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掲載日:2025年12月26日

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埼玉県全域における最新のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のゲノム情報

新型コロナウイルス感染症の流行の波(第1波~第13波)では、それぞれの波で主流となる流行株は異なっていました。新型コロナウイルス感染症の動向を把握するには、ウイルスのゲノム情報を早期に把握することが重要となります。
埼玉県衛生研究所でおこなったゲノムの解析結果に加え、県内政令市・中核市、民間検査機関、国立感染症研究所が実施したゲノム解析結果を分析し、検出状況を掲載しました。

【現在の状況】
患者報告数は2025年6月中旬以降、増加傾向にありましたが、第33週(8月11日~8月17日)にピークに達した後、緩やかに減少し、第46週(11月10日~11月16日)以降は減少が認められなくなりました。現時点で埼玉県内では検出されていませんが、世界保健機関(WHO)は、2025年12月5日にBA.3系統のひとつであるBA.3.2を新たにVUM(監視下の変異株)に指定しており、今後に向けて注意が必要と考えられます。

COVID-19のゲノム検出状況

特定のアミノ酸変異を有する変異株(亜型)について

WHOによる直近のVOI及びVUMの指定状況

COVID-19のゲノム検出状況

検出ゲノムの系統別推移 (2025年12月18日現在)

新型コロナウイルス感染症発生当初から現在までのゲノム解析結果が得られた陽性者の人数を、系統別(一部、亜型別)・検体採取週別に集計しました。

COVID-19_検出ゲノムの推移(2025年12月18日現在)
サイズ拡大版のグラフ(エクセル:66KB)

県内流行の第1波から第13波まで、いずれも主流となる流行株の亜型は異なっていました。
第8波は第7波と同様のBA.5系統(オミクロン株の子孫系統)が主流ですが、系統の中の亜型は異なっています。

第9波から第13波は、第6波(後半)と同様のBA.2系統(オミクロン株の子孫系統)が主流ですが、それぞれの期間において系統の中の亜型は異なっています。

第7波以降の亜型、系統については次の項目以降に掲載しています。

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第10波以降(2023年11月以降)における系統別検出状況(2025年12月18日現在)

第10波以降(2023年11月以降)の埼玉県内における、系統別の検出状況を集計しました。

COVID-19_系統別検出数の推移(2025年12月18日現在)
サイズ拡大版のグラフ(エクセル:54KB)

【各波における主流系統について】

第10波(2023年11月~2024年4月)
前半(2023年11月中旬~12月)は、BA.2の子孫系統であるBA.2.86系統(通称:ピロラ)が検出され始めました。第10波のピーク付近(2024年1月~2月前半)ではJN.1系統(BA.2.86系統の子孫系統)の検出数が急激に増加し、第10波の後半(2024年2月~4月)にかけてJN.1系統の占める割合が増加しました。また、4月下旬以降、JN.1系統の子孫系統であるKP.3系統が検出されました。

第11波(2024年5月~11月上旬)
第10波の後半に検出されたKP.3系統の検出数は、7月下旬にかけて増加しましたが、7月22日~28日の週を境に10月末まで減少しました。8月以降は、KP.3.1.1系統の検出がみられるようになり、10月末にかけて総検出数が減少する中でKP.3.1.1系統の検出割合は増加しました。

第12波(2024年11月中旬~2025年5月下旬)
2024年11月中旬から2025年1月上旬にかけて、WHOによりVUMに指定されているXEC、KP.3.1.1及びそれらの子孫系統からなるXEC系統やKP.3.1.1系統により総検出数が増加し、特にXEC系統の検出が多い状況にありました。​その後、4月下旬にかけて総検出数は減少傾向となり、XEC系統及びKP.3.1.1系統も同様に減少しました。5月にはWHOによりVUMに指定されているNB.1.8.1とその子孫株からなるNB.1.8.1系統がXEC系統と置き換わるように検出されました。

第13波以降(2025年6月上旬~)
2025年6月以降、第12波の終盤に検出されたNB.1.8.1系統の検出数が増加しました。その後、8月中旬にピークを迎えた後、10月下旬にかけて増減を繰り返しつつ減少しました。11月以降の検出数は低い水準で推移していますが、依然として検出のほとんどをNB.1.8.1系統が占める状況が続いています。

VUM及びBA.2.86系統(通称:ピロラ)とその子孫系統の詳細な説明は、BA.2.86系統(通称:ピロラ)及びその子孫系統に関するWHOの情報等についてをご確認ください。

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 第12波以降(2024年11月以降)における亜型別検出状況(2025年12月18日現在)

第12波以降(2024年11月以降)に検出されている亜型について、埼玉県内の検出状況(検体採取週別)を下図に示しました。特に、2025年4月下旬以降に検出されているNB.1.8.1はWHOによりVUMに指定されており、埼玉県でも今後の動向について注視しています。

COVID-19_亜型別検出割合の推移(2025年12月18日現在)
サイズ拡大版のグラフ(エクセル:409KB)

2024年11月から12月にかけて、XEC及びKP.3.1.1 の検出割合が多い状況にありました。その後、KP.3.1.1は減少傾向が続き、2025年3月末以降は検出されなくなりました。一方で、XEC並びにXEC.2及びXEC.4を始めとするXEC系統に属する子孫株は、2024年11月から2025年4月下旬にかけて検出割合の多くを占めましたが、その後、5月下旬にかけて減少し、代わりにNB.1.8.1及びNB.1.8.1の子孫株の検出割合がXEC系統に置き換わるように増加しました。特に7月以降はPQ.2(NB.1.8.1.2)を始めとするNB.1.8.1系統に属する種々の子孫株の検出割合が増加しており、12月上旬においてもその状況は続いています。

2024年11月以降の埼玉県内の新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数に、上図の週毎の変異株の検出割合をかけて、定点当たり週別報告数の系統別の内訳を推計しました。

COVID-19_定点当たり報告数_亜型別内訳の推計(2025年12月18日現在)
サイズ拡大版のグラフ(エクセル:68KB)

第12波(2024年11月中旬~2025年5月下旬)
2024年11月以降、XEC、KP.3.1.1及びその子孫系統に属する亜型の検出が増加し、患者報告数も増加傾向となりました。2024年第52週(12月23日~12月29日)から2025年1月中旬にかけては、XEC.2やXEC.4を始めとするXECの子孫株の検出や、KP.3.1.1系統の減少傾向の影響により、患者報告数は横ばいで推移しました。2025年1月下旬以降、XEC系統の子孫株の出現及びそれらの検出数の増加傾向が続き、2025年第6週(2月3日~2月9日)の小さなピーク(10歳代以下の若い世代が中心)が形成されました。その後、2月以降、明らかな減少局面となりましたが、XEC系統の子孫株の出現が続いたため、上昇局面と比較して緩やかな減少となりました。5月にはXEC系統と置き換わるようにNB.1.8.1並びにNB.1.8.1の種々の子孫株が検出されており、患者報告数は横ばいで推移しました。

第13波以降(2025年6月上旬~)
2025年6月中旬以降、NB.1.8.1の検出数の増加に伴い、患者報告数も増加傾向にありましたが、第33週(8月11日~8月17日)にピークに達した後、緩やかに減少し、第46週(11月10日~11月16日)以降減少が認められなくなりました。現時点で埼玉県内では検出されていませんが、WHOは2025年12月5日にBA.3系統のひとつであるBA.3.2を新たにVUMに指定しており、今後に向けて注意が必要と考えられます。

直近の発生状況は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行情報をご確認ください。
(過去の発生状況は、2023年5月7日以前のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行情報をご確認ください。)
(2025年12月5日にWHOによりVUMに指定されたBA.3.2については、WHOによる直近のVOI及びVUMの指定状況をご確認ください。)

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特定のアミノ酸変異を有する変異株(亜型)について

R346T、F486P、F456L、L455F、L455S、Q493E、T478I変異を有する変異株の系統別の推移 (2025年12月18日現在)

埼玉県で検出されたCOVID-19の亜型について、期間ごとに、亜型数と特定のアミノ酸変異を有する亜型の割合を集計しました。

埼玉県で検出された期間別のCOVID-19の亜型の数と特定のアミノ酸変異を有する亜型の割合
波(期間) 亜型の数 特定の変異の種類(特定の変異を有する亜型の割合)
第7波(2022年6月~9月) 50以上 R346T変異(約4%)
第8波(2022年10月~2023年3月) 160以上 R346T変異(約51%)
第9波(2023年4月~11月中旬) 270以上

R346T変異とF486P変異(約73%)

R346T変異とF486P変異とF456L変異(約14%)

第10波(2023年11月下旬~2024年4月) 120以上

R346T変異とF486P変異とF456L変異とL455F変異(約25%)

F486P変異とL455S変異(JN.1等、約21%)

第11波(2024年5月~11月上旬) 70以上

F486P変異とL455S変異(JN.1等、約12%)
F486P変異とL455S変異とF456L変異(JN.1.11.1等、約49%)

F486P変異とL455S変異とF456L変異とQ493E変異
(KP3等、約36%)

第12波(2024年11月中旬~2025年5月下旬) 70以上

F486P変異とL455S変異とF456L変異(JN.1.11.1等、約14%)

F486P変異とL455S変異とF456L変異とQ493E変異
(KP3等、約79%)
F486P変異とL455S変異とF456L変異とQ493E変異とT478I変異
(NB.1.8.1等、約5%)

第13波以降(2025年6月上旬~) 60以上

F486P変異とL455S変異とF456L変異とQ493E変異
(KP3等、約49%)
F486P変異とL455S変異とF456L変異とQ493E変異とT478I変異
(NB.1.8.1等、約48%)

そこで、埼玉県で検出があった変異株を、検体採取週別・系統別に、R346T変異、F486P変異、F456L変異、L455F変異、L455S変異の5つの変異の有無によって区別し集計しました。また、BA.2.86系統及びその子孫系統については、Q493E変異及びT478I変異の有無によっても区別し集計しています。

凡例 系統 R346T変異 F486P変異 F456L変異 L455F変異 L455S変異 Q493E変異 T478I変異
BA_2 BA.2    
BA_5 BA.5    
BA_5_R346T BA.5    
 BA_2_R346T BA.2    
 BA_2_R346T_F486P BA.2    
BA_2_R346T_F486P_F456L BA.2    
BA_2_R346T_F486P_F456L_L455F BA.2    
 BA_2_86 BA.2.86

BA_2_86_L455S BA.2.86
BA_2_86_L455SF456L_ BA.2.86
hanarei_Q493E_3 BA.2.86
BA_2_86_L455SF456LQ493ET478I JN.1 ×

〇:変異を持つ ✕:変異を持たない ※:変異を持たない亜型が多いものの、一部持つ亜型が存在

埼玉県で検出された系統別・特定のアミノ酸の変異の有無別、検出数の推移

COVID-19_特定のアミノ酸変異別検出数の推移(2025年12月18日現在)
サイズ拡大版のグラフ(エクセル:79KB)

【各波における主流系統について】

第7波(2022年6月~9月)
前半(6月~7月上旬):特定のアミノ酸変異を持たないBA.2系統(BA_2
後半(7月中旬~9月):特定のアミノ酸変異を持たないBA.5系統(BA_5

第8波(2022年10月~2023年3月)
前半(2022年10月中旬~11月):特定のアミノ酸変異を持たないBA.5系統(BA_5
後半(2022年12月~2023年3月):R346T変異を持つBA.5系統(BA_5_R346T)、R346T変異を持つBA.2系統( BA_2_R346T

第9波(2023年4月~11月)
前半(2023年4月~9月上旬):R346T変異とF486P変異を持つBA.2系統( BA_2_R346T_F486P
後半(2023年9月中旬~11月):R346T変異、F486P変異、F456L変異を持つBA.2系統(BA_2_R346T_F486P_F456L)、R346T変異、F486P変異、F456L変異、L455F変異を持つBA.2系統(BA_2_R346T_F486P_F456L_L455F

第10波(2023年11月~2024年4月)
前半~中盤(2023年11月~2025年1月):R346T変異、F486P変異、F456L変異、L455F変異を持つBA.2系統(BA_2_R346T_F486P_F456L_L455F
中盤~後半(2025年1月~4月):BA.2.86系統( BA_2_86)、L455S変異を持つBA.2.86系統(BA_2_86_L455S)L455S及びF456L変異を持つBA.2.86系統(BA_2_86_L455SF456L_

第11波(2024年5月~11月)
L455S、F456L及びQ493E変異を持つBA.2.86系統(BA_2_86_L455SF456LQ493E

第12波(2024年11月~2025年5月下旬)
L455S、F456L及びQ493E変異を持つBA.2.86系統(BA_2_86_L455SF456LQ493E

第13波(2025年6月上旬~)
L455S、F456L及びQ493E変異を持つBA.2.86系統(BA_2_86_L455SF456LQ493E
L455S、F456L、Q493E及びT478I変異を持つJN.1系統(BA_2_86_L455SF456LQ493ET478I

(埼玉県内で検出された特定のアミノ酸変異を有する変異株の一覧につきましてはリンク先をご覧ください。)

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COVID-19の定点当たり週別報告数における系統別(R346T、F486P、F456L、L455F、L455S、Q493E、T478I変異の有無別)内訳の推計(2025年12月18日現在)

2022年10月以降の埼玉県内の新型コロナウイルス感染症の定点当たり週別報告数(2022年9月26日から2023年5月7日は全数報告からの推計値、2023年5月8日以降は定点医療機関からの報告に基づく定点当たり報告数)に、上図の週ごとの変異株系統の割合をかけて、定点当たり週別報告数の系統別の内訳を推計しました(2023年5月8日以降のCOVID-19の流行情報及び2023年5月7日以前の全数報告時のデータを用いた定点当たり報告数の推計につきましてはそれぞれリンク先をご覧ください)。

COVID-19_定点当たり報告数_アミノ酸変異別内訳の推計(2025年12月18日現在)

サイズ拡大版のグラフ(エクセル:70KB)

埼玉県内の新型コロナウイルス感染症の定点当たり週別報告数をみると、第9波にあたる2023年8月から9月にかけて急激な患者数の増加がみられていました。その要因の一つとして、F456L変異を有するBA.2系統(BA_2_R346T_F486P_F456L)が増加していたことが考えられます。

また、2023年12月以降に定点当たり週別報告数の増加がみられました。2023年12月中旬はL455F変異を有するBA.2系統(BA_2_R346T_F486P_F456L_L455F)が流行の大部分を占めていましたが、2024年1月以降はBA.2.86系統(通称:ピロラ)のうち、JN.1系統をはじめとするL455S変異を有するBA.2.86系統(BA_2_86_L455S)が急激に増加しており、第10波の流行に影響を及ぼしたと考えられます。2024年2月以降は、L455S及びF456L変異を有するBA.2.86系統(BA_2_86_L455SF456L_)も検出され始めました。

2024年4月下旬以降は、KP.3系統をはじめとするL455S、F456L及びQ493E変異を有するBA.2.86系統(BA_2_86_L455SF456LQ493E)に検出数の増加がみられ、それに伴い患者数の増加が確認されました。L455S、F456L及びQ493E変異を有するBA.2.86系統(BA_2_86_L455SF456LQ493E)が、第11波にあたる2024年5月以降の流行に影響を及ぼしたと考えられます。2024年11月中旬以降は、第11波と同じくL455S、F456L及びQ493E変異を有するBA.2.86系統(BA_2_86_L455SF456LQ493E)の検出が増加し、第12波が到来しました。しかし、検出された亜型は、KP.3系統の子孫株であるKP.3.1.1系統やXEC系統など、L455S、F456L及びQ493E変異を有するBA.2.86系統(BA_2_86_L455SF456LQ493E)の中でも第11波とは異なる亜型が多く検出されています。

2025年5月以降は、L455S、F456L、Q493E及びT478I変異を持つJN.1系統(BA_2_86_L455SF456LQ493ET478I)の検出に置き換わっており、6月中旬以降は患者報告数も増加傾向に転じていましたが、第33週(8月11日~8月17日)にピークに達した後、緩やかに減少しています。

(埼玉県内で検出された特定のアミノ酸変異を有する変異株の一覧につきましてはリンク先をご覧ください。)

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特定のアミノ酸変異を有する変異株の一覧(2025年12月18日現在)

JN.1(BA.2.86.1.1)系統におけるT478I変異を有する亜型

2024年4月14日以降に埼玉県内で検出されたJN.1系統のうち、スパイク蛋白質のT478I変異を有する亜型とその検出数について示しました。

COVID-19_T478I変異を持つ亜型一覧表(2025年12月18日現在)

BA.2.86系統(通称:ピロラ)におけるL455S、F456L、Q493E変異の有無について

2022年9月8日以降に埼玉県内で検出されたBA.2.86系統(通称:ピロラ)のうち、スパイク蛋白質におけるL455S、F456L、Q493E変異の有無別に整理し、エクセルファイルにまとめました。

BA.2.86系統におけるL455S、F456L、Q493E変異の有無別一覧表(エクセル:32KB)

BA.2及びBA.5系統におけるR346T、F486P、F456L、L455F変異の有無について

2022年9月8日以降に埼玉県内で検出された亜型のうち、スパイク蛋白質のR346T変異を有する変異株を、BA.5系統及びBA.2系統に分け、F486P変異を有する系統は薄いピンク色、持たない系統は薄い青色で示し、エクセルファイルにまとめました。

また、BA.2系統については、系統別に分類し、その中でも、F456L変異を有する変異株を黄色、L455F変異を有する変異株を橙色で染めています。

なお、BA.2.86系統(通称:ピロラ)はR346Tを持たないことが多いため、下の分類表(Excelファイル)には掲載していません。

詳細については、以下のExcelファイルをご覧ください。

BA.2及びBA.5系統におけるR346T、F486P、F456L、L455F変異の有無別一覧表(エクセル:38KB)

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 BA.2.86系統(通称:ピロラ)及びその子孫系統に関するWHOの情報等について(2025年12月18日現在)

世界保健機関(WHO)では、新型コロナウイルス感染症の変異株の変異についてリスク分析を行い、そのリスクに応じ、VOC(variant of concern:懸念される変異株)、VOI(variant of interest:注目すべき変異株)、VUM​(variant under monitoring:監視下の変異株)に分類しています。

2025年12月18日現在におけるBA.2.86系統に属する亜型の分類は以下のとおりです。

VOC(懸念される変異株) VOI
(注目すべき変異株)
VUM
(監視下の変異株)
該当なし

JN.1(BA.2.86.1.1)系統*
2023年12月28日指定

KP.3.1.1(JN.1.11.1.3.1.1)2024年7月19日指定
LP.8.1(JN.1.11.1.1.1.3.8.1)2025年1月24日指定

NB.1.8.1(XDV.1.5.1.1.8.1※12025年5月23日指定
XFG(LF.7※3とLP.8.1.2※4の組換え体)2025年6月25日指定

*VUMに分類されているJN.1の亜系統は除く
※1XDV:JN.1とXDE※2の組換え体
※2XDE:GW.5.1(XBB.1.19.1.5.1)とFL.13.4(XBB.1.9.1.13.4)の組換え体
※3LF.7:JN.1.16.1.7 ※4LP.8.1.2:KP.1.1.3.8.1.2(JN.1.11.1.1.1.3.8.1.2)

WHOは、2023年11月21日に、BA.2.86系統(通称:ピロラ)が世界的に増加傾向にあることを踏まえVOIに指定しました。(2024年12月にVOIの対象から外れました)
WHOのリスク評価で判明している、BA.2.86系統に関する主要事項は以下のとおりです。

  • BA.2.86系統(BA.2.86及びBA.2.86の子孫系統を含む)は、BA.2の子孫系統で、スパイク蛋白質に多数のアミノ酸変異を有していると言われています。(BA.2と比較して34か所、XBB.1.5と比較して36か所)
  • BA.2.86について他の亜型と比較して重症化リスクが高いという報告はないとされています。

さらに、WHOは、2023年12月18日に、BA.2.86系統の子孫系統であるJN.1(BA.2.86.1.1系統の検出割合が世界的に急増したことを踏まえVOIに指定しました。
WHOのリスク評価で判明している、JN.1に関する主要事項は以下のとおりです。

  • JN.1は、BA.2.86のスパイク蛋白質のアミノ酸にL455S変異が加わった変異株で、他の亜型に比べて免疫逃避性が有意に高い可能性が指摘されています。
  • JN.1について他の亜型と比較して重症化リスクが高いという報告はないとされています。

また、WHOは、2024年5月3日に、JN.1系統の子孫株であるKP.3(JN.1.11.1.3)をVUMに指定しました。(2025年9月にVUMの対象から外れました)
KP.3は、JN.1のスパイク蛋白質のアミノ酸にF456L及びQ493E変異が加わった変異株です。F456L変異を有する変異株は、感染性や免疫逃避性が高くなると言われています。

2024年9月24日には、WHOはXECVUMに指定しました。(2025年12月にVUMの対象から外れました)
XECはKP.3.3( JN.1.11.1.3.3)とKS.1.1(JN.1.13.1.1.1)の組換え体であり、VUMに指定されているKP.3系統と同様に、スパイク蛋白質のアミノ酸にF456L及びQ493E変異を有しています。

2025年1月24日には、WHOはJN.1系統の子孫株であるLP.8.1(KP.1.1.3.8.1(JN.1.11.1.1.1.3.8.1))をVUMに指定しました。
LP.8.1はVUMに指定されているKP.3及びXECと同様にスパイク蛋白質のアミノ酸にF456L及びQ493E変異を有しています。

2025年5月23日には、WHOはJN.1とXDEの組換え体(XDV)の子孫株であるNB.1.8.1(XDV.1.5.1.1.8.1)をVUMに指定しました。
NB.1.8.1 はVUMに指定されているKP.3、XEC及びLP.8.1と同様にスパイク蛋白質のアミノ酸にF456L及びQ493E変異を有しており、T478I変異を新たに獲得しています。

2025年6月25日には、WHOはLF.7(JN.1.16.1.7)とLP.8.1.2( JN.1.11.1.1.1.3.8.1.2)の組換え体であるXFGVUMに指定しました。
XFGはVUMに指定されているKP.3、XEC及びLP.8.1と同様にスパイク蛋白質のアミノ酸にF456L及びQ493E変異を有していますが、NB.1.8.1とは異なりT478I変異は有していません。

 WHOによる直近のVOI及びVUMの指定状況(2025年12月18日現在)

2025年以降におけるWHOのVOI及びVUMの指定状況は以下のとおりです。

  • 2025年1月24日:LP.8.1(KP.1.1.3.8.1(JN.1.11.1.1.1.3.8.1))をVUMに指定
  • 2025年5月23日:NB.1.8.1(XDV.1.5.1.1.8.1)をVUMに指定
  • 2025年6月25日:XFG(LF.7(JN.1.16.1.7)とLP.8.1.2(KP.1.1.3.8.1.2(JN.1.11.1.1.1.3.8.1.2))の組換え体)をVUMに指定。
  • 2025年12月5日:BA.3.2をVUMに指定。

2025年12月5日に、WHOはBA.3.2VUMに指定しました。
WHOのリスク評価で判明している、BA.3.2に関する主要事項は以下のとおりです。

  • BA.3と比較してスパイク蛋白質に53か所の変異を有するとされています。
  • 以前のオミクロン系統やワクチン抗原(KP.2及びLP.8.1)と比較して、抗原連続変異と中和抗体に対する高度な回避能を示すとされています。
  • 現時点で、BA.3.2の一貫した伝播優位性は示されておらず、世界における流行中の他の変異株との置き換わりも確認されていないとされています。

以上の事より、今後の動向に注意が必要と考えられます。
(BA.3.2の詳細情報は、WHO TAG-VE Risk Evaluation for SARS-CoV-2 Variant Under Monitoring: BA.3.2をご参照ください。)

2025年11月9日時点でGISAID(Global Initiative on Sharing All Influenza Data)に登録された、BA.3.2の地域別検出割合の推移(2025年第42週(10月13日~19日)→第45週(11月3日~9日))は以下のとおりです。
西太平洋地域(1.4%→5.7%)ヨーロッパ地域(0%→1.4%)、アフリカ地域(10.3%→0%)、
南北アメリカ地域、東地中海地域、南東アジア地域は検出無し
(なお、日本西太平洋地域に含まれます。)

また、世界における2025年第44週(10月27日~11月2日)から第48週(11月24日~30日)のVOI及びVUM指定変異株の検出割合の推移は以下のとおりです。

変異株名 指定の種類

2025年第44週
(10月27日~11月2日)

2025年第45週
(11月3日~9日)

2025年第46週
(11月10日~16日)

2025年第47週
(11月17日~23日)

2025年第48週
(11月24日~30日)

BA.3.2 VUM 0.51% 1.13% 0.65% 1.72% 5%
JN.1 VOI 5.69% 4.48% 4.32% 5.09% 4.8%
KP.3.1.1 VUM 1.16% 1.78% 1.31% 1.87% 2.04%
LP.8.1 VUM 0.97% 1.19% 0.52% 0.6% 0.41%
NB.1.8.1 VUM 16.1% 15.4% 18.3% 17.9% 16.9%
XFG VUM 70.2% 70.8% 70.9% 68.6% 64.7%

※1 出典:WHO COVID-19 dashbord Summary (Table 3. Weekly prevalence of SARS-CoV-2 VOIs and VUMs)
※2 各変異株の計上について、その他にVOI又はVUMに指定されているものを除き、それぞれの子孫系統が含まれています。
※3 掲載しているデータは2025年12月25日時点で確認したものとなります。

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郵便番号355-0133 埼玉県比企郡吉見町江和井410番地1

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