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掲載日:2020年7月10日
Q 渡辺大 議員(自民)
埼玉県では、平成30年度で中学生が8人、高校生12人の未来ある尊い命が自殺により絶たれてしまっています。とりわけ亡くなった生徒は、校内で情報共有されるような気になる生徒ではなかったケースがあることが、課題として挙げられています。
今の自殺防止のための取組の主なものは、相談者や相談窓口に相談に来るように勧める、啓発する、そういう対応がメインとなっていますが、外部からのコンタクトでは自殺を防ぎ切れないケースが増えているという状況があり、悩み、鬱などから自分で自分の身を守れるようにするそのすべを、大人は子どもたちに提供する必要があると考えます。子供たちが悩み苦しんだとき、その悩みと向き合い、人生の一通過点と捉えられる力をつけてあげること、これこそが子供たちに「生きる力」をつけるということです。
WHOが公表しているデータによれば、自殺者の実に約97%が何らかの精神障害の診断がつく状態にあったということが分かっています。特に鬱病は、日本人の約7~8%が一生のうちに一度はかかると言われ、誰にでも起き得る疾患となっています。ですから、鬱に至らないための事前予防、鬱傾向が出始めたときの早期対応、鬱に陥った際の対応方法などのセルフケア、これを直接、学校教育の中で教えるべきだと考えます。
悩みが深刻化し鬱に陥る場合に、人間にはゆがめられた思考の癖、認知があると考えられています。まずは自分の考え方がゆがんでいるということに気づき、この考え方の癖を正すことで精神を健全な状態に戻そうとする治療法として、認知行動療法があります。鬱病治療において薬物療法と比肩する有効な臨床研究データが示されており、2010年からは健康保険の対象にもなっています。
先ほど述べたゆがめられた思考の癖は、おおむね10個程度に類型化されています。幾つか御紹介しますと、一つ、単純化。一つ失敗すると、ほかのことも全て何をやっても駄目だと考える。二つ目としては、肯定的なことを無視。自分の良い点を無視する。私って本当に駄目な人間だなどと、良い点もあるのに全て無視してレッテルを貼ってしまう。三つ目としては、自分の責任にする。自分に関係のないことで自分を責める。いじめられているのは相手が悪いのに、自分の性格のせいだなどと自分を責めてしまうなどです。
今はネットで検索すれば情報は幾らでも出ています。ですから、少なくともこの認知のゆがみがあるということを知識として提供しておけば、鬱の前段階に至ったときに自分で調べ、セルフケアをし、命を救える可能性が増すと考えます。A4表裏の資料で30分もあれば伝えられる内容だと思います。子供たち自身が生きていく力として、ゆがめられた認知や認知行動療法について情報提供する機会を設けるべきと考えますが、教育長の御所見を伺います。
A 高田直芳 教育長
議員お話しの「歪められた認知」を修正するという、認知行動療法の考え方は、心の不安や落ち込みなどを自ら解決するために重要なことだと考えております。
令和4年度からの高等学校新学習指導要領では、保健体育の授業において、新たに精神疾患の予防と回復を扱うことが示され、うつ病などの精神疾患を取り上げることとなりました。
本県では、先行的な取組として、県立学校と大学が連携し、養護教諭の専門性を生かした、メンタルヘルスリテラシーの授業を実施した事例もございます。
この授業では、生徒が心の不調や病気、その兆候や症状、特徴、適切な対処方法などを学びました。
この授業を実施したことで、悩んだ時に「周りの人に相談することができそうだ」と答えた生徒が明らかに増えており、国や専門家からも注目を集めております。
心の不調を抱える子供たちにとって大切なことは、まず自分で気づいたうえで、信頼できる大人や身近な人に、迷わず助けを求めることだと考えております。
今後、こうした授業の実践事例を県内に周知するとともに、メンタルヘルス教育の充実に努めてまいります。
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