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掲載日:2023年11月29日
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「三富地域」は1694~1696年(元禄7~9年)に開拓された「三富新田(上富・中富・下富)」を中心に、川越市、所沢市、狭山市、ふじみ野市、三芳町の5市町にまたがる約3,200haの地域であり、農地が5割、林地が2割、その他が3割を占めています。
林地は全て平地林であり、薪として、落ち葉堆肥として、さらに家の材木の供給源として広く利用され、農民の生活になくてはならないものとなっていました。
コナラやクヌギなどの広葉落葉樹の落ち葉を堆肥として還元する循環型農業が、首都圏30km圏に位置していながら、今もなお当地域の多くの農家で続けられていることから、多くの平地林が残っていることが特徴となっています。
特に三富新田では、新田開発にあたり、屋敷地・畑・平地林を短冊状に区画し、間口40間(72m)×奥行き375間(675m)の5町歩の細長い土地を開拓民に配分しており、きれいに区画された地割りに、川越藩や農民たちの知恵と工夫のあとがうかがえ、埼玉県指定旧跡「三富開拓地割り遺跡」として、その景観保存が図られています。
三富地域の管理された平地林(ヤマ)
現在も残る三富地域の地割り
入間地域は川越いもで有名なさつまいもをはじめ、ほうれんそう、さといも、かぶ、にんじん、だいこん、ごぼうなどの生産が盛んに行われている全国有数の露地野菜産地になっています。三富地域も同様で、落ち葉堆肥を使った循環型農業を支えてきた平地林が、今もなお武蔵野の面影を残しています。
しかしながら、昭和30年代以降、燃料としての石炭や石油の普及、さらには化学肥料の普及に伴い、利用されない平地林が増えてきた一方で、都市近郊の保健・休養の場としての評価が高まってきてます。
また、個々の農家の努力だけでは地域の平地林の適正な管理に限界があることから、都市住民などのボランティアによる落ち葉掃き、さらには、下草刈り等が行われるようになってきています。
市民等参加による落ち葉掃き
落ち葉掃きの終わったヤマ
当地域ではバブル経済時期になると、都市近郊に位置することから、土地の評価額が急に高くなり、相続に伴い、林地が産業廃棄物処理施設、倉庫、墓地等に転用される事例が増えてきた。さらに、平成10年度のダイオキシン騒動に端を発し、地域住民から、産業廃棄物処理施設の撤去、相続税対策による平地林の保存等を求める地域農家の熱心な要望を受けて、県では平成11年度以降、関係市町、農業協同組合とも連携して、積極的な対応を講じてきました。
平成13年7月、森林法の一部改正により、森林施業計画(現在「森林経営計画」)が所有者に限らず農協でも策定できるようになり、いるま野農業協同組合による計画策定、事業実施を積極的に支援し、4団地で森林経営計画が認定されています。なお、これにより相続税の優遇措置(課税評価の40%軽減)が適用されます。
平成14年8月に、三富地域を中心とした畑作農業地帯を対象とし、平地林の適切な保全、活用を含む地域の総合的な農業振興を図ることを目的に設立されました。
「構成:川越市、所沢市、狭山市、ふじみ野市、三芳町の5市町といるま野農業協同組合、埼玉県及び地元の農業者、地域住民、森林施業計画を樹立している森林の地権者の会及び民間企業等の代表。(事務局:いるま野農業協同組合)」
(1)身近な存在である三富地域の農業を紹介するために三富平地林散策及び野菜収穫体験ツアー等の開催
(2)緑の保全の必要性やヤマからの恵みを紹介するために「さんとめの木をいかす展」の開催
三富地域の平地林や循環型農業が、農家の努力と誇りを持って3世紀を超えて継続されてきたという成り立ちや現状、課題とともに、この地域の魅力を多くの人に伝え、実感していただきながら、農家と地域・都市住民による「協働」を促進するネットワーク「さんとめねっと」 への参加者の拡大や協働活動に取り組んでいます。(令和4年11月末:延べ会員数1,446人)
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