トップページ > 県政情報・統計 > 情報公開 > 情報公開審査会 > 平成22年度情報公開審査会答申 > 答申第163号 「浦和青年の家跡地と同じ再生砕石について、特定株式会社から搬出された先の調査に係る全てについて」の部分開示決定(平成23年3月31日)
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掲載日:2024年4月2日
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答申第163号(諮問第205号)
答申
1 審査会の結論
埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が平成22年2月10日付けで行った、「浦和青年の家跡地と同じ再生砕石について、○○○○株式会社から搬出された先の調査に係る全てについて」(以下「本件対象文書」という。)を部分開示とした決定(以下「本件処分」という。)は妥当である。
2 異議申立て及び審議の経緯
(1) 本件開示請求者(以下「請求者」という。)は、平成21年12月16日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し次の開示請求を行った。
(2) 実施機関は、上記の請求が○○○○株式会社に関する情報が記録されている公文書に係るものであるため、平成21年12月25日付けで、○○○○株式会社に対して条例第17条第1項の規定に基づく意見書の提出についての通知を行った。
また、請求者に対し、平成22年2月10日まで開示決定等の期間を延長する旨の通知を行った。
(3) ○○○○株式会社は上記の通知に対して、平成22年1月29日付けで、上記の規定による「当該公文書の開示に反対の意思を表示した意見書」を実施機関に通知した。
(4) 上記(1)の請求に対し、実施機関は、次のように本件対象文書を特定し、これらについて平成22年2月10日付けで本件処分を行い、請求者に通知した。
浦和青年の家跡地と同じ再生砕石について、○○○○株式会社から搬出された先の調査に係る全てについて
(5) 実施機関は、上記通知と同日付で、○○○○株式会社(以下「申立人」という。)に対し本件対象文書について、条例第17条第3項に規定する「開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日」を書面により通知した。
(6) 申立人は、平成22年2月18日付けで、実施機関に対し、「申立人の製品出荷に係る調査に関する情報について全て不開示にする」との決定を求めて異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
(7) 申立人は、平成22年2月18日付けで実施機関に対して、行政不服審査法第48条で準用する同法第34条第2項の規定により、本件異議申立てに関して執行停止を申し立てた。
(8) 実施機関は、平成22年2月23日付けで、申立人及び請求者に対して、本件対象文書については本件異議申立てに対する決定があるまでの間、行政不服審査法第34条の規定により執行を停止する旨の通知を行った。
(9) 当審査会は、本件異議申立てについて、平成22年5月21日に実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(10) 当審査会は、実施機関から、平成22年6月16日に開示決定等理由説明書の提出を受けた。
(11) 当審査会は、平成22年6月22日に実施機関の職員から意見聴取を行った。
(12) 当審査会は、申立人から、平成22年7月23日に反論書の提出を受けた。
(13) 当審査会は、平成22年9月7日に実施機関の職員から意見聴取を行った。
(14) 当審査会は、平成22年9月14日に申立人の口頭意見陳述を聴取した。
3 申立人の主張の要旨
申立人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。
(1) 製品出荷に係る調査については、実施機関の要請を受けて、公表しないことを条件に任意で、製品出荷先をはじめ、様々な情報を提供したものであり、開示すべきではない。
(2) 県に報告する処理実績報告書や事業者が保有するマニフェストにおいても、再生砕石の納入業者や使用場所の記載は要求されておらず、あくまで事業者の機密事項として開示されるべきではない。
(3) 県議会においても、「中間処分業者、収集運搬業者等立入調査したが、混入の原因は特定できない」との答弁が行われており、混入の原因が特定されていない現状において、情報公開されることは遺憾なことだ。
(4) 県管財課が跡地周辺の大気中の石綿濃度を調査した結果、基準を大きく下回っており、あたかも同時期の再生砕石が有害であるかのごとく断定され、再生砕石の利用が委縮し、さらには営業上の機密が開示されることは、不公平である。
4 実施機関の主張の要旨
(1) 納入現場が特定され得る情報は、条例第10条第2号本文に定める不開示情報に該当し、同条同号ただし書に定める開示情報には該当しないことから、不開示とする。
(2) 納入現場の地番及び建物名は、住宅地図等の他の情報と照合することにより容易に納入現場を特定されうることから不開示とした。
一方、現場写真については、周辺地域に居住する者にとっては納入する現場を特定する余地があるものの、一般的には他の情報と照合することにより納入現場を容易に特定できるものとまでは言えない。
したがって、納入現場の地番及び建物名と異なり、現場写真については、納入現場が特定されうる情報とはいえず、条例第10条第2号の不開示情報には該当せず、開示とする。
(3) 申立人は任意で公表しないことを条件に製品出荷先を始め、様々な情報を提供したもので情報公開による開示については反対であると主張するが、県としては、この条件を要望として受けたに過ぎず、この条件によることを明示的に合意したとまでは言えない。したがって、開示情報は、条例第10条第6号に定める任意提供情報には該当しない。
5 審査会の判断
(1) 本件異議申立てについて
本件異議申立ては、申立人が条例第17条により「当該公文書の開示に反対の意思を表示した意見書」を実施機関に提出したところ、実施機関は本件対象文書について部分開示決定を行ったため、申立人が全ての文書について開示すべきでないとして異議申立てを行ったものである。
(2) 本件対象文書について
本件対象文書は、跡地に敷かれた再生砕石から石綿含有建材の破片が発見された件について、その原因を特定するため、実施機関が申立人に対し調査を行った際の記録や、同時期に製造された再生砕石の納入現場を調査した際の復命書等である。
(3) 条例第10条第2号の該当性について
申立人は、異議申立書及び反論書において、調査に関する一切の情報の開示について反対するとしている。これは、本件対象文書が開示されることにより、あたかもアスベスト混入の原因が申立人にあると誤解され、競争上の不利益や営業上の支障が生じ、法人の正当な利益が害されるおそれがあり、全体が条例第10条第2号の本文に該当すると主張しているものと思われる。
しかし、申立人に対して調査が行われたことは、既に公になっていることであり、また本件対象文書は条例第11条の「開示請求に係る公文書の一部に不開示情報が記録されている場合において、当該公文書から不開示情報が記録されている部分を容易に、かつ、開示請求の趣旨が損なわれない程度に区分して除くことができる」ものであり、対象文書全体が条例第10条第2号に該当する情報であるとは認められないため、全体を不開示とすべきとする申立人の主張は認めることができない。
また、反論書において、申立人は、本件対象文書中の再生砕石の販売先や使用される場所が分かる情報は、あくまで申立人の機密事項であるとしており、これは条例第10条第2号に該当すると主張しているものと思われる。
再生砕石の販売先や使用される場所の記載がなされている情報は、「出荷先調査」の「納入先業者」及び「納入現場」、「復命書」の「確認場所」及び「再生砕石の現況調査の写真」である。しかし、「出荷先調査」の「納入先業者」は不開示とされており、「出荷先調査」の「納入現場」、「復命書」の「確認場所」及び「再生砕石の現況調査の写真」の情報についても、具体的な場所が特定されうる住所の地番等は不開示とされているため、再生砕石の販売先や使用された場所を特定することはできない。したがって、申立人の主張には理由がない。
(4) 条例第10条第6号の該当性について
申立人は、製品出荷に係る調査について、実施機関の要請を受けて、公表しないことを条件に任意で、製品出荷先をはじめ、様々な情報を提供したものであり、すべての情報を不開示とすべきとしている。これに対して実施機関は、この条件を要望として受けたに過ぎず、この条件によることを明示的に合意したとまでは言えないと主張しているが、当時の状況を推察すると、要請を了解されたと理解されてもやむをえない事情にあった可能性も考えられる。
しかしながら、仮に不開示とする要請を了解したと理解されたとしても、ある情報が条例第10条第6号により不開示とすべき情報であるとするためには、その情報を公にしないことの約束が合理的である場合に該当しなければならない。
申立人が提供した情報は、申立人が製造した再生砕石に石綿含有建材が含まれていた可能性があるとして、実施機関が調査のために依頼したものであり、再生砕石の「納入業者名」及び「納入現場」である。本件対象文書は、これらの情報に基づいて実施機関が調査を行った結果を報告したもので、実施機関が作成したものであり、「納入先業者」及び「納入現場」以外の情報も多く含まれている。したがって、「納入先業者」及び「納入現場」以外の情報については、条例第10条第6号の任意提供情報とはいえず、申立人の主張には理由がない。また、(3)で述べたように、「納入先業者」は不開示とされ、「納入現場」については、具体的な場所が特定されうる住所の地番等は不開示とされており、申立人の提供した情報によって申立人の正当な利益が害されるおそれはない。また、それ以外に申立人の正当な利益が害される特段の事情もない。したがって、公にしないとの約束が合理的であるとは認められず、条例第10条第6号に該当するとする申立人の主張には理由がない。
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
管野 悦子、田代 亜紀、松村 雅生
年月日 |
内容 |
---|---|
平成22年5月21日 |
諮問を受ける(諮問第205号) |
平成22年6月16日 |
実施機関から開示決定等理由説明書を受理 |
平成22年6月22日 |
実施機関から説明及び審議(第一部会第54回審査会) |
平成22年7月23日 |
異議申立人から反論書を受理 |
平成22年7月27日 |
審議(第一部会第55回審査会) |
平成22年9月7日 |
実施機関から意見聴取及び審議(第一部会第56回審査会) |
平成22年9月14日 |
申立人から意見陳述聴取及び審議(第一部会第57回審査会) |
平成22年11月30日 |
審議(第一部会第58回審査会) |
平成22年12月21日 |
審議(第一部会第59回審査会) |
平成23年1月25日 |
審議(第一部会第60回審査会) |
平成23年2月15日 |
審議(第一部会第61回審査会) |
平成23年3月31日 |
答申 |
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