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掲載日:2024年10月23日
Q 尾花瑛仁 議員(自民)
日本の合計特殊出生率(TFR)が過去最低の1.20となりましたが、この指標、国の経年比較には有効でも地域間比較には適さないとの指摘が増えてきました。未婚者が転入すると分母が増え、低い値が出るためで、例えば、よく聞くTFRの低い東京圏に若者が流入すると、日本の少子化が加速するという論は根拠に乏しく、実は東京圏の有配偶者の出生率を調べると全国より高く、出生数のカーブでもほかの道府県の方が減りが顕著なのが真相とのことであります。TFRだけでは自治体の出生の実態を反映し切れません。
また、昨今、国も数値目標からは外す傾向があり、価値観を押しつけたりプレッシャーを与えることはあってはならないとし、今後、結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋め、個人の幸福追求を支援する結果として出生率向上を目指すと示されています。
一方、背景変化の中、変わらない事実もあります。人口減少は高齢化を伴い、若年層の負担となる構造。我が国の20から30代女性の3分の1は東京圏に在住し、ここで支援を充実することが少子化に歯止めをかける効果が高いこと。そして、県民希望出生率1.78はTFRと異なり、県民の希望からボトムアップで算出した指標であること。県は、地方創生10年の学びを生かしつつ、個々人の希望をかなえる施策を力強く進めるべきであります。
市町村現場では、少子化対策について子育て支援策との混同や移住促進が中心となり、出生に関しては国の仕事と捉えがちな傾向というのを市議時代に目にしました。しかし、現場は市町村にあり、認識のギャップを埋めるのは県の仕事だと思います。
内閣府は、市町村が少子化に関わる地域特性を可視化できる評価ツールを公開し、これを施策や共同の根拠にできる地域アプローチを推進しており、都道府県には勉強会や指標の収集の指導、京都府のように独自の分析ツールで市町村を分析、サポートすること等を推奨しています。
本県は、こども政策局長を新設し、市町村連携の窓口としています。そこで、TFRに代わる指標を検討しつつツールを活用し、市町村現場を長期的に後押しする体制を整えるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
県では令和4年度に、20代から30代の県民を対象とし、「結婚しない理由」や「理想のこどもの数を持てない理由」等を確認する「少子化対策深堀り調査」を実施し、その調査結果を埼玉県少子化対策協議会において県内市町村に説明をし政策形成への支援を行いました。
今後も、結婚や子育て期に求められる施策を検討するために、調査や分析を行い、その結果を市町村に提供してまいります。
そのほか、県のホームページで公開している全国の市区町村の転出・転入状況を調べるツールの活用方法を少子化対策協議会において分かりやすく伝え、各市町村における少子化対策の企画立案を支援していくことを考えております。
さらに、議員お話しの内閣府が作成した「地域評価ツール」などを活用し、少子化に影響を与える要因を調査・分析し、市町村を後押しする役割を担ってまいります。
再Q 尾花瑛仁 議員(自民)
TFRについて指標として今後どう位置付けるかということで、指標のお話も先ほどさせていただいたんですが、これは県も思案中だと思うんですけれども、少子化対策が今後、個々の事業の積み上げの結果として出生率を目指すという形になる、いわゆるアウトプット型になる可能性があって、こうなると市町村の現場においてマンパワーが不足する中で、無軌道にならないような整備というのが必要になると思います。
やはり少子化対策はすぐ成果が見えないんですけれども緊急性があるものなので、言い換えれば今の責任が可視化されにくいというところもありますので、市町村一つ一つの事務を必死にやっていても、効果的な対策を客観的に見るには県の助力というのが必要だと思います。
今年度新設されましたこども政策局長なんですけれども、よりそのプッシュ型で市町村に対していろいろとやっていくべきかなと思っていまして、予算委員会で知事は「市町村に対して必要なものは促すなり、ちょうど真ん中の結節点」というようなお話を頂いているんですが、このあたりの今までに加えて更に一歩踏み込んだ対策が必要な情勢だと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。
再A 大野元裕 知事
私もTFRのみが突出されて、議論が進むというのは決して健全ではないと考えており、対策に対して貢献は限定的になると考えているところから、新しく設置をしたこども政策局長に対して、指示をしているところでございます。
そこで、令和4年度の少子化対策深掘り調査などの結果を丁寧に分析することによって、県内の市町村に対し働きかけを行うべきだと考えています。
他方、議員御指摘のとおり、支援策の検討にあたっては、人口規模であったり、住民の年齢構成、就労状況などに差があります。
そこで、重点的に取組むべき施策は市町村ごとに必ずしも同じではない、ということが考えられます。
このため、地域の実情に最も詳しい市町村が、やはり主体となって政策形成を行うべきであり、県はサポート役となるべきと考えており、この子育て支援施策については、多様な側面があることから、1年だけではできませんが、様々な施策に対する助言、そして、全国の好事例を紹介するなどの支援など、個別にふさわしいサポートを組みあげていきたいと考えております。
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