される電力の電源構成比率の影響が大きく、国の計画の達成状況に大きく左右されるところでございます。
一方、企業局といたしましては、県庁全体の削減目標の達成に主体的にかかわり貢献するべきと考えており、削減目標の基準年度となっている2013年度以前から、温室効果ガス排出削減に向け様々な取組を実施してまいりました。
例えば、各浄水場では2008年度以降、電力使用量の多いポンプに、エネルギーロスの少ない回転数制御設備を導入するなど、省エネルギー対策を順次進めております。
また、行田浄水場や吉見浄水場に、国内の浄水場では最大級の太陽光発電設備を導入するなど、再生可能エネルギーへの転換を図るための投資を行ってまいりました。
昨年9月には、新たな対策を検討するため、局内に技術系の若手職員を中心としたプロジェクトチームを設置し、水道施設等を活用した小水力発電の可能性などの検討を始めています。
企業局といたしましては、自らの事業が県庁の排出量の約2割を占めているという責任を自覚し、更なる省エネルギー対策の推進に加え、環境負荷の少ない電力の調達に一層努めてまいります。
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