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ページ番号:143016
掲載日:2022年3月3日
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平成26年度に当センターで実施した研究(15テーマ)等に関する成果公表です。
各テーマの詳細は、それぞれのPDFファイルをご覧ください。
産業支援研究は、産業界が求めるニーズを把握し、社会情勢を踏まえ、センター内で保有する技術シーズや新技術創出調査の成果を活用し、県内企業の製品化・実用化を支援することを目的として行っています。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 技術区分 | 期間 | PDF リンク |
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1 | 電気化学プロファイルによる水質評価解析システムの開発 昨年度に続き、微分パルスボルタンメトリにより得られる電気化学プロファイルを指標とする新規な水質評価解析システムを検討した。適用分野の例として、成分組成の異なるワット浴ニッケルめっき液の電気化学プロファイルを集積し、共存成分濃度によらず目的成分の濃度を選択的に評価できる印加電圧値を相関性の高さに基づき複数選択した。選択した印加電圧値における出力電流値と目的成分濃度の値の重回帰分析で得た予測式を用い、試料中の複数成分の濃度を1回の電気化学測定で同時に評価できる可能性が見いだせた。 |
電気化学プロファイル、パターン識別、多項式回帰分析 | 環境・エネルギー関連技術 | 25~26 | 研究報告(PDF:398KB) |
2 | オンサイト型ナノインデンター用XYステージの開発 従来からの手動式位置決めステージの10倍以上の分解能を持つステージの開発を試みた。弾性体(ばね)を用いた簡単な仕組みのステージを試作し、静電容量型変位計を用いて分解能試験・負荷状態(200g)ストローク試験をおこなった。結果は分解能0.05μm、ストローク45μm、負荷状態でも無負荷と同一の動作をおこなうことができた。また、この試作ステージをナノインデンター(フィッシャー・インストルメンツ製HM2000)に搭載し、圧子の押込位置の精密位置決めをおこなった。結果は、ねらいどおり2μm間隔で圧痕を残すことができた。 |
MGH加工、超音波、鏡面仕上げ、塑性加工 | 環境・エネルギー関連技術 | 25~26 | 研究報告(PDF:471KB) |
3 | 高周波誘電加熱を利用した軽量・高強度部材の接合技術の実用化 熱可塑性接着剤を用いた高周波誘電加熱接合の実用化と適用範囲の拡大を図ることを目的として、高周波誘電加熱により接合した試験片の耐久性評価並びにポリプロピレン以外の樹脂への高周波誘電加熱接合の適用について検討した。SiCを含有した熱可塑性接着剤を用いて高周波誘電加熱接合したガラス繊維強化ポリプロピレン試験片を50℃、80%RHの環境下で1000h暴露して接合強度への影響を検討したところ、引張せん断強度の低下はほとんど見られず、実用に耐え得る接合方法であることが示された。またポリプロピレンと同様接着剤による接合が困難なポリアセタール樹脂に対しても高周波誘電加熱による短時間・高強度接合が可能であることが明らかとなり、高周波誘電加熱を用いた樹脂接合のさらなる適用範囲の拡大が示唆された。 |
誘電加熱、接合、ガラス繊維強化ポリプロピレン、ポリアセタール | 環境・エネルギー関連技術 | 26~27 | 研究報告(PDF:411KB) |
4 | 炭素繊維強化熱可塑性プラスチックス(CFRTP)の構造部材への適用 ポリカ-ボネ-ト(PC)をマトリックス樹脂とする炭素繊維強化熱可塑性プラスチックス(CFRTP)の強度を向上させるため、プリプレグ作製に用いるPCシ-トに対してオゾン酸化処理を行った。測定の結果、曲げ強さが18%向上し、空洞率は5.8%から3.7%に低減した。これは酸化処理による炭素繊維(CF)とPC界面での接着性の向上、PCの流動性の向上が影響していると考えられた。また、成形圧力を2MPaから10MPaに上げると、曲げ強さが33%向上し、空洞率が5.8%から3.3%に低減することが分かった。 |
CFRTP、熱可塑性樹脂、曲げ強度、空洞率、オゾン酸化処理、界面 | 環境・エネルギー関連技術 | 26~27 | 研究報告(PDF:578KB) |
5 | 最適車椅子設計支援のための、ステレオカメラを用いた、座面簡易3次元計測システムの開発 国際規格「ISO16840-1」は、「車椅子座面」及び「車椅子使用者の身体」の「計測ルール」を規定している。距離センサ内蔵RGBカメラであるMicrosoft社製Kinectを用いて、この計測ルールに従って、臨床で安価かつ容易に車椅子座面を計測できるシステムを開発した。特に、画像処理機能の実装により、座面に貼付したマーカの3次元座標を追跡可能としたことで、リアルタイム計測が可能となった。本システムの、マーカ追跡機能の計測誤差は16mm以下であり、本用途において実用上許容範囲内の精度であった。 |
最適車椅子、設計支援、座面計測、3次元、ステレオカメラ | 人・社会に優しい技術 | 26~27 | 研究報告(PDF:438KB) |
6 | 燃料電池用白金代替触媒の開発 燃料電池は水素を燃料とし、排出が水のみである非常にクリーンな電源装置として期待されるが、酸素還元触媒に白金を用いるなど、高コストが課題の1つに挙げられる。本研究では白金を用いない酸素還元触媒である酸素欠損型酸化ジルコニウムに着目した。当センターで開発した「カーボンフェルトマイクロ波プラズマ処理(CF-P)」により酸化ジルコニウムに酸素欠損を生じさせ、硫黄をコーティングした触媒を開発した(S-ZrO2-X)。この触媒の電気化学特性評価を行った結果、酸素還元開始電位0.73V、電流密度0.0476mA cm-2(0.6V時)を得た。 |
酸素還元触媒、酸化ジルコニウム、プラズマ、硫黄 | 環境・エネルギー関連技術 | 26~27 | 研究報告(PDF:1,290KB) |
7 | フレーバー評価技術の確立による製品の高付加価値化と品質管理への応用 -埼玉県産小麦粉について- 埼玉県産小麦を使用した高付加価値化麺製品を開発するため、そのフレーバー評価技術について検討するとともにうどんの試食アンケートを実施し、うどんの味・香りに関する消費者の嗜好性を確認した。GC/MSにより、等級の異なる小麦粉の香気成分の違いや麺生地調製時の香気成分の変化を確認することができた。試食アンケートでは、消費者がASWや農林61号を使用したうどんの香りを識別しているとともに、家計消費支出の中心である50歳代の消費者に、農林61号の味や香りが好まれていることが確認された |
埼玉県産小麦粉、官能試験、試食アンケート、フレーバー、GC/MS | 人・社会に優しい技術 | 26~27 | 研究報告(PDF:274KB) |
8 | フレーバー評価技術の確立による製品の高付加価値化と品質管理への応用 -清酒について- 清酒の評価の指標となる成分の抽出を目的として、以前当所で実施した市販清酒研究会で得られた市販吟醸酒のデータを基に、重回帰分析を行った。清酒の各種成分に加えて香気成分を説明変数に加えることで各成分値からの官能評点の予測精度の向上が図られ、各種成分の官能評点に与える影響の大きさの違いが示された。さらに、清酒の甘辛度、濃淡度に加えて吟醸酒の主要な香気成分の一つであるカプロン酸エチルを加味したマッピングを行うことで、清酒の風味の特徴を示すことができると考えられた。 |
清酒、香気成分、ガスクロマトグラフ、官能試験 | 人・社会に優しい技術 | 26~27 | 研究報告(PDF:478KB) |
9 | 高温環境下における水蒸気透過度測定技術の開発 内圧の上昇を抑える圧力調整機構を組み込んだ新しいネジ式カップを開発し、高温下における水蒸気透過度測定に適用可能か検討した。85℃におけるポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリプロピレンフィルムの水蒸気透過度を測定したところ、カップ内空気の膨張による試料の破損を起こすことなく水蒸気透過度測定を行うことができた。また、25~85℃におけるポリプロピレンフィルムの水蒸気透過度にはアレニウスプロットの直線関係が見出され、改良カップ法による測定の妥当性が示された。 |
水蒸気透過度、透湿度、カップ法、60℃90%RH、85℃85%RH | 環境・エネルギー関連技術 | 26~27 | 研究報告(PDF:152KB) |
独創的技術形成研究とは、若手研究者等の独創性を活かした新たな技術シーズの創出・芽出とともに、研究遂行能力の育成・強化を目的とした調査研究です。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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1 | リチウム硫黄電池に関する研究 本研究は、リチウムイオン電池を凌駕する蓄電池の実現を目指し、硫黄系正極材料を開発することを目的とする。水を添加したゲル状酸化バナジウムと硫黄との粉砕混合および減圧乾燥を繰り返すことにより、硫黄粒子が酸化バナジウムにより被覆された構造体が得られた。係る構造体を用いた正極は、充放電サイクル特性が向上した。硫黄を酸化バナジウムで被覆することにより硫黄系正極の課題であるシャトル効果を抑制できる可能性が見出された。 |
リチウム硫黄電池、シャトル効果、酸化バナジウム | 26 | 研究報告(PDF:480KB) |
2 | 高度FRPリサイクルシステムの開発 ~混合溶剤によるCFRPの化学処理リサイクル(第2報)~ 本研究では、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)廃材から、常温常圧下で炭素繊維(CF)、樹脂および溶剤を回収することを目的として、混合溶剤による熱可塑性CFRP(CFRTP)の化学処理リサイクルについて検討した。CFRTPのマトリックス樹脂として、ポリカーボネート(Polycarbonate(PC))を使用した。ハンセン溶解度パラメーター(HSP)を利用して混合溶剤を探索し、THF-シクロヘキサノン系2種混合溶剤を選定した。混合溶剤により、常温常圧下でCFRTPシート中のPCを溶解させ、CFを分離した。分離後の溶解液から、THFおよびPCを回収することができた。 |
炭素繊維強化プラスチック、ポリカーボネート、リサイクル、混合溶剤、ハンセン溶解度パラメーター(HSP) | 26 | 研究報告(PDF:357KB) |
3 | 3Dエアロクロマトの開発 抗原を簡便に検出するイムノクロマトグラフィー法において、着色線の視認を容易にするためにクロマト試験紙の透明化を検討した。試験紙としてセルロースエアロゲルフィルムを試作し、評価した。走査電子顕微鏡により繊維径100nm以下、孔径約100nm~300nmの空孔を有するエアロゲルが確認された。その可視光透過率は、湿潤時に90%を超えたが、溶液浸透性は、市販の試験紙の10%~20%程度であった。フィルム生成時に塩類微粒子を混入することにより浸透性が改善した。 |
セルロースナノファイバー、イムノクロマト法、エアロゲル | 26 | 研究報告(PDF:279KB) |
4 | 高香気生成酵母の利用性向上に関する研究 -埼玉G酵母と埼玉E酵母の混合仕込- カプロン酸エチル高生産性だが発酵性の弱い埼玉G酵母と、発酵性の良好の埼玉E酵母を使用し、アンプル仕込で総米60kgの混合仕込を行った。アンプル仕込は初期に高温の経過を取るためか、25℃以上の高温に耐性があると考えられる埼玉G酵母の方が仕込みの段階で酵母数において優勢となったと思われ、混合仕込においては埼玉E酵母より埼玉G酵母の特長が強く現れ、埼玉E酵母による発酵性の改善は見られなかった。 |
清酒酵母、カプロン酸エチル、発酵性、混合仕込 | 26 | 研究報告(PDF:311KB) |
技術の進展に対応し、センターにおける依頼試験、解析評価技術等の技術支援高度化を図る調査研究であり、県内企業の問題解決に役立つ評価解析技術の開発・蓄積を目指しています。
No | テーマ名・抄録 | キーワード | 期間 | PDF リンク |
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1 | 各種ステンレス鋼の耐食性データベースの作成 4種類のステンレス鋼の平板と、それぞれに曲げ穴加工をしたものとで耐食性試験を行い、耐食性に関するデータベースを作成した。また、SUS304とその代替材料であるSUS443J1の耐食性を比較し、同等の耐食性であることを確認した。腐食評価については、耐食性試験には、曲げ加工をした場合の標準的な評価方法が存在しないため、簡易的な腐食の面積評価を考案した。標準法がある平板の評価方法と比較してもよい相関があり、妥当な評価ができた。 |
ステンレス、耐食性試験、腐食評価 | 26 | 研究報告(PDF:438KB) |
2 | 積層造形物の表面処理による高付加価値化 インクジェット式積層造形装置で出力された造形物は、造形方向により表面性状が大きく異なる。また、積層造形物の表面にはサポート樹脂が残存するため、内部を可視化したり、着色処理やめっきを施すことは容易ではない。本研究では、残存するサポート樹脂の除去方法を検討し、内部可視化、着色およびめっきについての技術支援体制を確立した。 |
3Dプリンタ、サポート樹脂、水酸化ナトリウム、塗装、研磨、無電解めっき | 26 | 研究報告(PDF:940KB) |
平成26年度研究を1冊にまとめて収録した、「平成26年度研究報告(PDF:7,915KB)」です。
また「平成26年度研究報告書 第13巻」を発行後、新たに公開となった報告は「平成26年度研究報告書 第13-2巻(PDF:305KB)」をご覧ください。
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