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掲載日:2023年12月1日
Q 高木真理議員(民進・無所属)
さて、ここでは大きな提案をさせていただこうと思います。それは老朽化マンション対策です。ここで取り上げるのは、分譲マンションが老朽化しても区分所有者である住民も高齢化してしまい、なかなか管理組合の運営も難しく、ましてや最終的に建替えなどの決断ができないまま巨大な空き家として放置されていく可能性の問題です。もちろん一軒家でも空き家になるのは問題ですが、マンションの場合、規模が大きいので巨大な廃墟になったり、耐震不足の老朽化マンションが倒壊したりしたら町全体に影響を及ぼすというところに、私有財産の管理不備が公共に悪影響をもたらす特殊な問題があります。
これまでも本県は、マンションの実態把握に努めようとアンケートを実施したり、老朽化マンションに特化した追跡調査をして様々な対応策を講じています。大いに評価したいと思います。しかし、一方で、管理組合の適切な運用を何とか手助けしようとするこれらの対応策は、残念ながら最終的な解決策になっていないのも確かです。
老朽化して住み続けられなくなったときに、そのマンションを建て替える、取り壊すなどの決断ができるマンションはほとんどないのが現状です。実際、築30年以上の建替えの必要性のあるマンションの中で建替え実績は、わずか1件のみです。マンションの寿命時には住民も相当高齢化する現実の中で、何もできずに放置する選択肢しかとれないマンションがほとんどと考えて対策をとらなくてはなりません。
管理組合で何とかすることを進められるよう、国はマンション敷地売却制度を導入しました。しかし、この方法でもなかなか建て替えられないと思われる上に、地価が安いところでは実現性のないスキームになってしまっています。
先送りばかりしていても問題は解決しません。ここはなかなか進まない国の対策を待つのではなく、県独自に仮称マンション整理機構のようなものを作り、公的な枠組みで老朽化マンションの建替えや除却を進める方法を構築するべきではないでしょうか。もちろん分譲マンションも私有財産なので、税金で救うという話ではありません。しっかりかかる費用は応分の負担をしてもらう仕組みを作って、実際に進めていく進行役を行政が作っていくべきではないかと考えます。
これは新しい制度に挑んでいく大がかりな話になるので、知事に伺います。
A 上田清司 知事
分譲マンションは、昭和30年代前半から建設が始まり、今や全国に約633万戸、埼玉県内にも約43万戸あります。
今後、老朽化するマンションが増加していくことになり、その対策が大きな課題であるという議員の御指摘には全く同感です。
分譲マンションが私有財産であり、その管理は原則所有者で構成される管理組合が自己の責任と自助努力で行うことが基本になっています。
議員御提案の税金を投入せず、所有者の応分の負担だけで建て替えなどを実現する仕組みは理想ですが、入居者の負担能力も様々であり、大変難しい御提案をいただいたと受け止めております。
フランスなどでは、住宅ストックの4分の1がマンションであり建て替え問題が顕在化しております。
最終的に行政が買い取って取り壊すことや公的な組織が買い取り賃貸住宅に転用するといった対応が行われた事例もありますが行政の積極的な対応に抵抗が強く、自主的な対応を促すようになったというふうに聞いております。
また、シンガポールでは、投資の対象としてマンション需要も高く所有者の多数決で売却できる制度によりマンションの再生が進んでいる。このようなことも聞いております。
一方、我が国においては、国土交通省が老朽化マンションの建て替えについての制度改善を行っております。
御案内のように、平成26年には、これまで全員の合意が必要だった敷地売却を5分の4以上の合意で可能とする敷地売却制度が創設されました。
また、平成28年度には市街地再開発事業において建て替えることを条件に区分所有者の5分の4の同意が3分の2に緩和されました。
分譲マンションの老朽化に関する問題は、正に埼玉県のみならず全国的な課題であります。
県としても県内の状況や先進事例をよく調べるなどあらゆる角度から課題を整理して、必要な制度改正など老朽マンション対策の促進に向けて国と共に研究しなければならないものだというふうに思っております。
正に大きな問題でありますので時間を頂きたい、このように思います。
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