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掲載日:2022年6月21日
Q 小島信昭 議員(自民)
新型コロナウイルス感染症との闘いで疲弊した県民生活、傷ついた県経済を立て直し、県民生活を正常化していくことが求められています。加えて、激化する自然災害への対応や社会課題への対応も急務です。躊躇することなく積極的に施策を推進していくべきです。
しかし、昨年秋の予算編成通知が出された時点での財政当局が行った試算では、昨年度に比べ減少したものの、1,322億円の財源不足が見込まれるとされました。昨年度は同時期に1,475億円と見込まれた財源不足を、歳出の精査などで約830億円に圧縮し、最終的には足りない650億円を財政調整基金の取崩し等で対応いたしました。本年度もこの財源不足を解消するため、知事は全庁に向けてEBPMの考え方に基づいた聖域なき事業の見直しなど、歳入歳出両面からの不断の見直しを行うよう指示を出されたと聞いております。
私は、このコロナ禍において、これまで行ってきた県の事業を大胆に見直すことは非常に重要なことだと思います。多くの職員がコロナ対応の応援要員に駆り出され、本来の事務分掌としての毎年行ってきた事業に当てる物理的な時間が限定されている状況からも、既存事業を徹底的に見詰め直し、真に必要で効果の高い事業に特価することは、今後の県政にとっても有益なことだと思います。
そこで、知事にお伺いします。聖域なき事業の見直しでどのような見直しを行ったのか。また、それによりどの程度の財源を捻出したのかもお示しください。
次に、財源の捻出という点でもう一つお聞きいたします。
既存事業の見直しや地方税財源の確保、国の地方創生臨時交付金などの活用は、いわゆるフロー面での対応ですが、厳しい財政状況を踏まえれば、こうしたフロー面での対応のみならず、可能な限りストック面での対応も検討していく必要があると思います。ストック面を視野に入れることで、財源確保やコストの縮減だけでなく、事業への積極的な活用を通した県経済の活性化も期待できると思います。
ストックの処分費を県債の償還に充てるのではなくて、未来へ投資していくべきです。例えば、鶴ヶ島の農大跡地では、その売却益をSAITAMAロボティクスセンターの整備に投資することによって、超スマート社会の実現や経済の好循環といった将来の成長につなげようとしています。
そこで、今後のストックの活用に関して、その可能性や県の姿勢について、知事に伺います。
次に、今議会に提案されている予算案の内容について伺います。
先ほど新型コロナウイルス感染症対策に関する質問で、県内経済を維持、拡大させるために思い切った経済再生策が必要であると述べましたが、このほか私が今の埼玉県に必要だと思っているのは、特に県民の安心・安全な生活を担保するための積極的な県土強靱化への取組です。コロナ禍で疲弊した県民生活に事故や災害などで、これ以上ダメージを与えることは避けなければなりません。そのための県土強靱化は、喫緊の課題だと思います。
さらに、私は、この県土の強靱化に取り組むことで成長と分配の好循環を生み出すと考えています。県の公共事業が生み出すのはインフラの整備だけではなく、それよって発生する経済的効果です。事業費は請負会社に分配され、企業経営が安定、成長し、従業員への給与や雇用といった形で分配され、雇用、給与の増加は家計の成長につながります。家計の成長は消費につながり、消費は更に企業の成長を押し上げ、経済の好循環が生まれます。
この当たり前の好循環を生み出すことは県の責務であり、そのためには積極的な財政運営が望まれます。こういった時期だからこそ、財政規律、将来負担に縛られ過ぎずに、今やらなければならないことを積極的に取り組んでほしいのです。
昨年、熱海で起きた土石流災害は記憶に新しいと思います。その後に埼玉県で行った盛り土の調査では、直ちに危険という箇所は見つからなかったということですが、継続的な監視や土砂災害防止などの措置が必要とされた箇所は70か所もあったということです。
昨年、千葉県八街市で起きた小学生の集団下校の列にトラックが突っ込むという痛ましい事故、この事故の影響で通学路の安全性に関心が高まり、保護者などによる調査で危険があるとして改善の要望が上がってきた箇所は、前回調査の5,432か所から一気に9,087か所に増加したとのことです。
これらに今回の県予算は、どの程度対応しているのでしょうか。優先すべきものから予算の範囲内で順次対策を講じるということかもしれませんが、それで5年、10年かかってよいのでしょうか。
令和4年度地方財政計画では、投資的経費の地方単独分の伸びが1.6%ですがプラスとなっています。直接比較はできませんが、令和4年度埼玉県一般会計予算における県単公共事業費は、国の伸びを下回りほぼ横ばい。また、2月補正分も含めた13か月予算として見た場合の公共事業全体もマイナスです。
そこで、知事に伺います。県経済を回すためにも、県土の強靱化に関する予算、特に人命に関わる予算については、思い切った予算措置を行うべきだったのでないでしょうか。知事の御所見を伺います。
A 大野元裕 知事
聖域なき事業の見直しでどのような見直しを行ったのか、また、どの程度の財源を捻出したのかについてであります。
令和4年度予算編成方針では、「持続可能な財政運営に向けた聖域なき改革」として、「EBPMの考え方に基づいた不断の事業の見直し」及び「行政のデジタル化やペーパーレス化による行政プロセスの見直し」等を掲げました。
これに基づき、人件費や公債費、扶助費など義務的な経費を除いた約1,500事業を対象に、一般財源ベースで10%の削減目標を定め、事業の見直しに取り組みました。
具体的には、各部局長のマネジメントにより、事業ごとにEBPMの視点から必要性や優先順位などを検証し、事業の廃止や予算の縮減につなげたところです。
代表例としては、デジタル化やペーパーレス化の推進を踏まえた浄書センターの廃止や、会議、研修等の実施方法を見直すことで、旅費や印刷製本費、会場借上げ料を3.5億円削減いたしました。
また、合併処理浄化槽への転換を促進する補助事業では、共同住宅への補助を廃止することなどとし、整備効果の高い個人向けの補助への重点化をいたしました。
これらの成果として、一般財源ベースで総額約55億円の見直しを達成いたしました。
次に、今後のストックの活用に関する可能性や県の姿勢についてでございます。
私も、本県の厳しい財政状況を踏まえると、フローだけの財源対策では今後の財政運営は難しいと考えております。
そのため、議員御指摘のとおり、ストックの有効活用にも目を向けることは重要であると考えております。
これまでの活用事例では、旧騎西高校のグラウンドや建物等を県サッカー協会へ貸付け、指導者、審判の養成及び選手の強化、育成等を行うフットボールセンターとして有効活用することで、県内スポーツの発展を図っております。
今後、本県の人口減少や急速な高齢化を踏まえ、県有施設のダウンサイジングや統廃合を行えば、ますます新たな未利用財産が生じてまいります。
例えば、現在、上尾シラコバト団地の老朽化に伴う建替えを進めておりますが、県民ニーズを踏まえた既存県営住宅の集約化などにより、未利用財産が生じる見込みです。
この土地に民間企業の投資を呼び込むため、売却や貸付を通じ地域経済の活性化など未来につながるプロジェクトを実施することも考えられます。
今後、ストックの活用に当たっては、その規模や立地、地域特性などを踏まえ、知恵と工夫を凝らし、多様な活用策を検討します。その上で、産業の集積や賑わいの創出による地域経済の活性化へつなげてまいります。
次に、県土の強靭化に関する予算、特に人命にかかわる予算については思い切った予算措置を行うべきではないかについてであります。
令和4年度予算案では、公共事業費を1,011億円とし、2年振りに、1,000億円を超える予算額を計上しました。
さらに、国の補正予算を活用し、令和3年度2月補正予算と合わせた13か月予算として、前年度と同規模となる1,362億円を計上し、防災・減災対策を強力に推進してまいります。
なお、公共事業費を含む投資的経費全体でも、直近の10年間で最大となる1,822億円を計上したところであります。
議員お話しのとおり、安心・安全を確保する取組においては、優先順位や計画ありきではなく、状況に応じてできる限り速やかに対策を講じる必要がございます。
例えば、通学路の安全対策では、早急に対策が必要となる箇所について、「第5期埼玉県通学路整備計画」を策定し、そのうち本県所管分の2,029箇所について対応することとしております。
この計画は令和4年度からの5か年計画ですが、令和3年度2月補正予算で617箇所のハード対策を前倒しすることなどにより、令和4年度当初予算と合わせて令和4年度末までに6割以上の箇所で対策を実施する見込みです。
緊急性が高く特に早急な対策が必要な事業については、思い切った予算措置を講じ、迅速に県民の安心・安全の確保に全力で取り組んでまいります。
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