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掲載日:2023年3月14日
Q 石川誠司 議員(自民)
この件は、令和3年6月定例会で我が団の吉良議員から質問がありましたが、私も次世代を担う子供たちの未来を守るため重要と考え質問いたします。
昨年1月、白岡市在住の15歳中学校生徒が亡くなるという大変痛ましい事件が発生しました。この生徒は弟や妹が大勢いて、小学校4年生頃から面倒をみるために不登校になったというヤングケアラーであったと報道されております。
不登校になった当時は、私の地元である蓮田市の小学校に通っておりました。学校や地域の行政機関でもこの生徒の生活状況は把握されていたと聞いておりますが、この事件ではけがをしてから数日たって意識不明の通報があり、3日後に亡くなったと報じられております。経過はどうあれ、この生徒を適切な支援につなげることができていればと考えると大変悔やまれます。
国の平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業でまとめられたヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書では、要保護児童対策地域協議会がヤングケアラーとして把握している子供の約半数がネグレクト状態にあるとされ、ヤングケアラーの家庭状況は複雑です。
一方、子供からはなかなか声を発することができません。教育の現場からいかに福祉につなげていくかという視点が必要です。また、支援されるべき子供であってもヤングケアラーだという自覚がないことも多く、相談や支援を想像すらできないことも考えられます。そのため、昨年度からヤングケアラー支援のためのハンドブックが配布されておりますが、ヤングケアラーの認知度を更に向上させ、社会全体で支援していく機運を醸成していくことが重要であると考えております。
そこで、適切にヤングケアラー支援につなげていくため、教育と福祉の連携を更に推進すべきと考えておりますが、教育長の見解をお伺いいたします。
そして、ケアラー支援条例が施行され3年がたとうとする中、こうした支援を推進するためには、支援する側、される側双方にヤングケアラーの認知度を向上させる取組が不可欠と考えておりますが、福祉部長の見解をお伺いいたします。
また、2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる、いわゆる2025年問題も存在することから、かねてから福祉に対応する人材の不足が指摘されております。先日、内沼議員、吉良議員と入間市の杉島市長を訪ね、ヤングケアラー支援の取組について様々な視点で情報交換を行ってまいりましたが、対策を推進する人材の確保に大変苦慮されているというお話がありました。支援の受皿となる人物の育成・確保についても、更に推進していくことが求められます。
そこで、ケアラー支援計画においても人材の育成が大きなテーマとなっておりますが、現在の進捗と今後の見通しについて、福祉部長にお伺いいたします。
A 高田直芳 教育長
議員お話しの通り、声を上げにくい状況にあるヤングケアラーを適切に福祉につなぐためには、教育と福祉が緊密に連携することが極めて重要と考えます。
埼玉県ケアラー支援条例では、「県や関係機関、民間支援団体等の多様な主体が相互に連携を図りながら、ケアラーが孤立することのないよう社会全体で支える」ことを基本理念としております。
この基本理念を踏まえ、令和3年度から教育局と福祉部と共同で「ヤングケアラー支援のための教育・福祉合同研修会」を開催し、具体的な事例をもとに、教育の面、福祉の面それぞれの支援方策を共有するなど、その連携強化を図っているところです。
この研修会は、3年間で県立高校とともに、市町村の教育委員会及び福祉関係課の職員等、全体で1,000人が参加する計画としており、全ての県立高校と市町村の福祉部門、及び市町村の教育・福祉部門の担当者同士の顔の見える関係づくりに向けて取り組んでいるものです。
また、県立高校や市町村等にスクールソーシャルワーカーを配置し、適切な福祉機関へのつなぎがスムーズに行えるよう相談・支援体制の整備を進めております。
今後ともこうした取組をより一層進め、ヤングケアラーである子供も他の子供達と同様に未来に明るい展望を持てるよう、教育と福祉との連携のさらなる推進に努めてまいります。
A 金子直史 福祉部長
議員お話しのとおり、支援する側、される側双方にヤングケアラーについて理解を深めていただくことは重要と考えております。
県では11月を全国で初めて「ケアラー月間」として定め、集中的にケアラー支援に対する理解と協力を広めるための広報啓発に取り組んでいます。
今年度は、市町村の庁舎のロビーやショッピングモール等でのメッセージ動画の放映や、元ヤングケアラーによるトークイベントの開催など周知を行ったところです。
また、企業等にも積極的に啓発に御協力をいただいており、例えば県内の金融機関の中には、各支店の職員が支援に協力する旨を記載した缶バッチを身に付けたり、来店者に向けての啓発コーナーの設置や、職員研修の開催など、多岐にわたり取り組んでいただいているところもあります。
県内の小・中、高校生に向けては、令和3年度からヤングケアラーハンドブックを配布するとともに、学校への出前講座を行うなど、身近な課題として捉えてもらえるよう取り組んでいるところです。
さらに、県社会福祉協議会の「こども食堂・未来応援基金」については、令和4年4月から新たにヤングケアラーも支援の対象とし、幅広く県民に対して寄附の呼び掛けを行うなど、こうした形でも支援の必要性を啓発してきたところでございます。
今後も、学校、企業、団体等と協力して、ヤングケアラーの認知度を高める取組を積極的に実施してまいります。
次に、人材の育成についてでございます。
ケアラー支援計画において、ケアラーやヤングケアラー支援を担う人材の育成数を令和3年度から令和5年度までの3年間で合計4,000人とすることを目標として定めております。
地域包括支援センター等の関係機関向け研修や教育・福祉部門の職員による合同研修のほか、今年度から新たに主任児童委員やこども食堂などの子供の居場所運営者を対象とした研修も実施しております。
その結果、現時点での受講者の合計は約3,000人となっており、目標に向けて順調に推移していると考えております。
今後は、かかりつけ医などの医療従事者やケアマネジャーに対しても、既存の専門研修等の機会を捉え、各立場における支援の具体的な方法についてさらにご理解をいただくなど、一層の人材育成に取り組んでまいります。
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