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掲載日:2022年3月30日
Q 西山淳次 議員(公明)
障害者がサービスを受けようとする場合、相談支援専門員という資格者がサービスの利用計画案を作成します。この相談支援専門員は、介護でいうところのケアマネジャーに当たる重要な職種です。そして、相談支援専門員の養成は埼玉県の役割になっています。
先日、私は、県北のある市の相談支援専門員の方から、以下のようなお話を伺いました。
その市では、相談支援専門員が少ないので、計画を作る相談支援事業所が少なくなっている。結果的に特定の事業所に業務が集中し、一人の相談支援専門員が担当する件数が多くなっている。国の基準は、一人35件だが、100件以上担当しているのが実情だ。相談支援専門員は、本来あるべきサイクルの業務ができず、とりあえず更新の手続をこなすので手いっぱいの状況が常態化している。適切なモニタリングもできず、利用者の状況を定期的に把握できないので、そのサービスが当人に合っているのかどうか判断が下せない。
以上、相談支援事業が現場できちんと機能していないとの指摘でありました。こうした現状が起きる原因として、そもそも相談支援事業を開設する事業所が少ないということがあるようです。また、せっかく相談支援専門員の資格を取っても、相談支援事業を行わないケースもあると聞きます。
次に、相談支援専門員になろうと思っても、なかなか研修が受けられないという点です。相談支援専門員の資格は、一定期間以上の実務経験のある人が7日間の初任者研修を受けることで取得できますが、本県の初任者研修は年1回、委託を受けた民間団体が行っていますが、研修の人数枠は120人、応募要領が記載されている県のホームページには、「近年、本研修について受講希望される方が大幅に増えており、応募されても、一部受講できない方が出てしまう状況が続いています」と記載されており、受講者枠の早急な拡大が必要なのは明らかです。
そこで、知事に伺います。「本県の相談支援事業がきちんと機能していないのでは」との現場の声を受け、まずは県内の実情をしっかり把握した上で、相談支援専門員の養成、配置等をはじめ、相談支援事業の充実に本県として改めて取り組むべきと考えます。相談支援事業所に対する補助制度を創設した千葉市などの先進事例もあるようです。本県の相談支援事業をしっかりと機能させるためには、新たな取組が必要と思いますが、見解を伺います。
A 大野元裕 知事
障害者の方が地域で安心して生活するためには、適切な福祉サービスを受けることが重要です。
障害福祉サービスについては、市町村が実施主体となって事業所の指定など提供体制を整備するものとされております。
一方、県では、市町村の体制整備を支援するため、相談支援専門員など人材を養成する役割がございます。
相談支援事業の実情について、市町村や事業者の方からお話しをお聞きしたところ、大きく分けて2つの課題がありました。
1点目は、県が実施している相談支援専門員研修の受講枠が少ないため、希望しても受講できないケースがあり、相談支援専門員の確保が十分ではないこと。
2点目は、相談支援事業所の報酬体系が実際の業務に見合うものになっていない、ということでありました。
相談支援専門員を増やすためには、研修の受講者枠を拡大する必要があり、そのためには講師を務めるベテランの相談支援専門員を更に確保する必要があります。
研修は小グループに分けての演習が5日間あり、グループごとに現場で指導的な立場にある方に、現場業務の時間を割いていただいて講師に来ていただき務めていただく必要がございますが、県でその確保を十分に行うことは容易ではありません。
そこで、現場の状況に通じている市町村に御協力をお願いし、講師をしていただくことが可能で、ふさわしい方を推薦していただくなどして、新たな講師の確保に努め、受講者枠の拡大を図ってまいります。
また、令和3年度に、県が指定をした事業者が受講料を徴収して研修を実施できるという制度を作らせていただきました。
現在、1団体が指定に向けて準備中であり、指定事業者を増やすことによって、研修機会の拡大を進めてまいります。
また、報酬体系につきましては、事業者から、計画相談は時間や労力がかかる割に業務の実態に見合う基本報酬になっていないというお声を多く聞きました。
議員お話しの千葉市は、相談支援事業の基本報酬が低いことから人件費に対する補助制度を創設し、相談支援事業所を支援しています。
地域において相談支援事業が円滑に実施されるためには、相談支援事業を行うインセンティブとなる報酬体系の充実が必要と考えております。
県としては、市町村や事業所の意見を丁寧にお伺いし、報酬体系の改善について他県とも連携し国へ要望いたします。
障害者が適切なサービスを受けられるよう、現場の実情をきめ細かく把握し、相談支援事業の充実に向けた支援に取り組んでまいりたいと考えております。
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