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掲載日:2024年11月19日
資源循環・廃棄物担当の研究活動を紹介します。
大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会が続いてきましたが、近年、家電リサイクル法など様々な法律が整備されるとともに人々のリサイクル意識も高まっており、循環型社会形成に向けた動きが加速しています。循環型社会を実現するためには、廃棄物(ごみ)をできるだけ出さない、不要になったものは再使用・再利用することが大切です。しかしながら、どうしても利用できないものは適正に処理処分する必要があるため、ごみ埋立地(最終処分場)は必要不可欠な社会基盤の施設となります。また、新しい最終処分場の建設が困難な状況の中、中間処理(破砕、選別、焼却等)による廃棄物の減量化・資源化も重要な課題の一つです。
このような背景のもと、循環型社会に資するため、廃棄物の発生から処理処分にいたる安全・適正な廃棄物管理を推進するため、次のような調査・研究を行っています。
現状では利用の難しい処理残さの有効利用の推進、あるいは、排出の増大が見込まれる廃棄物の再生利用や処理方法の確立などが課題になっています。処理残さには化学組成や物理的性質が明らかでない廃棄物が混在していることから、それらの有効利用を適正に推進する上で化学組成等の評価方法が課題となっています。また、近年では大規模災害が頻発しており、災害時に既存の処理能力を上回って大量に排出される廃棄物の処理・処分が課題となっていることから、より効率的に有害物質や資源・エネルギーを分離・回収することが課題となっています。
そこで、埋立処分される廃棄物について品質の再評価を行うとともに、再生利用可能な資源の選別方法の検討及び選別品の評価により、再生用途に沿う選別方法を提案することを目標とした研究を実施しています。また、災害時に発生が予想される廃棄物についても選別方法を平時から検討することにしています。
廃棄物をどのように処理・資源化することが最適かを評価・検討することにより、資源循環システムの構築を目指しています。
例えば、不燃ごみ中に含まれる化粧品及び医薬品等を対象とし、不燃ごみ中のそれら化学製品の混入量及び埋立地管理への影響の把握を目的として研究を進めています。不燃ごみ中には完全に使い切っていない化粧品や医薬品等が含まれていますので、抜き取り調査や容器内の残存量の調査を実施しています。
不燃ごみから回収した化粧品、医薬品。未使用や残量の多いものが多数。
廃棄物の中間処理は、従来の目的である廃棄物の減量化、安定化、無害化はもちろんのこと、資源やエネルギーの回収においても重要な役割を果たしています。廃棄物の処理残さや排出量の増大が見込まれる廃棄物を中心に、より効率的に有害物質や資源・エネルギーを分離回収することができる中間処理方法の研究を行っています。
廃棄物の選別処理方法として、比重差選別により複合素材から金属やガラスを分離。
廃棄物の再利用の進捗によって最終処分される廃棄物の量が減少するとともに質も変化していますが、これに伴う最終処分場の浸出水や発生ガス(エミッション)の質あるいは量の変化は明らかになっていません。また、埋立廃棄物の安定化促進、最終処分場の跡地利用の早期実現に向けて、跡地利用の方法によるエミッションへの影響も予想される中、埋立廃棄物の質の制御や埋立工法等についてもさらなる検討が必要です。さらに、不法投棄等による不適正な廃棄物堆積現場に起因する生活環境保全上の支障(水・大気環境汚染、火災、崩落等)の未然防止のための調査・評価手法の開発を行いつつ、問題発生時には迅速な原因究明が求められています。
そこで、埋立後のエミッションの質及び量の違いに応じた埋立地管理の適正化を提案するための研究を実施しています。併せて、最終処分場や不適正処理現場等における生活環境保全上の緊急性に応じた現場観測手法を提案するための研究も実施しています。
廃棄物埋立後の内部保有水や発生ガスの質、量を埋立地の表面からの観測や観測井戸やセンサー等を設置して廃棄物層内部の観測を行い、埋立廃棄物の質の制御や埋立工法等の検討を進めるとともに、安定化促進のための工法の提案に向けて受動的な空気流入実験など、環境負荷の少ない最終処分場の管理方法を検討しています。
最終処分場での埋立実験におけるセンサー類の設置の様子。
最終処分場に起因する公共用水域の汚染、悪臭・有害物質の排出、火災、崩落等を未然に防止するためには、平時の定期的なモニタリングに加えて、問題発生時には迅速な原因究明と環境影響の評価が求められます。異常時には、汚染の原因物質群の同定や汚染源と範囲の確認等の作業が短時間で求められることから、迅速対応が可能な検査体制の整備が必要です。本研究では、地方環境研究所が持つ調査手法と経験を総合化して、事案発生時における自治体横断的な支援体制並びに迅速に対応できる調査手法の構築を目指しています。
観測井戸における水質モニタリングの様子。
埼玉県行政からの依頼による調査研究や試験検査、施策遂行に必要な研究を行っています。
不法投棄現場や不適正処理現場において、GPSを用いた簡易測定により廃棄物等の堆積範囲を推定したり、有害物質等による汚染範囲の推定や環境汚染拡大を未然に防ぐ対策等を実施することにより環境保全に努めています。
硫酸ピッチ撤去現場の様子 不適正処理現場の支障除去の様子
廃棄物に関する問題をできるだけ速やかに発見し、行政施策に活かすことができるような実用性のある廃棄物の分析方法の研究を行なっています。
H23-25年度環境省環境研究総合推進費「アスベスト含有建材の選別手法確立と再生砕石の安全性評価に関する研究」(K113024)で作成しました。
海外における廃棄物問題を解決するための技術支援を行っています。
ベトナムにおける建設廃棄物の管理とリサイクルのための資源循環システムの基盤を構築するために、建設廃棄物の排出・管理の実態、建設廃棄物の投棄地及びその周辺域の環境汚染実態を調査するとともに、建設廃棄物の取り扱いに関する各種ガイドラインの整備を行いました。本事業は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)が共同で実施しているSATREPS(環境・エネルギー研究分野)事業「ベトナムにおける建設廃棄物の適正管理と建廃リサイクル資材を活用した環境浄化及びインフラ整備技術の開発(研究代表 埼玉大学 川本健)」で、日本とベトナムの研究者が共同で行なった研究です。
ベトナムの建築物解体の様子 建設廃棄物の投棄地の様子
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