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掲載日:2022年6月21日
Q 小島信昭 議員(自民)
昨年発表された2020年農林業センサスによると、農業従事者数は5年前に比べ約23%、40万人も減少しました。その上、平均年齢も68歳と高齢化も一段と進んでいます。加えて、団塊の世代が75歳以上になってきており、今後、農業従事者数の減少に更に拍車がかかると考えざるを得ません。
現在の農業を魅力ある産業へと転換するということで離農を抑止するとともに、新たな就農者を増やしていくことで、この状況から脱しなければなりません。そのためには、農業における収益性の確保が重要であると考えます。産業として成り立ち、就農者を増やしていくには、やはり収益性を上げなければなりません。
新たな5か年計画の中では、引き続きもうかる農業の推進として目指すべき12の指針の一つに掲げ、取り組むとされています。正しい方向性であると思います。本当に農家を支えて今後の埼玉農業を守っていくには、経営体としての体質強化こそが大事です。
私は、毎年この代表質問で農業分野のDX、スマート農業の推進について取り上げていますが、これはこの収益性の確保という観点で有効な手段だからです。しかし、残念ながら県の施策上、目に見えた進展がありません。
昨年も知事から、「現在、実証実験を行っており、その効果を明らかにし普及を図っていきたい」との答弁がありました。聞こえてくるのは、私が2年前に代表質問で推進を提案したRTK(リアルタイムキネマティック)について、その実用現場を視察しましたであるとか、3年前から梨の収穫アプリの開発をしていますなどと、お知らせ、研究、検討の域を出ないものばかりです。知事のよく言われる実装とはほど遠い状況です。研究、検討も大切ですが、現実に一歩を踏み出すことも大切です。
民間ではスピード感が全く違います。例えば、持ち帰り弁当のHotto Mottoややよい軒を運営するプレナスは、加須市内でICTやドローンを活用した低コストの米生産を行い、自社の海外店舗へ提供する事業を開始したそうです。
ドローンやICT導入は最終目的地ではありません。スマート農業がもたらす生産費の低コスト化こそが目指す方向性だと思います。生産コストを抑え、利幅を稼ぐことが重要であり、スマート農業を進め、徹底したコスト削減や経営の合理化などを押し進めた農業経営体を増やすべきと考えます。
そこで、知事にお聞きいたします。昨年2月の知事答弁後、県は実証実験の結果をどのようにまとめ、どのように施策につなげたのでしょうか。
次に、農産物に様々な工夫をして付加価値を付ける、県がこれまでお金と時間を使い取り組んできた新品種開発について伺います。
本年1月15日付けの日本経済新聞にも、「彩のきずな作付拡大」という記事が掲載されました。食味で最高ランクの特Aの評価を獲得し、登録品種開発において大きく評価をいただいたところです。しかし、その記事の中で関東圏1都7県での登録品種数が記載されていましたが、トップは茨城県で47品種、埼玉県は下から2番目の20品種。平成6年度からの増加数でも、トップは茨城県で34品種、埼玉県は神奈川県と並んで4品種と最下位でありました。
新しくて良いものは高く売れるとしても、すぐにそれを超える新品種に取って代わられ、長続きをしないのが現実です。埼玉県として農産物の産地間競争を勝ち抜くためにも、新品種開発にもっと力を入れるべきだと思います。新品種開発に関する知事のお考えをお聞きしたいと思います。
ここまで述べてきたように、埼玉の農業が低コスト化や付加価値化などにより収益性を高め、経営体質を強化し、魅力ある産業に発展することこそが、今の埼玉農業に必要なことだと私は思います。このような考え方を御理解いただいた上で、埼玉の農家が安心して農業を続けられるよう、もうかる農業の実現に取り組んでいただけたらと思います。
コスト削減、経営の合理化など農業経営体の体質改善にどのよう取り組んでいくのか、その具体策を知事に伺います。
A 大野元裕 知事
スマート農業について、昨年2月の知事答弁後、県は実証実験の結果をどのようにまとめ、どのように施策につなげたのかについてでございます。
スマート農業技術には、ドローンなど既に実装段階の技術がある一方、導入効果を見極める必要がある技術もあり、県として技術実証に取り組んでいます。
令和3年度は、米や麦、露地野菜について、県内で選定されたモデル経営体で、トラクタや田植機の自動運転技術、水田の自動水管理システムなどの現地実証を行いました。
トラクタの自動操舵システムでは、米の田植え前に行う代 しろ かきで労働時間が約30%削減される結果が得られています。
また、果樹については、農業技術研究センターでスマート技術を導入した梨園を整備し、自走式の防除機や草刈機など省力化機械の実証を行い、令和3年度は防除時間を約40%削減する結果が得られました。
こうした実証で効果が確かめられた技術を実演会などで情報提供したところ、農業者からは新たなスマート技術の導入に高い関心が寄せられました。
このため、令和4年度では、引き続き必要な技術実証を行うほか、効果が確認できた技術の実装を進めるため、国の事業を活用し、農業機械の自動操舵システムの導入支援などに取り組んでまいります。
本県の農業経営の体質強化に向け、有望な技術の実証に取り組むとともに、効果が確かめられた技術については速やかに農業現場に普及してまいります。
次に、新品種開発に関する考えについてでございます。
県産農産物の高付加価値化や農業の収益向上を図る上で、県として新品種の開発に力を入れることは重要と考えています。
県が開発する品種には、消費者に選ばれるおいしさ、収量の確保、本県の気候に適した栽培のしやすさといった強みを備えることが求められます。
県では、生産現場や需要サイドから新品種のニーズが高く、民間での開発の取組と競合しにくい、米やいちご、梨などを、品種開発の対象品目としています。
これらの品目について、更なる高付加価値化や収益向上を実現できる品種の開発に向け研究を続けてきたところ、ここに来て新たな有望品種が生まれてきました。
いちごでは、観光農園と直売向けの「あまりん」「かおりん」に続き、市場出荷向け品種として、甘さと爽やかな酸味があり、収量が多く輸送もしやすい「べにたま」を開発し、令和3年4月に品種登録を出願いたしました。
また、米では、県で育成した「彩のきずな」と「彩のかがやき」の間の時期に収穫でき、食味が良く高温に強い品種の開発を進めており、品種登録出願に向けた最終段階に来ております。
産地間競争の中で、強みのある新品種を適時適切に生み出せるよう、品種開発には長い期間を要することも踏まえ、力を入れて計画的に研究に取り組んでまいります。
次に、コスト削減、経営合理化など、農業経営の体質改善にどのように取り組んでいくのか、その具体策についてでございます。
農業経営の体質改善を進める上では、議員御指摘のように、スマート農業の推進を通じたコスト削減などによる生産性向上や、新品種の導入による高付加価値化が重要です。
スマート農業については、今議会に提出している令和4年度予算案でも、技術実証や普及実装を行う事業を提案しており、農業経営の生産性がスマート技術により向上していくよう、取り組んでまいります。
また、農業の生産性向上を図る上では、農地の効率的利用も重要であり、農地中間管理事業による意欲ある担い手への農地の集積・集約化や、ほ場整備などの生産基盤整備も進めてまいります。
農産物の高付加価値化については、新品種の開発・導入を推進するとともに、県産農産物が消費者に広く認知され販路が拡大するよう、私も先頭に立ち積極的にプロモーションを行ってまいります。
こうした施策を通じ農業経営の体質改善を図り、本県の農業者が安心して経営を続け、発展させるよう、儲かる農業を推進してまいります。
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