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掲載日:2025年12月25日
温暖化対策担当の研究課題を紹介します。
気候変動(温暖化)対策には、温室効果ガス排出量を削減し、温暖化そのものを食い止める緩和策と、温暖化による悪影響を軽減する適応策があります。温暖化対策を実現するためには、「緩和策」と「適応策」を車の両輪のように同時に進める必要がありますが、緩和策に比べ適応策の取組は途についたばかりです。令和5年(2023年)3月に改正した「埼玉県地球温暖化対策実行計画(第2期)(区域施策編)」では、目指すべき将来像として「カーボンニュートラルが実現し気候変動に適応した持続可能な埼玉」を掲げ、緩和策として令和12年度(2030年度)における埼玉県の温室効果ガス排出量を平成25年度(2013年度)比46%削減に引き上げるとともに、気候変動への適応策の推進を改めて位置づけました。これらの計画を科学的に推進するためには、温室効果ガス排出量の長期予測や、施策効果の定量化などに加え、気候変動やその影響のモニタリング、影響の評価や予測が欠かせません。そこで、当担当では、これらの調査研究に取り組んでいます。
また、国は平成30年(2018年)に適応策を推進するための新たな法律として「気候変動適応法(適応法)」を施行しました。適応法では、地方自治体に対し、地域における適応に関する情報収集・提供等を行う拠点(地域気候変動適応センター)の確保を求めています。
そこで、埼玉県では、法施行に合わせ、2018年12月1日に「地域気候変動適応センター」に環境科学国際センターに設置しました。当担当は、この適応センターの業務も主に担っています。
地球温暖化対策を進めるにあたり、その基礎となる情報として、埼玉県におけるこれまでの気候変動やすでに顕在化してきている影響のモニタリング、また、それらの影響の評価や予測が欠かせません。
そこで、国内外での気候変動対策のための基礎情報として、これらデータの収集・解析・発信を進めています。
埼玉県における気候変動及びその影響に関する情報を収集し、対策を検討する際の情報として役立つよう解析を進めています。埼玉県は最も暑い県の1つとして知られており、暑熱環境の悪化が懸念されています。そこで、県内を対象とした観測やシミュレーションを行い、適応策に資するためのデータの収集・解析を進めています。


熊谷スポーツ文化公園を上空から撮影した可視画像(左図)及び赤外画像(右図)。

6〜9月の埼玉県内の熱中症救急搬送者数(埼玉県危機管理防災部消防防災課)
2015年12月の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)でパリ協定採択され、2020年3月に日本は、2030年の温室効果ガス排出量を2013年比で26%削減することを約束しました。その後、2021年4月に2030年までの排出量削減幅を46%に引き上げ、さらに2025年2月には2035年までの削減目標(60%削減)や、2040年までの削減目標(73%削減)が示されました。
世界全体の平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃未満あるいは1.5℃未満に抑制するためには、省エネの推進や再生可能エネルギーの活用といった緩和策の取組をいっそう強化していく必要があります。埼玉県も国と同様に2030年度における県内の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減するという目標を掲げていますが、当担当ではそれを側面から支援するため、埼玉県や県内市町村の温室効果ガス排出量の算定等に取り組んでいます。
人口、経済、気象の変化が県内の温室効果ガス排出量に与える影響を統計的に評価し、複数の社会経済シナリオのもとで温室効果ガス排出量の将来予測を実施します。

埼玉県では、地球温暖化の主な要因である温室効果ガスの実態を把握するため二酸化炭素やフロン等の観測を、温室効果ガス排出量削減目標を設定し計画的な削減を進めるため温室効果ガスの排出量推計を行っています。
また、都市化が進んだ埼玉県では、地球温暖化による温度上昇だけではなくヒートアイランド現象が顕在化していることから、その実態を詳細に把握するため県内小学校約50校の百葉箱を利用した気温観測も行っています。
2018年に適応法が施行されたのを機に、当センターに地域における適応情報の収集・提供を担う拠点として地域気候変動適応センターが設置されましたが、その取組として、WEBサイト(SAI-PLAT)による情報発信や、サイエンスカフェの開催、出前講座の実施などに取り組んでいます。

埼玉県温室効果ガス排出量の推移

温度実態調査地点

小学校の百葉箱
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