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掲載日:2024年10月23日
Q 高橋稔裕 議員(自民)
しがない営業マンだった私の個人的意見になってしまうかもしれませんが、ひとつ。
好循環経済も、株価も、賃金の増加も、賃金の増加による生活の豊かさも、消費拡大も、全ては企業の価格転嫁なしには実現しません。しかし、企業としては、一度仕入価格を上げたら、賃金を上げたら最後、元に戻せないだろう。その値上がりしたコストをかけてつくったものが、果たして再び売れるのだろうかという強迫観念に似た自問自答と闘い、価格転嫁を経営者は決断します。30年こびりついたデフレマインドの転換、縮こまった日本の全ての好循環の起点は、価格転嫁だと考えます。
営業マン時代、100名を超える従業員を持つ運送業の社長から、「インフレは最高だ。同じ取引さえ続ければ、増収増益なんだから」と、そんなお話を聞きました。
教えてもらったのは、インフレの単純化した例。例えば、80万円の売上高、40万円のコストの会社、うち人件費は20万円、利益は40万円です。25パーセントのインフレになったとき、取引が継続されるならば、100万円の売上高、50万円のコスト、利益は50万円となります。20万円売上高が伸び、利益が10万円増え、従業員給与も5万円増えるのです。
銀行員や経営者が夢にまで見る増収増益です。インフレは取引さえ継続するならば、何もせずとも売上高も利益も増えるのです。
それで何が言いたいかといいますと、「適切な価格転嫁がなされるならば」という大前提があることを強く申し上げたい。民間取引の話なので、行政や政治が価格転嫁は重要だと幾ら言っても、何もできないのがこれまでの限界です。
しかし、今般、埼玉県では、価格転嫁を行わなかった場合の損失を分かりやすく見える化する収支計画シミュレーターで、なぜ必要なのかの経営者の動機づけを行い、互いに価格転嫁をしていこうとする意思を表明するパートナーシップ構築宣言を推進し、組織的に進める枠組みの協定を産官勤労12団体で全国に先駆けて締結しました。
加えて、交渉に必要な根拠を分かりやすく説明するための資料として、価格交渉支援ツールを提供しています。日本銀行等の公表データに基づき正確性を担保、1,121品目に及ぶ原材料価格の推移をタイムリーに反映し、エクセルなどでどなたも使いやすいことが特徴だそうです。さらに、この取組はどの段階でも慣れないもので滞る可能性がありますが、全ての場面で継続的に支援する価格転嫁サポーター制度を構築しました。
ここまで細かく場面を分け、具体的、重層的な取組は、ほかに類を見ないものです。政治行政のやれるところの極致なのではないでしょうか。全国知事会でも高い評価を得たと聞きます。
賃金上昇をはじめとする経済の好循環の価格転嫁、この取組が実効性を持って進められるかが、埼玉経済を前に進めるかに直結します。そして、埼玉は唯一無二の取組をやってきた。もっと力を入れるべきではないでしょうか。大野知事の見解をお尋ねします。
A 大野元裕 知事
県内中小企業の持続的な賃上げをはじめとする経済の好循環の実現には、適切な価格転嫁を促進し、企業の稼げる力を高めることが重要であります。
このため、御指摘のとおり、令和4年9月に産・官・金・労の12者により「価格転嫁の円滑化に関する協定」を全国に先駆けて締結し、ワンチーム埼玉で中小企業の価格転嫁を支援しています。
議員お話しの価格交渉支援ツール及び収支計画シミュレーターについては、本年8月の全国知事会議で私から紹介したところ、非常に高い評価を頂き、多くの知事から活用したいというお声を頂き、現時点でリンクを貼っていただいたり、あるいは多くの都道府県から視察にお越しいただいています。
価格交渉支援ツールのダウンロード数は累計2万4千件を超えており、現在24県からリンクを貼られるとともに、全国のメディアにも取り上げられています。
他方、「労務費の上昇分は生産性の向上により吸収すべき」といった商慣行などによって、労務費の価格転嫁がいまだなお進んでいないことが大変大きな課題であります。
そこで、企業に対し、下請け企業からの値上げを認めた調達担当者が人事評価で不利益を受けないよう、県と埼玉労働局との連名で要請をいたしました。
また、労務費の価格交渉を強力に後押しすべく、現在、価格交渉支援ツールに労務費の業種別データや都道府県別最低賃金データを追加するなど、機能の拡充を行っているところです。
さらには、価格転嫁の成功事例や交渉のコツをまとめた事例集も作成中であり、価格交渉をためらったり、ノウハウが分からない企業を支援したいと思います。
価格転嫁の「埼玉モデル」を更に加速させ、本県から中小企業の持続的な賃上げ、さらには経済の好循環を生み出していくという強い思いを持って全力で取り組んでまいります。
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