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掲載日:2023年1月11日
温暖化対策担当の研究課題を紹介します。
気候変動(温暖化)対策には、温室効果ガス排出量を削減し、温暖化そのものを食い止める緩和策と、温暖化による悪影響を軽減する適応策があります。温暖化対策を実現するためには、「緩和策」と「適応策」を車の両輪のように同時に進める必要がありますが、緩和策に比べ適応策の取組は途についたばかりです。平成27年5月に改訂した「ストップ温暖化埼玉ナビゲーション2050」では、温暖化対策として「緩和策」に関する3つの最重点施策を示すとともに、あらためて「適応策」を位置づけました。さらに平成28年3月には、県の適応計画として「地球温暖化への適応に向けて~取組の方向性~」を策定しました。これらの計画を科学的に推進するためには、温室効果ガス排出量の長期予測や、施策効果の定量化などに加え、気候変動やその影響のモニタリング、影響の評価や予測が欠かせません。
地球温暖化対策を進めるにあたり、その基礎となる情報として、埼玉県におけるこれまでの気候変動やすでに顕在化してきている影響のモニタリング、また、それらの影響の評価や予測が欠かせません。
そこで、国内外での気候変動対策のための基礎情報として、これらデータの収集・解析・発信を進めています。
埼玉県における気候変動及びその影響に関する情報を収集し、対策を検討する際の情報として役立つよう解析を進めています。埼玉県は最も暑い県の1つとして知られており、暑熱環境の悪化が懸念されています。そこで、県内を対象とした観測やシミュレーションを行い、適応策に資するためのデータの収集・解析を進めています。
熊谷スポーツ文化公園を上空から撮影した可視画像(左図)及び赤外画像(右図)。
6〜9月の埼玉県内の熱中症救急搬送者数(埼玉県危機管理防災部消防防災課)
2015年12月、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定において、日本は2030年の温室効果ガス排出量を2013年比で26%削減することを約束しました。世界全体の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃未満に抑制するため(2℃目標)、省エネの推進や再生可能エネルギーの活用といった緩和策の取組をいっそう強化していく必要があります。埼玉県は2009年に「ストップ温暖化・埼玉ナビゲーション2050」(埼玉県地球温暖化対策実行計画)を策定し、2020年における県内の温室効果ガス排出量を2005年比で21%削減するという独自の目標を設定しました。2020年以降の温暖化対策については今後の検討課題ですが、達成可能な排出削減目標を策定するには、県内の社会経済活動の動向を適切に把握する必要があります。温暖化対策担当では、県内の人口、経済、気象データを統計的に分析し、温室効果ガス排出量の算定と将来予測に取り組んでいます。
人口、経済、気象の変化が県内の温室効果ガス排出量に与える影響を統計的に評価し、複数の社会経済シナリオのもとで温室効果ガス排出量の将来予測を実施します。研究成果は「ストップ温暖化・埼玉ナビゲーション2050」の改訂に活用される予定です。
埼玉県では、地球温暖化の主な要因である温室効果ガスの実態を把握するため二酸化炭素やフロン等の観測を、温室効果ガス排出量削減目標を設定し計画的な削減を進めるため温室効果ガスの排出量推計を行っています。
また、都市化が進んだ埼玉県では、地球温暖化による温度上昇だけではなくヒートアイランド現象が顕在化していることから、その実態を詳細に把握するため県内小学校約50校の百葉箱を利用した気温観測も行っています。
地球温暖化の主な要因は、人為的に排出される温室効果ガスによると考えられています。中でも二酸化炭素による影響は最も大きいと推定されています。そこで、温室効果ガスの実態を把握するため、当センターでは、温室効果ガス(二酸化炭素、オゾン等)の精密測定を実施しています。
二酸化炭素濃度観測検定システム
大気二酸化炭素試料採取塔
二酸化炭素濃度速報値 (http://www.kankyou.pref.saitama.lg.jp/CO2/co2data.html)
埼玉県温室効果ガス排出量の推移
温度実態調査地点
小学校の百葉箱
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