トップページ > 県政情報・統計 > 情報公開 > 情報公開審査会 > 平成22年度情報公開審査会答申 > 答申第156号 「実務19 職務質問の実施要領」についての部分開示決定(平成22年9月21日)
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掲載日:2024年4月2日
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答申第156号(諮問第200号)
答申
1 審査会の結論
埼玉県警察本部長(以下「実施機関」という。)が、平成21年11月25日付けで行った「実務19 職務質問の実施要領」(以下「本件対象文書」という。)を部分開示とした決定は、妥当である。
2 審査請求及び審議の経緯
(1) 審査請求人は、平成21年9月25日付けで、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、「○○警察署地域課の行う職務質問の対象者(車)とするTPOが具体的にわかるもの。」についての開示請求(以下「本件開示請求」という。)を行った。
(2) 実施機関は、本件開示請求について審査請求人に確認を行い、請求内容を「○○警察署地域課勤務員の行う職務質問の対象とする時、場所、機会が具体的にわかるもの。」として、本件対象文書を特定し、平成21年11月25日付けで、職務質問における具体的な着眼点及び手法がわかる部分について、条例第10条第3号及び第5号に該当するため不開示とする公文書部分開示決定(以下「本件処分」という。)を行い、審査請求人に通知した。
(3) 審査請求人は、平成21年12月29日付けで、埼玉県公安委員会(以下「諮問庁」という。)に対し、本件処分の不開示部分の開示を求めて、審査請求(以下「本件審査請求」という。)を行った。
(4) 当審査会は、本件審査請求について、平成22年1月27日付けで諮問庁から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(5) 当審査会は、平成22年2月24日付けで諮問庁から理由説明書(以下「説明書」という。)の提出を受けた。
(6) 当審査会は、平成22年3月10日に審査請求人から反論書の提出を受けた。
(7) 当審査会は、平成22年4月20日に諮問庁の職員から意見聴取を行った。
(8) 当審査会は、平成22年5月25日に審査請求人の口頭意見陳述を行った。
3 審査請求人の主張の要旨
審査請求人が主張している内容は、おおむね次のとおりである。
(1) 職務質問が正しく行われているかどうか確認するために公開が必要である。
公開しても犯罪予防、鎮圧、警察活動に支障はなく、警察活動の適正遂行に支障はない。支障があるという考えは警察の先入観による間違った判断である。
(2) 職務質問を受けて疑問に感じたことが多数ある。
知識不足のため、警察官の言いなりで職務質問を受けたが、あとで確認すると警察官の説明不足、説明間違いがあることがわかった。
間違った説明により不利益を被る可能性もあり、警察官が適正に職務質問をしているのかどうかを確認する必要がある。
そのためには、どのような方法で職務質問をしているのか知る必要があり、非公開のままでは間違った職務質問なのかどうか分からない。
職務質問そのものは非常に重要で大切な活動であることは承知しているが、間違った職務質問をなくすためにも公開を求める。
(3) 職務質問に関する事項について、警察官によって説明が違うことが多く、正しい職務質問を行っているのか分からない。
また、職務質問を行う対象となる判断が警察官によって異なっているため、ガイドラインを把握しておかないと、正しいことを説明しているのかも分からない。
正しい職務質問の方法を知るためにも、不開示部分の内容の開示を求める。
4 諮問庁の主張の要旨
諮問庁が主張している内容は、おおむね次のとおりである。
(1)本件対象文書について
職務質問は、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)第2条に基づき、犯罪の予防、鎮圧など警察法(昭和29年法律第162号)第2条に規定された警察の責務をはじめ、その他の法令の執行等職権職務を忠実に遂行するための正当な職務である。
本件対象文書は、本県警察官の実務能力の向上を図るために作成された教養資料のひとつであり、職務質問を実施する際の基本的な心構え、具体的な着眼点、手法等を網羅したものである。
(2)条例第10条第3号及び第5号の該当性について
職務質問は、警察官が職務遂行するために与えられた最も重要な活動のひとつであるとともに、犯罪捜査又は犯罪を予防するための端緒を入手する有効な活動である。
一方、不開示情報は職務質問における具体的な着眼点及び手法が分かる部分であり、警察官が効果的な職務質問を行う際に必要とされる知識、技法等、本県警察が過去の経験及び創意工夫により永年蓄積した内容を詳細に記載した部分である。
したがって、不開示情報を公にすることは、職務質問の手法等が明らかになることにより、犯罪を企図する者等にあっては、当該手法を逆手にとった行動をとるなど対抗措置を講じることが可能となるほか、職務質問を逃れるための便宜を与えることとなるため、犯罪の予防、鎮圧又は捜査等公共の安全と秩序を維持するための警察活動に重大な支障を及ぼすおそれがあるとともに、職務質問はもとより警察活動そのものの適正な遂行にも重大な支障を及ぼすおそれがあることから、条例第10条第3号及び第5号に該当すると認められる。
実施機関は、上記に記載した判断を経て、原処分を行ったものであり、処分は妥当である。
5 審査会の判断
(1) 本件対象文書について
本件対象文書は、実施機関が警察官の実務能力の向上を図るために作成した教養資料のひとつである。当審査会において、本件対象文書の管理について諮問庁に尋ねたところ、実施機関は、関係者以外の者にその内容が知られることのないようにするために、取扱いには十分注意するなどの留意事項を定め、その遵守について指導していることが確認できた。
(2) 本件審査請求について
本件処分において、実施機関は、本件対象文書中で職務質問における具体的な着眼点及び手法がわかる部分を不開示情報とし、その理由を条例第10条第3号及び第5号に該当するためとしている。
それに対して、審査請求人は、不開示理由が間違っているとして不開示情報の開示を求め、本件審査請求を行ったものである。また、審査請求人は、反論書において、公開しても犯罪予防、鎮圧、警察活動に支障はなく、警察活動の適正遂行に支障はない旨を述べ、支障があるという考えは警察の先入観による間違った判断であると主張している。
このため、以下、本件処分の不開示情報における条例該当性について検討する。
(3)条例第10条第3号該当性について
(4)本件処分の妥当性
以上のとおり、本件処分の不開示情報について、条例第10条第3号で規定する「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」に該当することが認められる。
実施機関は、本件処分の不開示情報について、条例第10条第5号該当性についても主張している。しかし、本件処分については、上記のとおり、条例第10条第3号に規定する不開示情報に該当するものと認められることから、同条第5号該当性について判断するまでもなく、不開示とすることが妥当である。
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
管野 悦子、田代 亜紀、松村 雅生
審議の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成22年1月27日 |
諮問を受ける(諮問第200号) |
平成22年2月24日 |
諮問庁から理由説明書を受理 |
平成22年3月10日 |
審査請求人から反論書を受理 |
平成22年4月20日 |
諮問庁から意見聴取及び審議(第一部会第52回審査会) |
平成22年5月25日 |
審査請求人の口頭意見陳述及び審議(第一部会第53回審査会) |
平成22年7月27日 |
審議(第一部会第55回審査会) |
平成22年9月21日 |
答申 |
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