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掲載日:2024年4月3日
Q 蒲生徳明 議員(公明)
総務省が2018年に実施した調査では、全国における利用目的のない空き家は349万戸で、過去20年間で2倍近く増加しています。これが2030年には470万戸まで増加するというのが国の推計です。
2018年の調査で本県の空き家総数は34万6,000戸、2013年の調査より減少したものの、利用目的のない空き家は12万4,000戸と増加傾向です。地域別に見ると、空き家割合は人口減少に直面する県北部や秩父地域で高く、空き家の数は核家族化や単身世帯の増加が進む県南部で多い傾向です。
このような中、利用目的のない空き家を400万戸程度に抑制することを目標にした、住生活基本計画の全国計画が2021年3月に閣議決定されました。昨年12月には空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律が施行され、空き家が保安、衛生、景観等の面で、住民の生活環境に深刻な影響を与えることを重く受け止め、市町村による対応策の拡充が図られることになりました。
改正法の特徴は、放置すれば倒壊するなど保安上著しく危険となるおそれのある空き家については、市町村による指導、勧告、命令、代執行等の対象とされた特定空家等に加え、放置すれば特定空家等になるおそれのある管理不全空家等という区分を新設し、早い段階から指導、勧告の対象としたことです。勧告を受けた空き家は、住宅用地の固定資産税や都市計画税が6分の1等に軽減される固定資産税の住宅用地特例が解除されるなど、所有者による適正管理を促すことになります。
空き家対策は法律上は市町村の責務ですが、都道府県は市町村に対する情報の提供及び技術的な助言、市町村相互間の連絡調整、その他必要な援助を行うよう努めなければならないとされています。市町村が実施できる対策の充実と、制度の趣旨を正しく理解して地域の特性に合わせた活用ができなければ、改正法の意図は実現できません。
そこで、今回の法改正を受け、県は市町村への援助をどう強化していくのか伺います。
今回の税の特例解除で、早い段階から中古住宅を手放そうという動きが高まることが想定されます。市町村空き家バンクの支援や空き家コーディネーター、宅建事業者と連携したマッチングの強化など、中古住宅の流通を促進し、管理の悪い空き家の発生を抑制することも重要になると考えます。この点も踏まえ、今後、県は空き家対策をどう進めるのかを知事に伺います。
A 大野元裕 知事
空家等対策の推進に関する特別措置法では、空き家対策の主体は市町村であり、県は、市町村に対する情報提供、技術的な助言、市町村相互間の連絡調整など必要な援助を行うこととされています。
そこで県では、全市町村が参加する「埼玉県空き家対策連絡会議」を通じて、「空き家にしない」「空き家をつかう」「空き家をこわす」の3本柱で、マニュアル作成や先進事例紹介などにより市町村を援助してまいりました。
さらに令和4年度からは、空き家相談の総合窓口として、専門的な知識や経験を持つ「空き家コーディネーター」を設置し、市町村が苦慮されている空き家に関する幅広い相談にも対応しております。
議員御質問のとおり、令和5年度の法改正では、管理不全空家等に対する措置など、市町村が実施できる対策の充実が図られましたので、新たな制度の趣旨を正しく理解し、地域特性に合わせて活用することが大切だと思います。
県では既に、改正法に係る市町村向け勉強会を実施いたしましたが、さらに令和6年度には、市町村の役割として追加された業務を中心に実務的なマニュアルを新たに整備する予定であります。
県内の空き家の状況は地域によって異なるため、市町村と共にマニュアルを整備することで、地域の特性に応じた空き家対策に取り組める内容としてまいります。
今後も、市町村が法に基づく措置を適切に講ずることができるよう、必要な援助を行ってまいります。
次に、中古住宅の流通促進による管理の悪い空き家の発生を抑制することを踏まえ、今後、県は空き家対策をどう進めるのかについてであります。
今回の法改正により、市町村長から管理不全空家等として勧告された宅地については、固定資産税の住宅用地特例が解除されるため、所有者が利用目的のない空き家を手放す契機となることが見込まれます。
利用目的のない空き家は不動産価値が低いなど不動産市場で扱われにくいことから、流通や利活用を促進するため、県内では54の市町村で空き家バンクを設置しております。
県では、空き家バンクを多くの方に活用していただくため、動画を作成し県のホームページでの掲載や、銀行などに御協力をいただき情報発信を行っています。
また、利用目的のない空き家を利活用し、移住・定住やまちのにぎわいの創出を図ることは、埼玉版スーパー・シティプロジェクトのコンパクトの要素としても、重要な取組であると捉えております。
このため、令和6年度から、埼玉版スーパー・シティプロジェクトで市町村が地域まちづくり計画に定める区域において、空き家バンクの空き家購入者への改修費補助などを行う市町村への財政的支援を行う予定であります。
管理不全空家等の発生の抑制には、利用目的のない空き家を流通、利活用させる「空き家をつかう」取組をしっかり進めていくことが重要であると考えています。
県といたしましては、空き家バンクの支援や空き家コーディネーター事業などを通じ、管理不全な空き家の発生抑制に取り組む市町村を支援してまいります。
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