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司会
それでは武蔵野銀行様の発表になります。
よろしくお願いいたします。
武蔵野銀行 山北様
これから武蔵野銀行の発表を始めます。
私、武蔵野銀行蕨支店、山北と申します。
よろしくお願いいたします。
当行は具体的な企業に対しての取組を発表させていただきます。
今回発表させていただく、会社の企業概要といたしまして、創業50年超の米卸売業者であるA社は、全国各地の業者との連携により安定した仕入れを実現し、大手コンビニを主軸に販売先数が300を超えております。
A社のスピーディーな対応やその精米技術、品質は販売先から高い評価を行っております。
近年皆様も御存じのとおり、米の価格が急騰しており、令和6年1月の米価は前年同月比10%上昇。
さらに令和7年においても、価格上昇を続けております。
今までにない価格高騰による利益率の低下が顕在化していく中で、経費削減等の企業努力だけでは利益率の改善は不可能な状況となりました。
A社としても仕入れ価格上昇の環境下、健全な利益率確保のため、販売価格の値上げ交渉が喫緊の課題だと認識を強めておりました。
続いてA社の真の課題といたしまして、仕入れ価格の上昇スピードが早すぎることに加え、A社の価格交渉経験者が少ないことから、対応が後手に回っていました。
さらに社内で価格交渉に対して「どのような取組をしていいのかわからない」という真の課題が浮き彫りとなっておりました。
A社担当者である私は各種ツールの使用方法をお伝えし、価格転嫁向上に向けて一緒に資料の作成を行うこととなりました。
いきなり価格交渉を行うのではなく、A社と当行で入念な価格交渉に入りました。
価格交渉の事前準備としまして、A社と当行で準備した内容は4点ございます。
1点目はA社が支援ツールを使いこなすこととしまして、いつでも価格交渉支援ツールを利用できるように丁寧に使い方の説明をしました。
2点目が交渉資料の入念な準備です。
A社より、「価格交渉支援ツールの『主要原材料費等の高騰状況』がグラフ化されており、取引先に説明しやすい」との意見から交渉時に活用することとし、同時に当行が従来から取得している「米穀市況速報」も併用することとしました。
3点目は単価・粗利の管理表の刷新です。
価格交渉の結果を管理するための管理表をA社が使用しているシステムをベースに刷新することとしました。
4点目は全社員が一丸となって価格交渉に臨む態勢づくりです。
社長が全社員に社を挙げて価格交渉に臨むことを伝えることで、一丸となって取り組む態勢を整えました。
続いて価格交渉の伴走支援についてです。
その後A社は当行とPDCAサイクルを繰り返すことにより、本格的に価格交渉を実施してまいりました。
まずPlanとしまして交渉準備、価格支援ツールから交渉資料を準備。
Doといたしまして価格交渉の実施、交渉が難航する場合は営業担当者だけに任せず、営業部長も同行するなど、全社一丸となって交渉を継続しました。
3番Checkとしまして値上げ状況の確認、週1回A社を訪問し、単価・利益率管理表を共有しながら、価格転嫁の状況を相互に確認しました。
4番Actionとしまして、対象先の再選定・再交渉。
取引量が多く、利益率が低い取引先を選定していきました。
PDCAサイクルをまわし、価格交渉を行った結果、相応の価格転嫁が実現できました。
成功の要因としては以下の3点です。
1点目は、タイムリーな価格交渉支援ツールを紹介できたこと。
当行営業課長が日頃から経営課題に強い関心を持っており、A社に寄り添っていたことから、いいタイミングでツールの御案内ができたこと。
2点目といたしましては、A社の粘り強い交渉努力。
社長が「全社一丸となって価格交渉に臨む!」と意思表示をしたことから、交渉難航先に対しても上司が営業担当者をサポートするなど、粘り強い交渉が継続できました。
3点目としまして、当行の伴走型サポートの実施。
当行担当者はツールの利用方法や交渉資料の作成からA社に週1回訪問し、交渉の進み具合を共有するなどして継続的に価格交渉に関わっていきました。
交渉の結果といたしまして、100社程度価格交渉が成功、利益率に関しては7.77%の改善となりました。
さらに波及効果として上がった利益により、今後従業員の賃上げを前向きに検討できるようになりました。
A社からは感謝の言葉をいただくとともに、引き続き様々な面での支援をよろしくお願いいたしますと、改めて信頼関係を構築するきっかけとなりました。
当行としても今後の価格の動向に注視しながら、A社を支援すべくサポートしてまいりたいと思います。
当行の発表は以上です。
ありがとうございました。
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