トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 令和4年2月定例会 > 令和4年2月定例会 代表質問・一般質問 質疑質問・答弁全文 > 2月28日(月曜日) > 高木真理(民主フォーラム) > 令和4年2月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(高木真理議員)
ここから本文です。
ページ番号:213485
掲載日:2022年3月30日
Q 高木真理 議員(民主フォーラム)
内閣府が行った平成30年度調査によれば、全国の満40歳から64歳までの人口の1.45%、61.3万人がひきこもり状態にあると推計されました。ひきこもり状態が7年以上の方が半数を超えること、初めてひきこもりになった年齢が全年齢層に分布していることなども明らかになったところです。平成27年度の満15歳から39歳までの調査でも、人口の1.57%54.1万人がひきこもり状態にあると推計されており、ひきこもりは、いつ誰がなっても不思議ではないものであることが分かります。
本県では、ひきこもり地域サポートセンターを越谷に設置して、相談の拠点とすると同時に、各保健所でも相談を受け付け、かつ居場所を運営するひきこもり支援団体との連携などを図っています。一応の構えはできているとも言えますが、実際に家族のひきこもりに困って相談した人たちの声を聞くと、まだまだ進化が必要と感じます。
今回質問に当たり、KHJ埼玉けやきの会家族会の方々にお話を伺いました。家族会には、ひきこもりの問題を抱える多くの方からの相談が来ます。伺ったところによると、「サポートセンターに、『お母さんでなく、お子さんが電話してくれないと対応できません』と言われた」「相談したくても、サポートセンターが県内1か所なので、遠くからはとても行けない」「保健所では丁寧に聞いてくれるが、記録に残すだけで解決しなかった」「県精神保健福祉センターに相談したけれど、耳を傾けてくれる方とそうでない方がいる感じで、解決策も示されず、相談は続かなかった」などの声が寄せられているとのことでした。
ひきこもりと一言で言っても、その人ごとにケースは様々です。解決に向けて必要なことも様々で、どんな社会資源や制度や相談先と結び付けることがよいのか、いろいろな連携が必要になってきます。これは、裏を返せば、簡単なフローチャートで処理ができない問題だということであり、たらい回しや、聞きおいて終わるということになりやすいということになります。そこで、少しでも解決に近づけるために、3点質問します。
ひきこもりの多様な問題に対応できる、ひきこもりに特化した支援体制の整備が望まれます。ワンストップで解決できるよう、県のみならず、細かな市民サービスと連携ができる市町村にもワンストップの相談窓口をつくるよう働き掛けられないか、伺います。
今回お話を伺う中で、ひきこもりの多様性に鑑み、様々なケースを持ち寄って相談や学習を行っている家族会の皆様のノウハウの高さにすごいものを感じました。これを生かさなければなりません。実際、県は、ひきこもり訪問サポート事業の委託を家族会にしており、大変有意義な事業なので、こちらは引き続き必要ですが、加えて、今申し上げた市町村のワンストップ支援拠点ごとに連携のとれる家族会の設立と運営支援を行い、身近な市町村で家族会とつながれるようなモデルを県内に展開していくべきと考えます。このような仕組みを推進していく考えはないか、伺います。
ちなみに、好事例の紹介ですが、所沢市は社協と協力して、ひきこもり当事者と家族に役立つ「2021 地域資源ブックマーク所沢エリア版」を発行し、家族会を含めた相談先、居場所、社会資源などを紹介しています。
ひきこもりでは、本人の意思を尊重することが大切です。それぞれの心の状態の中で、ひきこもることを選択することは尊重されなければなりません。一方で、当事者の7、8割に何らかの精神疾患が認められるとの九州大学の調査もあります。ひきこもり当事者の方は、他者との関係を拒んでいて、医療と接点を持つことも難しい状況ですが、精神疾患のケアへのつながりを模索できる試みを事業化することはできないでしょうか。
以上3点、保健医療部長、お答えください。
A 関本建二 保健医療部長
「市町村にもワンストップの相談窓口を作るよう働きかけをすることができないか」についてお答えを申しあげます。
議員御指摘のとおり、ひきこもりの多様な問題に対応し、ワンストップで課題を解決するためには、市町村がひきこもりに関する相談窓口を設置し、広く住民に周知することにより、窓口を明確化する必要があると考えます。
令和3年度に実施した調査では、49の市町村が相談窓口を設置し、このうち29市町村が広報などを通して市民に周知するなど、相談窓口を明確化しています。
相談窓口の設置や明確化ができない理由として、多くの市町村が「ひきこもり支援に係る知識やノウハウが不足しているため」と回答しています。
このため、県では、市町村や保健所、民間団体などが参加するひきこもり支援連絡会議などを通じて、相談窓口の設置を働き掛けるとともに、今月、市町村の相談従事職員などを対象として、ひきこもり相談の対応方法について学んでいただく研修会を開催いたしました。
今後とも、連絡会議や研修会を通して、県内の市町村におけるひきこもり相談窓口の設置と窓口の明確化が進むよう取り組んでまいります。
次に、「市町村で家族会とつながるモデルを推進する考えはないか」についてでございます。
市町村が実施するひきこもり相談において、多様な課題を解決するためには、家族会をはじめ様々な関係機関との連携の強化が必要と考えます。
このため、市町村に対して、ひきこもり支援連絡会議などを通して、ひきこもりに係るネットワークづくり、プラットフォームづくりを働きかけてまいります。
この際、議員御指摘のとおり、身近な市町村と家族会がより連携を密にしていくために、地域単位で活動できる家族会などの存在が重要と認識しております。
県保健所においてはひきこもりの家族の集いや学習会を開催しております。
また、精神保健福祉センターでは、家族がロールプレイなどを用いながら本人とのコミュニケーションを図る「CRAFT(クラフト)」という手法についての学習会を開催しています。
こうした活動を通じて、御家族の精神的な負担を軽減するとともに、さらに地域活動ができる家族会の設立などに繋がるよう支援してまいります。
次に、「精神疾患のケアへのつながりを模索できる試みの事業化」についてでございます。
議員御指摘のとおり、ひきこもりの背景には、発達障害や統合失調症などの精神疾患が関係している場合もあります。
このため、県保健所では、精神科医や臨床心理士などによる精神保健相談を実施しています。
また、御本人の状態などから保健所に出向くことが難しい場合は、精神科医や職員が家庭訪問し、必要に応じて、精神科の受診につなげています。
精神保健福祉センターにおいては、精神保健福祉士や臨床心理士が電話や面接による相談に対応しています。
相談の結果、受診が必要な場合は保健所や精神科に繋ぐなど、個々の状況に合わせて、丁寧に進めています。
ひきこもりの相談は、本人の意思を尊重しながら支援することが大変重要ですが、支援者が本人との信頼関係を築くためには、時間を要します。
このため、相談に当たっては、本人の意思を尊重することを基本としつつ、根気よく丁寧に対応することにより、精神疾患へのケアに繋がるよう、精神保健相談を適切に実施してまいります。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください