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掲載日:2024年3月8日
Q 岡 重夫 議員(県民)
昨年9月11日に美里町で虐待によって亡くなられた金井喜空ちゃんの御冥福を心からお祈りいたします。
さて、県内の児童虐待件数は、令和元年度までに毎年増加し続け、県はこれまで児童虐待を防止するために警察と児童相談所との情報共有化、児童福祉司や児童心理司の増員など様々な対策をしてきました。さらに、令和3年度予算でも児童虐待防止に向けた多くの事業の予算が計上されています。
一方、県内の虐待の相談対応件数は、令和元年度に1万7,473件と前年度に比べ2,139件、13.9%増と10年連続最多を更新しました。そして、先日の新聞報道によると、昨年1年間で県警から児童相談所への通告人員は最多の1万177人とのことですが、月別の内訳を見てみると、昨年3月から6月にかけて通告人員は前年比で増えていますけれども、7月から12月までは減少しています。これは3月から学校が休校になったことや、4月の緊急事態宣言で親子が自宅で過ごす時間が多くなったことで、児童虐待の通報件数が増えたものと考えられます。しかし、7月以降の減少傾向については、児童虐待が見えなくなったおそれがあります。
私は、先月さいたま市内で児童養護施設を巣立った人たちを支援する組織コンパスナビを訪問して、児童養護施設で育った若者やスタッフの皆さんの話を聞くことができました。その中で、昨年後半に虐待件数が減ったのは、家庭内に閉じこもっていて虐待が見えにくくなっている、あるいは在宅テレワークやオンライン授業などで監視されているような状況が虐待を抑止している可能性があるとの意見をいただきました。私も虐待件数や相談件数の数値だけで安心するのは危険なことであり、数値の減少については児童虐待が減少したのではなく、休校や外出自粛などで虐待が周りから見えにくく潜在化し、むしろ虐待が深刻化しているおそれがあると考えて対策を行う必要があると思います。
さて、今回の美里町の児童虐待事件では、この家族は当初シングルマザーで令和元年9月から要保護児童対策地域協議会の支援対象となり、県と町が支援してきました。しかし、その後結婚して子供が生まれた後は、夫が新型コロナウイルスを理由に訪問と支援を拒否したとのことです。私は、喜空ちゃんが昨年5月に生まれて僅か3カ月で虐待により幼い命をなくす事件が起きたことに心が痛みました。そして、報道を見ながら児童虐待を見抜くことができなかったのか、あるいは県の介入による一時保護ができなかったのかと悔やまれます。しかし、今後も今回の事件と同様に、新型コロナウイルスの感染を理由に職員などとの面会を拒否する事案が起きるおそれがあります。
そこで三点、知事に伺います。
一点目は、毎年県内の児童虐待対応件数が増加する中、令和3年度当初予算案において児童虐待防止のために特に重視した事項について。
二点目は、今回の児童虐待事件において、美里町の支援と県の介入の連携体制が十分とれていたのか。
そして三点目は、今回の美里町の事件における県としての教訓と対策について。
以上、知事に伺います。
A 大野元裕 知事
児童虐待対応件数が増加する中、令和3年度予算において児童虐待防止の為に特に重視した事項についてでございます。
私は、子供たちを虐待から守るためには、児童相談所の体制強化を図ることが不可欠と考えております。
本県では、児童虐待相談対応件数の増加に伴い、一時保護所の入所率はほぼ100%となっています。
そこで、今後も一時保護を適切に行うため、熊谷児童相談所の建て替えに併せ、新たな一時保護所を令和5年度に設置をいたします。
また、管内人口が全国平均の約2倍となる110万人を超え、児童虐待相談対応件数も多い川越と所沢の児童相談所の管轄区域を再編し、県の南西部地域に新たな児童相談所の設置・整備を進めてまいります。
令和3年度予算案に県の設置としては8カ所目となる新たな児童相談所と一時保護所の一体的整備に着手するための設計等に関わる予算を計上いたしました。
さらに、体制強化のためにマンパワーを確保し、市町村等との連携を強化していく必要があります。
児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、令和3年度は児童福祉司を 43人、児童心理司を14人増員いたします。
加えて、児童虐待の防止には相談窓口などの充実も重要となります。
そこで、SNSを活用し、虐待に関する悩みなどを誰にも知られずどこからでも相談できる窓口を開設するほか、休日・夜間に虐待通告を受ける体制を充実させるなど、児童の安全確保に万全を期してまいります。
次に、今回の児童虐待事件において美里町の「支援」と県の「介入」の連携体制が十分とれていたのかについてでございます。
今回の事件は幼い命が亡くなる大変痛ましいものであり、胸が締め付けられる思いであります。お亡くなりになりましたお子様の御冥福を心からお祈りを申し上げます。
この事案は要保護児童対策地域協議会において児童相談所も含め様々な関係機関が関わっていましたが、以前から町が中心となり子育てや生活等に関する相談などの「支援」を行っていたものであります。
熊谷児童相談所は町に対して、「養育が困難な場合には児童相談所が一時保護をする」、「子供に会えなくなる場合には児童相談所が介入する」などを伝え、役割分担の上、連携をすることを申し出ていました。
しかし、町が子供の安全確認のため自宅を訪問する連絡を何回も拒否されたことについて、児童相談所ではその詳細な情報を十分に把握できておりませんでした。
こうした重要な情報が共有されていなかったことを踏まえ、子供の安全確保に当たり、町との連携体制が十分であったかについては検証の対象にしたいと考えています。
今後、検証委員会による検証の場で連携体制を含め、どのように対応すべきであったかをしっかり検証していただきたいと思います。
次に、今回の美里町における事件に関して県としての教訓と対応についてであります。
教訓としては、保護者が家庭訪問に協力的でない場合や先延ばしする場合は虐待リスクが非常に高いとの認識を持つべきであるということが挙げられます。
また、市町村が抱えているケースで対応に困っているものがあれば、躊躇なく児童相談所に相談をしていただき、適切な役割分担の上、連携して対応する関係を日頃からしっかり構築しておくことも挙げられると思います。
そこで、今回の事件を受け、改めて市町村に対して、訪問を先延ばしにする場合や、保護者が威圧的な言動をとる場合には、児童相談所や警察に相談をすることをお願いをいたしました。
また、児童相談所長に対しては、市町村がこうした対応に苦慮しているケースがないかを早急に確認をし、あれば必要な支援を行うよう指示をいたしました。
こうした悲惨な事件によって尊い子供の命が失われることは今後絶対にあってはなりません。
私は社会の宝である子供たちを守るため児童虐待の防止にしっかりと取り組んでまいります。
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