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掲載日:2023年10月17日
Q 木下博信 議員(自民)
2点伺います。
1点目、埼玉版スーパー・シティプロジェクトについてです。
これまでの答弁では、県主導の新規開発ではなく、既存のまちを想定して市町村主導の取組を支援するという趣旨だったと思います。しかし、知事の言われるエネルギーの自立も含めたイメージを既存の市街地で生み出すことが、現実的に可能なのでしょうか。そういう趣旨では、豊田市のエコタウンや柏市の柏の葉、藤沢市などのように、新規開発でないと不可能なのではないでしょうか。また、市町村の事業ではなく、県の直轄事業でないと困難に思えます。
先日、第1回有識者会議が開かれて様々な指摘があったようですが、県が提示した資料では、やはり市町村の事業を県が支援するというスキームで想定されているようです。私は、この状態で手を挙げる市町村があるとは思えません。もしやろうという市町村が出てくるという何らかの確信があるのでしたら、私の見立ての誤りですから、大丈夫です、やりたいと言っている、真剣に考えているところがありますというお答えで十分です。
しかし、もしいまだ見込みはなく、市町村の事業で進めていこうとするのであれば、県としては、市町村に対する強力なサポート体制を作ることが必要になるのではないでしょうか。
エネルギーの自立も含めてということであれば、どんな自然エネルギーを活用しようと、その都市が蓄電機能を持たなければ自立し得ません。このことは、これまで予算特別委員会等における水素エネルギーや太陽光発電の推進などに関する議論の中で、何度も指摘されています。それを踏まえると、新たな蓄電システムを作り出そうとする企業や蓄電能力の高い電気自動車を開発・所有する企業、URや大規模まちづくりを行う気概のある企業、そして同様に、まちづくりを研究する大学などの研究機関を巻き込んで、スーパー・シティをやると手を挙げてくれた市町村を、県と民間企業が一体となってサポートしていく体制を県の主導により構築しなければ、知事が公約として打ち上げたものの、どの市町村も反応せず、段階的に消え去っていくことになってしまう気がします。
知事が、本当に埼玉県にスーパー・シティが必要で、その実現に向けてあらゆる手段を取っていくというお気持ちであるなら、半端な形で職員に負担をかけて迷走することを避けるためにも、先述のような蓄電企業、まちづくり企業、研究機関を巻き込んだサポート体制を立ち上げること、これは選択肢の一つであると考えますが、いかがでしょうか。知事のお考えをお聞かせください。
2点目、あと数マイルプロジェクトについてです。
さきの6月定例会では、交通政策を議論する有識者会議を非公開とした点が問題として指摘されました。そもそも交通政策を幅広くということであれば、公約とは関係ない一般議論のはず。であるのに非公開にしたのは、何か不都合があるからと当然に推測されます。そう指摘され、知事も望ましい方法を考えると答弁し、先月開かれた第2回の有識者会議、執行部が提供した資料と説明は公開でしたが、その後の議論は非公開でした。残念なことです。
しかし、その資料には、交通政策全般ではなく、公約に掲げた各路線の状況説明が加えられていました。その非公開の議論の中では、各路線に対する新たな評価の仕方を考える必要性の指摘もあったように伺っています。当然でしょう。これまで多くの人々が延伸できたらよいと様々に考え働き掛けても、実現してこなかったものです。今までの発想とは違う新たな路線の価値や評価基準が見出せなければ、容易に進むものではありません。
そこで、伺います。選挙で打ち出したこの政策、実現するには、国土交通省の鉄道プロジェクトの評価手法のマニュアルを書き換えるほどの、何か違う要素を見出さないと進みにくいはずです。その道を見出すのに、今の検討体制、推進手法で可能だと考えているのでしょうか。それとも、新型コロナで変化が求められる社会の在り方を踏まえ、国のマニュアルを書き換えさせるほどの提案ができる強固な体制を作り出していくのか。知事にその思いと覚悟があるのか、お聞かせください。
A 大野元裕 知事
埼玉版スーパー・シティプロジェクトについてでございます。
このプロジェクトでは、災害時でもエネルギーが途絶えず、安心して暮らせるまちが、イメージの一つとしてあります。
新型コロナウイルスの影響で、今年度予定をしていた市町村との意見交換が遅れている部分もありますが、今後の進め方を見直し、プロジェクト全体に影響が出ないように進めてまいります。
地域における今後のエネルギー利用の在り方に、蓄電技術が大きな一つの鍵であることは私も同感であります。
令和元年台風第15号では大規模停電が発生し、日常生活に大きな支障を来したことは記憶に新しいところです。
系統から電気やガスの供給を受ける一方で、太陽光発電などの分散型電源に蓄電池を組み合わせた仕組みを構築していくことは、環境負荷の軽減はもとより、災害時のエネルギー確保の点でも非常に有効かつレジリエントな選択肢と考えます。
このような地域における自立的で効率的なエネルギー・システムの構築は、おのずとコンパクトなまちづくりにつながります。
家庭用蓄電池は、県でも導入補助を行っているものの、更なる普及には蓄電容量の増加や価格の低減、小型化などの改良が期待され、エコロジーにも資することとなります。
議員御提案のサポート体制を含め、蓄電池の開発やまちづくりへの活用などに関わる企業や研究機関等と連携し、市町村の支援に生かしてまいります。
次に、あと数マイルプロジェクトについてでございます。
あと数マイルプロジェクトにおける公共交通の利便性向上策については、専門的な知見を有する有識者等を委員として、検討会議を設置し、課題の整理と取組の方向性の検討を進めています。
9月に開催した会議では、有識者の委員から費用便益比、いわゆるB/C(ビーバイシー)だけではなく、新たな観点からの項目も取り入れ、県としてもしっかりと評価する必要があるとの指摘をいただきました。
こうした専門家の御意見を踏まえた新たな観点からの評価について、次回以降の会議において案をお示しし、改めて御意見をいただいた上で、検討を進めたいと考えております。
国の都市鉄道利便増進事業の新規採択に際しては、B/Cが重要視されていることは事実ではありますが、国の鉄道プロジェクト評価手法マニュアルには、B/CのBである便益は、プロジェクトによる多種多様な効果の全てではなく、その一部分であることに留意する必要があるとされています。
そして、鉄道プロジェクトの評価においては、個々の事業の内容や特性、地域の特性等を踏まえ、適切に評価を行うことが必要であるとされています。
こうしたことから、新たな観点からの評価は、国のマニュアルでも想定されていると考えますが、県としましては、事業採択の基準となる狭義のB/Cだけではなく、今回設置した検討会議において、地域の特性等についてもしっかりと議論し、国に対し強く訴え掛けてまいります。
その上で、今後のプロジェクトの進捗状況に応じて、必要に応じ検討体制や推進手法につき適切に強化しながら、あと数マイルプロジェクトの実現に向けて、全力で取り組んでまいります。
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