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掲載日:2022年3月30日
Q 西山淳次 議員(公明)
私は、昨年の代表質問で、コロナの出現を「風の谷のナウシカ」の物語になぞらえた論考を紹介し、コロナ禍が意味するものは何かと知事に問いました。コロナの出現は、自らの欲望のままに自然を征服し、壊し続けてきた人類のおごりに対する自然からのしっぺ返しであり、警告であるというのが私の問題意識だったからであります。1年がたち、ますますその思いは強くなっております。
「あなたたちは、一体、このままでよいのですか」。2020年代の初頭、全地球的な規模で、医療だけでなく、社会経済に、そう、社会経済にも甚大な影響を与えている新型コロナウイルスは、人類にこう語り掛けているような気がしてなりません。
もしこの警告を無視し続けたならば、その先に待っているものは何でしょう。それは、破局という取り返しのつかない事態になる可能性が高い。これは、私が勝手に言っているのではありません。既に人類の第一級の知性が繰り返し訴えてきた警告なのであります。
今から50年前の1972年、「成長の限界」と題されたレポートが民間シンクタンクのローマクラブによって発表されました。同レポートは、ローマクラブの委託を受けたマサチューセッツ工科大学の研究者らが21世紀の人類社会の姿をシミュレーションしたものです。その結果は、驚くべきものでした。「人口増加や環境汚染などの傾向が続けば、遅くとも100年以内に地球上の成長は限界に達し、破局を迎える。一刻も早い方向転換を」と呼び掛けたのです。このレポートは、大きな反響を巻き起こしました。一部に「成長の限界」の予言は外れたとする向きもありますが、資源持続性への移行を強調した炯眼と先見性は、今も色あせておりません。
また、文明史の研究で知られるジャレド・ダイアモンド氏は、著書「文明崩壊」の中で次のように語っています。「そう、私たちは今、持続不能に至る道を急ぎ足で歩いている。現在の子供たちや若者たちが生涯を終えるまでの間に、世界の環境問題は何らかの決着を見るだろう。問題は、それが自分たちの選んだ快適な方法による決着か、戦争、大量殺りく、飢餓、疫病、社会の崩壊など選ばざる不快な方法による決着かということだけだ」。
ほかにも、現代社会の在り方に疑問を呈し、その転換を促す有識者は決して少なくありません。コロナという未曽有の最悪に世界が見舞われた今こそ、私たちは、こうした英知に謙虚に学んでいくべきではないでしょうか。私たちは、本当にこのままでよいのでしょうか。今、方向転換ができなければ、私たちの子供や孫の世代で、世界は本当に破局を迎えてしまうかもしれないのです。
残された時間はそんなに長くはありません。この2020年代の10年間にいかなる方向付けができるかで、30年後、50年後の姿が決まります。その意味で、私は、この10年間は人類の分岐点となる極めて重要な10年間であると考えております。西山さんは、また随分大きなことを言うねと思われるかもしれません。私は一県会議員ですが、一県会議員が地球や人類の行く末を思い、議員として行動していくことがとても大切だと考えています。私たち一人ひとりが、そして、やがては多くの人々が意識と行動を変えていくことが、破局を防ぐ唯一の道だからであります。
大野知事、私は、昨年に引き続きコロナ出現の意味を問いたいと思います。そして、現在、私たちは人類史の大きな分岐点に差しかかっており、私たちの世代には大きな責任があると考えています。大野知事はどうお考えですか。私と見解が異なっていても全く結構です。大野知事の時代認識について、どうぞお聞かせください。
A 大野元裕 知事
昨年に引き続き、コロナ禍をはじめ現代社会が抱える様々な問題に対する幅広い示唆に富んだ御所見をいただきました。
今回のコロナ禍は、人々の意識や日常生活を一変させ、価値観をも大きく変化をさせました
これまでは当然のことと考えていた会社への出勤や商品の購入などであっても、以前とは異なる行動が求められました。
デジタル技術の活用とともにテレワークやオンライン会議、ネット購入などが普及し、県民の中に新しい働き方や暮らし方が着実に浸透してきております。
このように、人々が新しい考え方や生活様式を受け入れていく中で、古い習慣を捨て、新しい社会を迎えるという、社会生活の在り方そのものの変革が進んでいます。
ただ、このような短いスパンだけではありません。私は、知事選挙に際して以来、繰り返し主張しておりますが、埼玉県は大きな変革期にあり、目先の課題とともに、中長期的な課題に応える必要に直面しております。
我々は今、こうした大きな時代の転換点にいることを認識し、社会経済や人々の意識、行動における変化を的確に捉え、議員が指摘される「破局」に向かうことがないよう、新たな社会構造の構築に向けた変革に挑戦し続けることが極めて重要だと感じております。
私は、今回、コロナ禍の中で得られた知見に謙虚に学びつつ、新しい生活様式も生かしながら、押し寄せる社会の大きな変化に対応し、誰一人取り残さない持続可能な「日本一暮らしやすい埼玉」の実現に向け、引き続き、知事として、県政の発展に全力を尽くしてまいります。
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