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ページ番号:228803
掲載日:2023年1月25日
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令和3年度に当センターで実施した研究(15テーマ)等に関する成果を公表します。
各テーマの詳細は、それぞれのPDFファイルをご覧ください。
産業支援研究は、産業界が求めるニーズを把握し、社会情勢を踏まえ、センター内で保有する技術シーズや新技術創出調査の成果を活用し、県内企業の製品化・実用化を支援することを目的として行っています。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 技術区分 | 期間 | PDF リンク |
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1 |
機械学習AIによるCFRP破壊過程のAE波形評価方法の開発 CFRP破壊モードの分類のため、樹脂割れ・界面はく離・繊維破断の3つの損傷モードに着目し時間周波数解析を行った。また位置評定などによりAcoustic Emission(AE)信号発生箇所を特定したうえでCFRP内部において実際に生じている損傷を観察し、AE信号の時間周波数解析結果との相関について考察した。その結果、樹脂割れ、繊維破断、界面剥離の各損傷モードの信号を特定できた。さらにニューラルネットワークを用いた判別モデルを作成し、損傷モードの判別を行った。 |
AE法、時間周波数解析、クラスタリング、ニューラルネットワーク | 先端ものづくり関連技術分野 | R2~R3 | 研究報告(PDF:1,118KB) |
2 |
未利用小麦ストリーム粉の活用による国産小麦パンの風味向上 (第2報) 小麦の製粉工程で生成する高灰分ストリーム粉(高灰分粉)を活用した国産小麦パンの風味向上技術について検討した。高灰分粉で乳酸発酵種(ルヴァン種)を作製したところ、国産小麦パン用粉(強力粉)で作製した発酵種と比べて乳酸菌数が多かった。高灰分粉発酵種の配合により、焼成パン中の遊離アミノ酸及び有機酸含有量が増加した。また焼成パンの揮発性成分分析から、風味強化に繋がる香気成分の増加を確認することができた。 |
国内産小麦、ストリーム粉、高灰分粉、発酵種、呈味成分、香気成分 |
農林水産・食品関連技術分野 | R2~R3 | 研究報告(PDF:699KB) |
3 |
リチウム金属二次電池の開発 本研究は、リチウム金属二次電池を実現するために、高い容量維持率の再現性向上、高温耐性の向上、高容量正極の適用を検討した。フッ化マグネシウム添加電解液を用いることにより高い容量維持率(95%/ 50サイクル)を再現することができた。高沸点溶媒を添加することにより高温(60 ℃)で高い容量維持率(95% / 50サイクル)が得られた。また、Li金属の負荷を増大(3倍)しても高い容量維持率(95 % / 50サイクル)が得られた。 |
リチウム金属二次電池、フッ化マグネシウム、有機被膜 | 先端ものづくり関連技術分野 | R3 | 研究報告(PDF:823KB) |
4 |
リチウムイオンキャパシタの高性能化 有機被膜の形成を抑制するフッ化マグネシウム添加電解液を用いて、リチウムイオンキャパシタの高エネルギー密度化と高温耐性の向上を検討した。電圧範囲1.0 V – 4.0 V、35℃では高い容量維持率とクーロン効率が得られた。電圧範囲2.2 V - 3.8 V、60℃では高い容量維持率とクーロン効率が得られた。電圧範囲1.0 V – 4.0 V、60℃ではサイクルとともに容量が低下した。この原因は活性炭に吸着する水の影響であると推察される。 |
リチウムイオンキャパシタ、フッ化マグネシウム、有機被膜 | 先端ものづくり関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:515KB) |
5 |
新炭素系ナノ材料を用いたPEFC用電極の開発 固体高分子形燃料電池(PEFC)は水素を活用したエネルギー循環社会の中心的な発電装置として期待されているが、中でもPEFCの触媒及び電極の開発が最重要課題となっている。PEFC用の新規な電極の提案に向けて、繊維状ナノ炭素材料(マリモカーボン)を担体材料に用いることを検討した。マリモカーボンへの白金担持に関する検討とその電気化学特性評価を行ったところ、以下の結論を得た。(1)マリモカーボン形成時にCuを添加することによるマリモカーボン形成制御の可能性がみえた(2)白金担持率の制御の可能性がみえた(3)Ni8Cu2が高い触媒性能を示した。 |
PEFC、白金触媒用担体、マリモカーボン、繊維状ナノ炭素材料 | 環境・エネルギー関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:465KB) |
6 |
グルテンフリー米粉パンの風味制御技術の確立 米由来原料を活用したグルテンフリー米粉パンの製造技術の普及のため、生産現場で課題となっているチーズやみそ・しょうゆ様の風味の制御技術について検討した。米麹を使用した米粉パンの揮発性成分分析から、チーズやみそ・しょうゆ様の風味の指標化合物を決定した。市販米麹や焼成条件を変更した米粉パンにおけるこれらの化合物量の変動を確認したところ、米麹の選択や焼成条件の調整により、風味の制御が可能であると考えられた。 |
グルテンフリー、米粉パン、香気成分、風味制御 | 農林水産・食品関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:637KB) |
7 |
熱誘起相分離を伴うゾル-ゲル反応を利用したシリカ多孔材料の合成 ポリメタクリル酸メチルを添加したシリカゾル-ゲル系では重合誘起相分離によってシリカの多孔構造が形成されるが、重合誘起相分離後の湿潤ゲルを冷却すると、さらに熱誘起相分離が発生する。シリカ多孔構造における熱誘起相分離の効果を検証するため、焼成して得たシリカモノリスを水銀圧入法で評価した。シリカモノリスにはメソ孔が確認されたが、熱誘起相分離した場合にはメソ孔が大幅に減少した。 |
ゾル-ゲル法、シリカ、シリカモノリス、相分離、熱誘起相分離 | 先端ものづくり関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:1,044KB) |
8 |
バイオプラスチック成形品の付加価値を向上させる成形加工技術 循環型社会の実現要望から微生物により製造され、海洋中においても分解する生分解性バイオプラスチック(PHBHHx)が注目されている。PHBHHxは柔軟で、環境性能に加えて生体適応性も高い。今後、容器やスプーンなどの汎用品や高機能医療部材に加えて、省材料かつ緩衝性などの機能性を付与する発泡品への適用が想定されている。このため本研究では、良好な発泡品に加工するための初歩として、本材料における気泡の形成を制御できる温度範囲を動的粘弾性測定装置で調査した。その結果、80℃~120℃の範囲で、発泡開始および停止の制御ができるものと判断した。 |
バイオプラスチック、生分解性、ポリヒドロキシアルカン酸、発泡成形 | 先端ものづくり関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:429KB) |
9 |
車椅子バスケットボール用車椅子の最適化と設計指針開発 本研究は、車椅子バスケットボールのトップクラス選手が使用する車椅子について、競技成績向上に資する最適な形状を科学的に明らかにすること、およびその設計指針を開発することを目的とした。そして、「旋回性能を向上させる車椅子フレームの設計指針」を開発するため、予備実験の結果を踏まえ、本実験に向けた実験系を構築した。また、フレームの構造解析シミュレーションを実施した。加えて、「選手と車椅子の適合性の指針開発」に向けて、選手とバスケ車の適合性の違いがもたらすパフォーマンスの違いを実測した。その結果、次年度以降の設計指針開発に向けた示唆が得られた。 |
車椅子バスケットボール、旋回性能、適合性、設計指針 | ヘルスケア関連技術分野 | R3~R4 | 研究報告(PDF:463KB) |
独創的技術形成研究とは、若手研究者等の独創性を活かした新たな技術シーズの創出・芽出とともに、 研究遂行能力の育成・強化を目的とした調査研究です。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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1 |
電気化学プロファイルによる水中炭酸濃度評価 小規模飲食店等における飲料水品質管理を容易にすることを目的に、小型で簡便な飲料水中炭酸濃度評価システムを検討した。炭酸飲料に水酸化カリウム水溶液を加えて炭酸固定し、スクリーン印刷金電極を浸漬し、微分パルスボルタンメトリにより得られた電気化学プロファイルから炭酸濃度を評価する仕組みとした。炭酸固定や電圧印加パターンに関する諸条件の最適化を試みながら、発泡酒、炭酸麦芽飲料、炭酸水などに対して炭酸濃度の評価を可能とし、最大で寄与率R2=0.9989の検量線を作成することに成功した。 |
飲料水中炭酸濃度評価、小型、簡便、電気化学プロファイル | R3 | 研究報告(PDF:527KB) |
2 |
革新的マグネシウム蓄電池用負極材料に関する研究開発 液滴急冷凝固法を用いて、微小電池に使用する小サイズの高活性Mg合金の製造を検討した。その結果、製造条件を制御することにより数cmサイズの箔体(0.1mm)を連続的に製造することができた。Mg合金の電気化学活性はCaを添加することにより向上した。しかし、電気抵抗が増大する微粉化も進行することが示唆された。また、微粉化はAlを添加することにより抑制されることが判明した。 |
マグネシウム蓄電池、マグネシウム合金、液滴急冷凝固法 | R3 | 研究報告(PDF:642KB) |
技術の進展に対応し、センターにおける依頼試験、解析評価技術等の技術支援高度化を図る調査研究であり、 県内企業の問題解決に役立つ評価解析技術の開発・蓄積を目指しています。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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酒造原料米の品質評価へのAIの活用に関する研究 酒造原料米の品質を迅速かつ正確に評価するシステムを構築した。白米を砕粒、整粒の心白の有無、大きさ及び位置により11クラスに分類した。別に整粒、砕粒及び胴割の有無により3クラスに分類した。酒造原料米の学習データセットを作成し、YOLOを用いて深層学習を行った。性能評価及び汎化性能の確認を行い、本システムの有用性を検証した。 |
米、清酒、心白、深層学習、YOLO | R3 | 研究報告(PDF:567KB) |
2 |
金属3Dプリンタのリモートモニタリングシステム ~MotionEyeOSを用いたモニタリング~ 近年IoT技術の普及により、装置を離れた場所からモニタリングしたいという需要が高まっている。しかし中小企業がIoT技術を導入することはハードルが高いため、躊躇する企業も少なくない。本研究では中小企業のIoT化を支援することを目的として、Raspberry Piとスマートフォンを用いて装置の様子を離れた場所からモニタリングできる安価なシステムを構築した。そして、このリモートモニタリングシステムを金属3Dプリンタ付属の焼結装置とガスボンベ庫に対して導入し、システムの性能について検証した。 |
IoT、Raspberry Pi、MotionEyeOS、リモートモニタリング | R3 | 研究報告(PDF:1,498KB) |
3 |
空気圧縮装置の遠隔監視システムの確立 SAITECの現状では、空気圧縮装置と事務室が離れているため、装置の異常をリアルタイムに把握する手段が確立されていない。そのため、異常が発生した際、発見するのに時間がかかってしまっている。そのため安価で汎用性のあるRaspberry Piを用いて遠隔監視システムの構築を行った。光センサ・カメラセンサを作成し、空気圧縮装置の運転状態や圧力のデータを取得することができた。これらのデータを用いることによって遠隔で装置の状態を確認できるシステムを構築した。 |
遠隔監視、 Raspberry Pi 、光センサ、画像認識 | R3 | 研究報告(PDF:356KB) |
令和元年度~令和3年度に、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の「農業機械技術クラスター事業」を利用して実施した研究です。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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1 |
越冬ハクサイ頭部結束機の開発 北関東を中心としたハクサイ農家では、冬季ハクサイを圃場で越冬させるために頭部を紐で結束する(霜害、冷害防止)。この作業は全て手作業で行われているため、高齢化が進む農家では機械化を求める声が多くあった。また、今回開発した結束機は作業者による補助走行のため、結束するハクサイの位置は目視による確認が必要であるが、今後の無人運転を視野に入れ、カメラによるハクサイの位置検出についても併せて検証を行った。 |
ハクサイ、頭部結束、自動化、農業ロボット、農業機械、位置検出 |
R1~R3 | 研究報告(PDF:1,067KB) |
令和3年度研究を1冊にまとめて収録した、「令和3年度研究報告(PDF:6,430KB)」です。
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