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ページ番号:194842
掲載日:2022年6月21日
Q 小島信昭 議員(自民)
私が継続的に取り上げているテーマの一つ、それがスマート農業であります。これまでRTK(リアルタイム・キネマティック)やLPWAの活用など、様々な新技術を御提案してまいりましたが、新技術の動向を見極めてから導入を検討するといった答弁に終始しているように感じています。新たな技術が確立し、完成品ができ上がったら導入しましょうという印象であります。新技術は未完成で、過渡的なものが多いのも事実であります。しかし、新技術に正面から向き合って試行錯誤を重ねることにより、課題を解決していくものではないでしょうか。完成まで待って、完成品をただ利用するだけのユーザーのような姿勢では、新時代の農業は切り開けないと思います。
過去には、行き過ぎた行政改革によるコスト削減という目先の利益ばかりにとらわれた残念な例がありました。例えば、予算の削減によりイチゴの新種の研究開発などが一時中止に追い込まれました。手間暇をかけて埼玉県のブランドのイチゴを開発するより、他県が開発した売れ行きが良いものを作ったほうが効率が良いという考えだったのでしょうか。どんなに味や品質が間違いなく、おいしくても、埼玉県産の「とちおとめ」では埼玉県ブランドとは言えないのではないでしょうか。また、激化する産地間競争を勝ち抜いていかなければならないのに、埼玉県産「とちおとめ」では勝ち抜けないのではないでしょうか。
本来の投資を怠ったことが後々に悪影響を与え続けることになっています。スマート農業に導入に関しても、同じ歴史を繰り返すつもりなのでしょうか。
国においては、農林水産省がスマート農業の社会実装を推進するため、令和元年度からスマート農業実証プロジェクトをスタートさせ、全国148地区で実証中であります。ロボットトラクターの自動運転やドローンによる詳細な成育管理に高精度農薬散布、各種センサーからの情報をAIで分析し収益性を高めるアプリの導入など、様々な先端技術が全国各地域の圃場で実際に使いながら改良が進められています。
また、5Gが今後、スマート農業をより進化させていく鍵となります。非常に多くのデータを超高速で送受信することが可能で、タイムラグがなく、数多くの情報のやり取りができ、それぞれの現場に即したスマート農業の展開が図れると期待されております。
総務省は、5Gにより地域課題を解決するための総合実証実験を実施しており、令和2年度は地域で様々なニーズに応じて独自の5Gシステムを柔軟に構築できるローカル5Gについて、地域で実際に活用してもらうプロジェクトを進めています。
国はコロナ後の社会を見据え、令和2年度3次補正予算も含めてスマート農業の実装化に向けた予算を大幅に増額しています。県としても、地域の農業者と連携して国の事業を積極的に活用しスマート農業導入の加速化を図り、農業分野においてもデジタルトランスフォーメーションを実現し生産性を飛躍的に向上させるとともに、担い手不足の解消を図っていただきたいと思います。知事の御所見をお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
私は担い手の減少や高齢化など本県農業の課題に対応し、収益性の高い農業を実現するためには、農業現場のデジタルトランスフォーメーションとして、スマート農業を速やかに普及させる必要があると考えております。
議員お話しの国のスマート農業実証プロジェクトについては、本県も参画し、露地野菜のスマート農機による一貫生産体系の構築、豚の繁殖作業の自動化という2地区の取組について、実証を進めております。
さらに、本県独自の施策として、農業経営における本県特有の課題をスマート農業技術により解決するため、令和2年度から実証事業を行っています。
例えば、現在、米や麦などにおいて、小区画で分散しているほ場におけるロボット田植機の効率的な利用など5地区での実証に取り組んでおり、令和3年度は露地野菜での実証にも取り組む計画です。
また、果樹では、農業技術研究センターにおいて、スマート農業技術に対応した梨園の整備や、自走式防除機など省力化機械の導入を行っており、来年度から本格的な実証試験や技術展示を行います。
これらの実証により、経営規模に応じたスマート農業技術の導入の効果を明らかにし、農業現場への普及を図ってまいります。
さらに、議員お話しの5Gにつきましては、県でも5Gネットワークの早期構築を促進する取組を進めています。農業分野についても5Gの活用方法を検討をさせていただきたいと思います。
儲かる農業を実現し成長産業とするため、国の事業も活用しながら、スマート農業の導入の加速化に取り組むことにより、農業現場のデジタルトランスフォーメーションの実現に努めてまいります。
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