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掲載日:2022年3月30日

令和4年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(岡重夫議員)

自殺防止対策について - 学校教育における「SOSの出し方に関する教育」について

Q   岡 重夫 議員(県民)

国の調査によると、令和2年度の県内公立小中高等学校における児童生徒の自殺が疑われる事案が21件起きており、前年度の15件から増加していて、状況は深刻化しています。国の分析によると、令和2年における小中高校生の自殺の原因や動機は、小学生の第1位が家庭問題、中学生は学業不振、そして高校生は進路問題で、その他の原因を含めると実はその多くは大人に関係していて、子供の自殺を減らすには大人が変わることが必要だと言われています。
現在、県内の教育現場ではSOSの出し方に関する教育が進められていますが、子供たちがSOSを出したときに、大人たちがしっかりとそのSOSを受け止められるかどうかが問われています。ある教育専門家は、子供たちの悩みに真摯に耳を傾け、SOSをしっかり受け止める大人が増えない限り、子供の自殺は減らない。逆に、大人の対応が変われば、子供の自殺は今よりも必ず減ると指摘しています。
このSOSの出し方に関する教育は、平成29年7月25日に閣議決定された自殺総合対策大綱の中に明記されています。子供たちはSOSを発信することをためらうことが多いので、私も大切な教育だと思います。また、発信したSOSをどのように受け止めて対応するかの教職員の知識や対応力も重要です。
昨年度、県は東京大学大学院との自殺を含むあらゆる問題を防ぐため、子供の他者に援助を求める力の向上や校内組織の体制強化、外部専門機関等との連携などに取り組む協定を締結しました。また、令和3年度からはこの連携協定を基に、子供たちの心身の不調の早期発見、早期対応に向けた体制整備に取り組む研究を始めています。
そこで、現在のSOSの出し方に関する教育の実情、特にその効果などをどのように捉えているのか、教育長に伺います。
また、東京大学大学院との連携協定による実施状況について、併せて教育長に伺います。

A 高田直芳 教育長

まず、現在のSOSの出し方に関する教育の実情、特にその効果などをどのようにとらえているかについてでございます。
未来のある子供たちが自ら命を絶つようなことはあってはならないと考えており、このような悲劇が起こらないよう、発達段階に応じて様々な視点から取組を行うことが大切です。
そのためには、議員御指摘のとおり、児童生徒がSOSを出すことができる力を身に付けるとともに、そのSOSを周囲の大人がしっかりと受け止め、適切に対応することが重要であると考えております。
県はこれまで、様々な機会を捉え、県立学校や市町村教育委員会に対して自殺予防対策の重要性を周知するとともに、国や県が作成した自殺予防に関する資料やSOSの出し方に関する授業モデルの活用を促してまいりました。
また、担任や養護教諭、スクールカウンセラー等が連携し、心配な生徒を複数の目で見守り支援を行うなど、相談体制の充実を図ってきたところです。
さらに、学校によっては、専門的なスキルを持った養護教諭やスクールカウンセラーが授業で直接生徒に指導をしたり、外部講師が担任と一緒に指導をしたりするなど、SOSの出し方に関する教育に取り組んでおります。
その一方で、令和2年度は自殺が疑われる件数がこれまでになく多く、残念ながらその効果は十分とは言えず、より積極的な取組が必要であると認識しております。
次に、東京大学大学院との連携協定による実施状況についてでございます。
県では、自殺予防対策を含め幅広く児童生徒のメンタルヘルスリテラシーの向上に向けた教育の充実に資するため、令和2年11月に東京大学大学院と連携協定を締結し、課題の解決に向けて可能なものから順次実施しております。
例えば、児童生徒のメンタルヘルスに関する基礎知識や対応方法について、教職員がそれぞれの役割に応じて理解することが必要なことから、各学校の職員研修において東京大学が作成した役割別の講義動画を視聴いたしました。
視聴後の教職員によるアンケート結果では、自殺の恐れがある児童生徒への声掛けの大切さなど、自殺予防などに関する正しい知識を理解した割合が、視聴前の51%から79%へと30ポイント近く向上いたしました。
また令和3年4月から、中学・高校13校を研究推進校に指定し、教職員への専門的な研修を実施することで、生徒がSOSを出すことができる力の育成に取り組んでおります。
推進校の生徒からは「勇気を出して相談してみようと思った」、「ロールプレイングを行っているとき、このまますべて話そうと思った」など、生徒自身が悩みを相談することの大切さを改めて感じたとの感想がありました。
今後も、「SOSの出し方に関する教育」に取り組むとともに、困難を抱える児童生徒に対して周囲の大人が早い段階から適切に支援できるよう、県立学校や各市町村教育委員会とともに積極的に取り組んでまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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