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掲載日:2023年10月20日
Q 阿左美健司 議員(自民)
知事は、公約において「デジタルトランスフォーメーションと行政改革を新たなフェーズへ」と上げています。先ほどは逢澤議員が県庁内におけるDX人材の確保について鋭くただしたところです。ペーパーレスの推進をはじめ県庁内のDXが成果を上げつつある中、次は県庁の外、県民や県内事業者がDXの成果を実感できるようになることが新たなフェーズ段階と考えます。
知事は、更に公約に、県内事業者のDX支援等を通じた働き方改革、生産性向上推進を掲げています。そこで、730万県民を支える自治体として、県職員だけでなく市町村の行政部門の職員約3万4,000人のDXスキルが向上していくことが、県内全体のDX推進の鍵を握ると考えます。
まずは、県庁から、次に市町村のDXに対する取組を支援し、DXを効果的に活用するには、住民のデジタルリテラシーを高めることが重要です。県・市町村がDXを整備しても、住民が便利さを享受できないと行政の効率化は図れません。特に県に比べ規模の小さい市町村には、自前でデジタル知識を持ったDX推進の専門職を採用・育成することは難しい状況です。
このため、県が必要な情報やノウハウを提供したり、解決策を支援してくれるIT企業を引き合わせる、いわゆるマッチングなどきめ細かいサポートが必要と考えます。県に比べ住民との接点の多い市町村の取組を県が支援することで、住民を含む本県全体のDXの推進がより早く図られるのではないでしょうか。
私の地元横瀬町では、地域活性化企業人制度を活用した主に高齢者を対象としたスマートフォン教室を実施しております。教室とはいうものの講義ではなく、スマホの分からないことを一対一で聞けるという形式です。参加された方々によると、「自分以外の人は皆スマホをちゃんと使えると思っていたが、皆、自分と同じと分かった」「スマホの使い方も少し分かるともっと使いたくなる」「知ると楽しくなる」などという感想で非常に良い評判です。
また、このスマホ教室は「ITよろず相談」という名称なのですが、ITの相談だけではなく、よろずの部分では話し相手になり、高齢者の見守り機能も果たしているという、思いがけない良い効果もあるようです。
こうした事例は横瀬町以外でも行われていると思いますので、参考となる事例を紹介しつつ、市町村に寄り添った支援を行うべきと考えます。
そこで、知事に3点伺います。
1つ目、この2期目の4年で、県庁内のDXの具体的にどのようなことを、どのようなレベルにしたいと考えているのでしょうか。
2つ目、住民に身近な市町村のDXのレベルを高めていくため、県としてどのように支援をしていくのでしょうか。
3つ目、高齢者のデジタルデバイド対策です。スマホを持っていても活用していない高齢者は、有益な情報を得る手段が限られてしまいます。DXを進めるに当たり、高齢者のDXの推進をどのように進めるのでしょうか。
以上、3点お願いいたします。
A 大野元裕 知事
少子高齢化が進む中、限りある財源で県民が求めるサービスを提供していくには、DXを実現して県庁の生産性を向上させなければなりません。
こうした強い思いから、私は知事就任以来、DXの推進に力を入れてまいりました。
まずは第1段階のペーパーレス化を徹底した結果、これまでに県庁のコピー使用量は59.7パーセント、先行モデル課では98.7パーセント減少するなど、県庁のデジタル化は大きく進みました。
この成果を踏まえ、2期目はDXの第2段階であるデジタライゼーション、デジタルを基本に仕事の在り方を見直す取組を推進してまいりたいと考えております。
まず、令和5年度から試行的に導入している生成AIやノーコードツールを的確に使いこなせるよう、職員のスキルを高めながら段階的に活用範囲を広げてまいります。
さらに、デジタルをベースに仕事のやり方を根本から見直し、生成AI等に任せられる仕事とそうでないものを仕分け、職員の力を人間にしかできない創造的な仕事へと振り向けてまいります。
デジタルと人間それぞれに適したタスクを見極め、業務の更なる効率化とサービス向上を目指すタスク・トランスフォーメーションを、今後4年間で県庁全体に浸透させていきたいと考えています。
さらには、この任期の間にデジタル化を前提として仕事や県庁の在り方を見直す第3段階も視野に入れられるようにしてまいりたいと考えています。
そして、DXの次の段階へとステップアップする県の取組の成果を市町村とも共有し、市町村の取組をバックアップすることで、県全体のDXレベルを更に高めてまいります。
次に、市町村のDX支援についてでございます。
県民誰もがDXのメリットを実感できるようにするには、県の努力だけではなく、住民に最も身近な自治体である市町村のDX化も欠かせません。
このため、本県では県と県内全市町村で構成するスマート自治体推進会議を設置し、人材育成研修や優れた事例の紹介、AIなどテーマ別の専門部会を設置してDXに関する情報共有に努めております。
市町村の中には「DXと言っても何から始めればいいか分からない」という声もあります。
そこで、各市町村の実情を踏まえた丁寧な支援を行うべく、現在、県の情報システム部門の職員が県内全ての市町村を訪問し、意見交換を行っています。
各市町村の状況を伺うと、DXを推進する機運は昨年度より高まっているものの、職員の意識改革や人材の不足などに課題を感じていることが分かりました。
そのため、他自治体の先行事例の紹介のほか、「書かない窓口」など先進的なサービスを提供するIT事業者と市町村のマッチング、国の事業を活用した専門アドバイザーの派遣や交付金の採択など、市町村支援を強化してまいります。
今後も各市町村が主体的にDXを進められるよう現場のニーズに合った的確なサポートを実施し、市町村のDXのレベルアップを支援したいと思います。
次に、高齢者のデジタルデバイド対策についてであります。
デジタルリテラシーを高めるには、議員お話しの横瀬町のように、住民に最も身近な市町村によるきめ細かな支援が効果的と考えられるため、本県も市町村の取組をしっかりバックアップしたいと考えます。
高齢者向けのスマホ教室に参加している方々の状況を伺うと、デジタルを苦手と感じる方々は、そもそもスマホ教室に出向くこと自体に心理的な抵抗があると言われています。
高齢者のデジタルデバイド対策を推進するには、こうした心理的なハードルを解消することが重要であるため、高齢世代のデジタルデバイド対策に取り組んでいる埼玉県立大学の協力を得て対策を検討してまいりました。
研究者の方々のお話しによると、高齢者の多くは「デジタル用語が分からない」「家族の支援を受けられない」などの理由でデジタルに苦手意識を持つようになるそうであります。
そこで、県立大学の学生ボランティアがスマホ相談会を開催したところ、孫の世代の若者には気楽に相談ができることもあり、近隣の多くの高齢者の方々が参加をされ、世代を超えた交流も広がったとのお話しでありました。
こうした成功事例を市町村と共有し、参考にしていただくため、本年2月、デジタルデバイドの要因や対策を学ぶセミナーを開催し、多くの市町村の参加を頂いたところであります。
今後も大学の協力も得て更なる対策を検討するとともに、これ以外の成功事例も幅広く収集し、市町村への個別訪問等の機会を捉えて情報を共有しながら、高齢者のデジタルデバイド対策に取り組んでまいります。
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