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掲載日:2023年7月14日
Q 鈴木まさひろ 議員(自民)
「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」が成立してから、間もなく1年が経とうとしています。条例の制定以降、県では全国初の取組として企業へ性の多様性に配慮した取組を促して、その状況を見える化したり、にじいろ企業研修や相談の実施など、当事者が少しでも埼玉県で暮らしやすくなるよう努められているものと認識しています。
元来、多様性はあらゆる分野で新しい発想や柔軟性を生み出し、社会や経済の活力となるものですし、誰もが輝ける環境を築くことが新たな価値を生むことにつながると、私も確信するところです。
一方で、現在もLGBTQに関して差別や偏見に加え、社会保障や福利厚生等における格差など、さまざまな困難に直面する方々がおられ、いまだ社会全体の理解が不足している現状を危惧しています。
以上を踏まえ、3点、知事に伺います。
1点目、知事は2期目に向けた公約においても、LGBTQなど多様な人が共生する社会構築をうたわれています。知事は今後、性の多様性を尊重した社会づくりを具体的にどのように進めていくのか、知事の共生社会の構築に向けた姿勢がゆるぎないものであることをお示しください。
次に、2点目です。さきの条例の趣旨に鑑み、県としてパートナーシップ制度、ファミリーシップ制度の導入に向けた検討を進めるべきということが議会としても強い意思です。これは格差のない県内一律での運用が当事者利益にかなうためです。これまでの議論を通じ、知事が県としての導入について慎重な姿勢を崩していないことは把握していますが、今後、建設的な検討が速やかになされることを強く望むものです。
一方、県として今すぐにでも取り組める部分もあるはずです。県内市町村での同制度の申請に当たり、カップルの方々に役所への来庁を要するという現状の制度運用が当事者の大きな精神的負担となっています。この対応策の1つとして、同制度の電子申請が可能となるように県のシステムの利用を促し、また、郵送申請も認めるなど、当事者の利益を第一に考えた運用がなされるよう市町村と勉強会を実施することなどは、すぐにでも着手できる取組ではないでしょうか。知事の御所見を伺います。
そして、3点目、LGBTQの方々の暮らしやすい環境づくりのためには、同性カップルにも公営住宅の入居資格を認めるといった行政サービスを早期に拡充していく必要があると考えますが、知事の御所見を伺います。
A 大野元裕 知事
LGBTQの方は、見えないマイノリティと言われ、その多くが周囲からの差別や偏見を恐れ、当事者であることを家族に対してでさえ、隠して生活しておられます。
誰一人取り残さない持続可能な「日本一暮らしやすい埼玉県」を実現するためには、こうしたLGBTQの方々が安心して生活できる社会をつくることが重要と考えます。
そこで、県では、埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例の基本理念を踏まえ、「性の多様性に関する理解の増進」、「相談体制の整備」、「暮らしやすい環境づくり」を三本柱として、様々な取組を行っています。
まず、「性の多様性に関する理解の増進」についてでございます。
LGBTQに関する誤った情報がSNSなどで拡散される事例が相次ぎ、それにより当事者の方々が苦しまれたり、更なる偏見が助長されることが懸念されます。
こうした状況を解決するためには、一人一人が性の多様性に関する理解を深め、情報を取捨選択できる正しい知識を持っていただくことが何より重要です。
そこで、LGBTQに関する基礎的な知識のほか、当事者の方々が社会生活において抱えておられる困り事などを内容とした、県民向け、企業向けの動画を配信しております。
また、令和4年度には埼玉県立大学と連携し、学生の皆様に、性の多様性に関する理解を広めるための方策を検討していただきました。
さらに、県立大学の大学祭において、学生が、自ら作成した啓発資料の配布やLGBTQに関して学べるスタンプラリーなどを実施し、大学祭を訪れた幅広い世代の方にLGBTQへの理解を呼び掛けました。今年度は埼玉大学と同様の取組を行う予定であります。
次に、「相談体制の整備」として、「にじいろ県民相談」と「にじいろ企業相談」を設置し、LGBTQに関する様々な相談に対応しています。
「にじいろ県民相談」では、電話相談のみならず、LINEによる相談にも対応しており、性的指向や性自認に関する悩みを抱える方やその御家族などが相談しやすい体制を整えています。
さらに、「暮らしやすい環境づくり」ですが、LGBTQの方が安心して暮らせる社会の実現のためには、LGBTQの方々の権利や身分に関し、具体的な措置を講じていくことが必要不可欠です。
そこで、私自身が強いリーダシップをとり、県の制度や手続の見直しを進めています。
今後もLGBTQの方々に寄り添った支援を実施し、誰もが自分らしく生き生きと活躍できる共生社会を実現してまいります。
次に、電子申請等の当事者の利益を第一に考えた、パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度の運用についてであります。
LGBTQの当事者の方の中には、パートナーシップ制度等を利用したくても、周囲からの差別や偏見への懸念から、市町村の窓口を訪れること自体、負担に感じられる方がおられることも理解をしております。
パートナーシップ制度等に係る手続など様々な行政手続がオンライン上で完了することは、そうした方々の負担を減らす観点からも非常に意味があるものと考えています。
県では、今年度、新たに性の多様性に関する県と市町村との連携会議を立ち上げ、市町村の取組を支援していく予定です。
この会議において、各市町村におけるパートナーシップ制度等の運用の実態や課題を共有するとともに、オンラインでの手続が可能となる県の電子申請システムの活用など、当事者の利便性を高める方策につき積極的に情報提供をしてまいります。
次に、LGBTQの方々の暮らしやすい環境づくりのための行政サービスの拡充についてでございます。
条例におきましては、パートナーシップ・ファミリーシップに関する制度等の整備が定められております。そこで、県では、県営住宅の入居者資格をはじめ、事実婚を対象としている場合に、同性パートナーも同様に対象とする制度や手続に関する見直しを実施いたしました。
この見直しの考え方や結果を連携会議の場で情報提供するなど、市町村の所管する制度や手続においても同様の取組が広がるよう更なる働き掛けを行ってまいります。
なお、国民の理解増進や、パートナーシップ制度等といった婚姻に相当するような制度の在り方については自治体の取組だけでは限界があります。
国において婚姻に係る憲法の解釈も含め幅広く議論し、統一的見解を示す必要があると考え、国への要望も実施したところであります。
今後も、LGBTQの方々の当事者のニーズを踏まえ、安心して生活できる環境づくりに努めてまいります。
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