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ページ番号:246408
掲載日:2024年3月31日
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令和4年度に当センターで実施した研究(13テーマ)等に関する成果を公表します。
各テーマの詳細は、それぞれのPDFファイルをご覧ください。
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産業支援研究は、産業界が求めるニーズを把握し、社会情勢を踏まえ、センター内で保有する技術シーズや新技術創出調査の成果を活用し、県内企業の製品化・実用化を支援することを目的として行っています。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 技術区分 | 期間 | PDF リンク |
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1 |
未知試料の概略組成の初度的判別ツールの開発 未知の水溶液試料を成分分析する際に、分析方針の決定に有効な概略組成判別を簡易で迅速に行う手段について検討した。電気化学プロファイル手法に、増感剤による高感度化の手法を取り入れ、対象物質による各種増感剤への感受性の違いや、電気化学プロファイルのパターン形状の違いを指標とした判別を試みた。対象物質14種類の各水溶液について、7種類の増感剤を添加して電気化学プロファイルを取得し、それらを参照データとすることにより、有機酸類、アミノ酸類、糖類などの類型判別の可能性を見出した。 |
未知試料、概略組成判別、電気化学プロファイル、増感剤 |
先端ものづくり関連技術分野 | R4~R5 | 研究報告(PDF:660KB) |
2 |
新炭素系ナノ材料を用いたPEFC用電極の開発 固体高分子形燃料電池(PEFC)は水素を活用したエネルギー循環社会の中心的な発電装置として期待されている。PEFCに用いられる電極は出力特性の向上が求められているが、長年の研究から従来の電極構造では著しい性能向上が難しいとも言われている。そこで本研究では新しい電極の作製を試みた。カーボンペーパーに繊維状ナノ炭素を形成し、その表面にPt微粒子を担持することを試みた電極を作製し、30mA/cm2(0.7V時)の出力特性を得た。 |
PEFC、白金担持触媒、ナノカーボン |
環境・エネルギー関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:391KB) |
3 |
バイオプラスチック成形品の付加価値を向上させる成形加工技術 脱炭素社会実現や海洋プラスチックのゴミ問題解決の要望から、海洋中においても分解するバイオプラスチックが注目されている。中でもポリヒドロキシブチレートとヒドロキシヘキサネートの共重合体(PHBHHx)は、生産性も比較的良好で、環境性能に加えて生体適応性も高い。今後、容器といった汎用品や医療部材に加えて、省材料かつ軽量、緩衝性などの機能性を付与する発泡品への適用が想定される。そこで本研究では、環境性や生体適応性を維持しつつ、PHBHHxの成形温度に適した低コストの水系発泡法により発泡成形を試みた。その結果、水+エタノールを発泡剤とした発泡成形において、真空減圧操作を利用することで、最適な温度かつ短時間で環境・生体適応発泡体を成形した。 |
バイオプラスチック、生分解性、ポリヒドロキシアルカン酸、水、発泡成形 | 先端ものづくり関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:394KB) |
4 |
蓄電デバイスの高性能化 フッ化マグネシウム被膜とメラミン樹脂発泡体セパレータを用いることにより、リチウムイオン電池のハイレート化を検討した。メラミン樹脂発泡体セパレータの圧縮率および電解液中のフッ化マグネシウムおよびエチレンカーボネートの濃度を最適化することにより、充電レート 10 Cまたは放電レート 20 Cにおいて、初期容量が 0.5 C容量の80 %であり、かつ、容量維持率が50 回で 90 %の目標を達成した。 |
リチウムイオン電池、レート性能、フッ化マグネシウム、メラミン樹脂発泡体 | 先端ものづくり関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:490KB) |
5 |
車椅子バスケットボール用車椅子の最適化と設計指針開発(第2報) 本研究は、車椅子バスケットボールのトップクラス選手が使用する車椅子について、競技成績向上に資する最適な形状を科学的に明らかにすること、およびその設計指針を開発することを目的とした。計測およびシミュレーションにより、「車椅子のフレーム構造の違いが、旋回性能を左右するメカニズム」の一部を明らかにするとともに、フレームの設計指針案を開発した。また、「選手と車椅子の適合性」にも着目し、この適合性の差がパフォーマンスに与える影響を、トップクラス選手3名を対象とした計測により定量化するとともに、適合性向上のための設計指針案も開発した。 |
車椅子バスケットボール、旋回性能、適合性、設計指針 | ヘルスケア関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:453KB) |
6 |
熱誘起相分離を伴うゾルーゲル反応を利用したシリカ多孔材料の合成(第2報) ポリメタクリル酸メチルを添加したシリカゾルーゲル系では湿潤ゲルを冷却すると熱誘起相分離が発生する。シリカ多孔構造に対する熱誘起相分離の影響を検証するため、塩基触媒を添加した系でシリカ多孔材料を合成し、水銀圧入法および窒素吸着法による評価を行った。焼成して得たシリカ多孔材料は熱誘起相分離による多孔構造への変化が現れなかったが、熱誘起相分離したシリカ湿潤ゲルは焼成・乾燥時の破損が回避された。 |
ゾルーゲル法、シリカ、シリカ多孔材料、相分離、熱誘起相分離 | 農林水産・食品関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:857KB) |
7 |
グルテンフリー米粉パンの風味制御技術の確立(第2報) 米由来原料のみを使用したグルテンフリー米粉パンの原料である米麹の酵素活性が、米粉パンの風味に与える影響について検討した。課題となっているチーズ臭やみそ・しょうゆ臭に対する指標化合物と米麹の酵素活性の相関を確認したところ、チーズ臭とプロテアーゼ活性の相関関係が確認された。米粉バッターのpHは分解処理12時間以降急激に低下しており、乳酸菌や酵母などが産生する有機酸の影響であると考えられた。米粉パンの風味形成には、米麹由来の酵素活性のほかに、微生物的な要因も影響していることが示唆された。 |
グルテンフリー、米粉パン、酵素活性、風味制御 | 農林水産・食品関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:490KB) |
独創的技術形成研究とは、若手研究者等の独創性を活かした新たな技術シーズの創出・芽出とともに、 研究遂行能力の育成・強化を目的とした調査研究です。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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1 |
炭素繊維強化ポリカーボネートの劣化抑制および劣化評価方法の検討 ライフサイクルコストの低減および資源の有効活用のため、炭素繊維強化ポリカーボネート表面にチタンをコーティングすることによる樹脂劣化を抑制する方法を検討した。また、曲げ試験を行いアコースティックエミッション(AE)を測定し比較・評価した。 |
CFRP、熱可塑性樹脂、イオンプレーティング、アコースティックエミッション | R4 | 研究報告(PDF:806KB) |
2 |
急冷凝固法による蓄電池用マグネシウム合金の開発 次世代電池の目標を達成するため、マグネシウム蓄電池用のマグネシウム合金の開発を行った。高活性Ca添加Mg合金の課題である充放電に伴う崩壊を抑制するため、CaとAlの添加を検討した。Alの添加量を増大することにより崩壊が抑制された。しかしながら、完全に崩壊を防ぐことはできず課題が残った。また、コスト低減を図るため、金属スクラップ回収材の適用を検証した。回収材で混入可能性が高いFeまたはCuを添加しても同程度の電気化学活性が得られ、回収材を適用できる可能性が見出された。 |
マグネシウム合金、マグネシウム蓄電池、急冷凝固法 | R4 | 研究報告(PDF:421KB) |
3 |
AIを用いた火災発生リスクの可視化に関する研究 さいたま市消防局で蓄積している過去10年にわたる火災事例データの提供を受け、分析をおこなった。まず、火災事例データから火災の発生において大きな要因となりうる項目の選定をおこなった。その結果、人間の関わりが大きい項目が火災発生に多大な影響を与えていることがわかった。そこで火災事例データとさいたま市内の町丁目ごとの年齢構成など人口情報を中心に、天候情報などを整理して組み合わせ、火災発生危険度を予測する学習モデルを開発した。さらに、この学習モデルを用いて、火災発生危険度の予測を行い、予測結果をヒートマップによる表示を試みた。 |
ヒートマップ、学習モデル、可視化、火災事例データ | R4 | 研究報告(PDF:821KB) |
4 |
集束イオンビーム装置を用いたマイクロ配線補修技術の確立および電気特性評価 イオンプレーティング装置にて成膜した銅薄膜に集束イオンビーム装置にてパターンを形成した試料を用いて、銅配線の電気特性評価を行った。また、集束イオンビーム装置にて銅配線を断線した後にタングステン膜の蒸着で補修を行い、補修後の電気特性を評価し、補修前後を比較した。銅ータングステンの電気接合はオーミックをとり、インピーダンスの寄生成分は無視できる値であった。また、蒸着したタングステン膜の抵抗率は63μΩcm、355μΩcmと算出された。 |
集束イオンビーム装置、配線補修、タングステン膜、電気特性 | R4 | 研究報告(PDF:1,231KB) |
技術の進展に対応し、センターにおける依頼試験、解析評価技術等の技術支援高度化を図る調査研究であり、 県内企業の問題解決に役立つ評価解析技術の開発・蓄積を目指しています。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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1 |
環境試験機の遠隔監視システムの構築 Raspberry Piを用いて環境試験機の遠隔監視システムの構築を試みた。恒温恒湿槽においてはエラー音の周波数を特定し、異常を検知した。塩水噴霧試験機においては試験液を貯蔵しているタンクの水位と噴霧圧力を検知することにより噴霧状況の監視を試みた。水位はレーザセンサを用いて計測した。噴霧圧力はアナログメーターの指示値をカメラで撮影し、画像処理によってデジタルデータに変換した。各試験機から取得したデータは事務室に送信した。以上の結果、試験機の稼働状況を事務室からリアルタイムで監視できるようになり、業務の生産性が向上した。 |
遠隔監視、Raspberry Pi、環境試験機、マイク、カメラ、レーザセンサ | R4 | 研究報告(PDF:455KB) |
2 |
ADAM方式積層造形物の強度評価に関する研究 当センターで導入したADAM方式の金属3Dプリンタ Metal X Systemでは、造形物の内部を格子状にして軽量化することが可能である。一方で、その内部構造や、積層方向が強度に与える影響に関しては十分な知見が得られていない。本研究では、本装置で扱える材料のうち17-4PHステンレス鋼に着目し、試験片を作製して万能材料試験機で引張試験を行った。積層方向や内部構造を変化させて機械的特性を比較し、内部構造が強度へ与える影響や異方性について調査した。 |
金属3Dプリンタ、積層造形、内部構造、強度評価 | R4 | 研究報告(PDF:526KB) |
令和4年度研究を1冊にまとめて収録した、「令和4年度研究報告(PDF:7,886KB)」です。
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