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掲載日:2023年10月17日
Q 木下博信 議員(自民)
今回、新型コロナの第1波では、県内で最も所管人数が多い保健所の管内でクラスターが頻発しました。次にまた新たな感染症が発生しないとは限らず、このままでいいのか考える必要があります。「保健所の整理・統廃合が進み過ぎた。反省すべき点がある」という声が、国の関係者からも聞こえてくる状況です。恐らく県としても同じ認識で、保健所の配置と管轄範囲の見直しをしていく必要があると思慮されていると思いますが、その理解でよろしいのかどうか。保健医療部長の考えをお聞かせください。
そして、何らかの見直しが必要だと認識されているという前提で、中核市と保健所の歴史を振り返りながら質問を進めさせていただきます。
1995年に人口30万人、面積100平方キロ、昼夜間人口比率100以上という条件で、中核市という制度が始まりました。そして1999年、2002年と条件が緩和され、2006年には人口が30万人以上という条件のみになりました。そういう制度の流れの中、2007年に川越市が県内初の中核市になりました。その川越市は、2004年に中核市が開設可能な保健所を設置しています。
川越市保健所の設置と時を同じくして、県は保健所の統廃合、再配置を進めます。私の住む草加保健所も、2006年に吉川保健所とともに越谷保健所に統合されました。草加や吉川だけでなく、県内各地で同様の統廃合が進められました。保健所の整理・統廃合による県の仕事の効率化を目指していくものであったのでしょう。
そして、2010年にもう一歩進んだ動きが始まりました。2006年に保健所から分室になったところについて、分室を廃止して本所に統合する形での更なる統廃合です。しかし、この中で分室が本所になって、本所がなくなってしまったというところがあります。中核市になれる越谷市と所沢市です。その2カ所からは、保健所を分室のある草加市、春日部市と狭山市に移動することになったのです。これ、あなたは中核市になれるのだから保健所なくします、不便なら自前で設置してくださいと促す配置変更としか思えません。
思えませんというのは、この分室が本所になる変更を草加市に説明に来られた県職員の方々は、全くそういうことを言わずに理由を説明してくれたからです。草加市では歓迎されるべきことなので異論はなかったのですが、「『越谷は中核市になって保健所が設置できるのに、設置しないから他に持っていきます』と触れない見事な論理構成ですね」と称賛したら、肯定はされませんでしたが、否定もされず苦笑いをされていました。これは邪推だと言われるかもしれません。
しかし、当時の板川越谷市長は、「県から設置しろと言われているが、負担と運営する困難さを考えると、中核市になって設置するメリットがない」と明言されていましたし、先日、当時の齋藤所沢市長にも聞いたところ、「設置してくれと言われたが、老朽化した施設のままじゃとてもじゃないけどやれないので、建て替えた後の移管なら考えると答えて、そのままになった」とおっしゃっていました。つまり、2010年の再編に合わせて、県は越谷市と所沢市に保健所を開設してもらおうと働き掛けていたのです。そして、それがかなわなかったから、もしくは開設したくなるように、両市から保健所を移動させたと憶測することができます。
そういう経過の後、越谷市は高橋市長に代わり、2015年に越谷市保健所が設置されましたが、所沢市は当摩市長、藤本市長と代わっても、中核市になり設置するという選択をしていません。
こうした経過の中、新型コロナがまん延し、特に所沢市で多くのクラスターが発生、狭山保健所の職員に、管轄内の県民に大変な負担をかける事態になったのです。これ、県から見たら道半ばで起こった災害、所沢市から見たら県が適正な再編成をしてこなかったことで生まれたしわ寄せ。私は、どちらが正しいと言う気はありません。しかし、このままの配置でよいとは全く思えません。中核市になれるのだから、所沢市が中核市になって自分で設置すればいい話という考え方もあります。
しかし、その中核市ですが、特例市制度がなくなって、2014年から人口20万人以上であれば、保健所を設置して中核市になれるという制度に更に緩和されています。もし中核市になれるのだから設置すべきものということでしたら、草加市、上尾市、春日部市までも対象になります。2010年の状況とは全く違っていますので、私は、現段階で中核市対象の全ての市に保健所を設置する意思があるかどうかを確認し、その回答を反映させた形で保健所の配置の再検討を始めるべきだと考えます。こうした経過を踏まえた上で、各保健所の現在の配置と管轄区域の在り方を今後どのようにしていくのか、保健医療部長のお考えをお伺いします。
そして、こうした歴史的経過を踏まえて、企画財政部長に改めて当たり前の確認なんですが、中核市というのは一定の基準を満たせばなることができる制度なのか、ならなければならない制度なのか。また、埼玉県はその制度の基本を踏まえ、なるように誘導する施策を展開する意識はあるのか、当該市の意思を尊重する姿勢なのか、お答えいただきたく存じます。
A 関本建二 保健医療部長
保健所の配置と管轄範囲の見直しをしていく必要があると思料しているかについてでございます。
平成6年の地域保健法の制定により、国の方針として母子保健などの身近な保健サービスが市町村に移管され、お話のように、保健所の再編が進められてきました。
全国の保健所の数は、平成6年3月の848か所から、今年4月現在では469カ所まで減少しています。
本県でも限られた資源を活用し感染症や難病など専門性の高い分野への対応を強化するため、組織を大くくり化した一方、保健師などの専門職については職員数を維持してきました。
必ずしも行き過ぎた再編であったとは考えておりません。
一方、グローバル化の進展により、新型コロナウイルス感染症のような海外由来の新たな感染症が今後も発生するおそれがございます。
今回の感染症では患者が多数発生し、積極的疫学調査などの専門的業務に従事する保健師の負担が過重となる状態が生じました。
まずは保健師の増員を進めてまいります。
その上で、保健所の配置と管轄範囲の見直しについて検討してまいります。
次に、歴史的経過を踏まえた上で、保健所の現在の配置と管轄区域のあり方を今後どのようにしていくかについてでございます。
議員お話の市による保健所の設置については、政令指定都市や中核市のほか、地域保健法施行令に基づく保健所政令市として行う場合がございます。
国が地域保健法に基づき定めた「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」では、保健サービスの一元的な実施の観点から、人口20万人以上の市について保健所政令市への移行を検討することを求めています。
ワクチン接種などと一元的に感染症対策を講じていくためにも、十分な人口規模を持つ市に自ら保健所を設置していただくことは意義があると考えます。
県としては、該当する各市において保健所政令市への移行を十分に検討していただき、市において保健所設置を目指すということであれば、できる限りの支援をしていく考えです。
こうした各市における検討結果を踏まえ、県設置保健所の配置の見直しを検討してまいります。
A 堀光敦史 企画財政部長
中核市は基準を満たせばなることができる制度なのか、また、中核市になるよう誘導する施策を展開する意識はあるのかについてでございます。
中核市は、地方自治法の規定に基づき、都道府県の同意を得て、人口20万人以上の市から申出を行った上で、政令で指定されるものです。
したがって、人口要件を満たした市は、その主体的な意思を前提として、中核市に「なる」ことができる制度と理解しております。
中核市への移行は、基礎的自治体として、住民に身近な行政サービスを幅広い分野で提供することが可能となり、地域の実情を踏まえたきめ細かな行政が展開できるものと考えます。
こうしたことから、人口20万人以上の市はこの中核市制度を積極的に活用されることが期待されておりますので、県には制度の周知など一定の役割があるものと考えております。
また、中核市への移行に当たっては、対象となる市の意向を尊重することはもとより、移譲される事務が円滑に実施できるよう、職員の派遣など必要な支援を行ってまいります。
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