トップページ > 埼玉県議会トップ > 定例会・臨時会 > 定例会概要 > 平成29年6月定例会 > 平成29年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 > 6月28日(水曜日) > 金子 勝(自) > 平成29年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (金子 勝議員)
ここから本文です。
ページ番号:104762
掲載日:2023年7月4日
Q 金子 勝議員(自民党)
次に、総務省が昨年公表した地方公会計の活用の在り方に関する研究会報告書、これに関連し、キャッシュマネジメントシステムについて伺います。
この報告書によれば、新たな統一基準の地方公会計、それが整備されると、これまでの作って見せる会計は活用する会計へとステージが変わるとあります。また、この統一基準は限られた財源を賢く使う、そのためのツールである旨の記述もあります。そこで、私はこの限られた財源を賢く使う事例として、民間企業が導入しているキャッシュマネジメントシステム、その検討を提案するものであります。
さて、キャッシュマネジメントシステム、簡単に言えば余剰資金をグループ会社間で融通し、グループ全体の資金コストを圧縮するという取組であります。例えば、AとBという二つの会社からなるグループ会社があります。A社では資金が不足しています。一方、B社は資金が余っている。そこで、B社の余剰資金をA社に融通する。そうすれば、A社は銀行等からお金を借りずに済み、金利の支払いも発生しません。結果、グループ会社全体としてコストを圧縮することができます。
私の提案は、このシステムを県でも応用してはどうかという提案であります。なお、一般会計と特別会計については会計管理者が一括管理している。つまり、同じ財布であると伺っております。したがいまして、私の提案はこの財布に企業会計の独立採算制の原則は堅持しつつ、企業会計を加える。県の財布に企業会計を加える。すなわち、連結対象となる全ての会計、その資金を一括管理するという提案であります。
そこで、会計管理者に以下三点質問いたします。
一つ目、県では年間を通し、資金が不足するということはないのでしょうか。また、その際にはどのような手段でその不足を補填しているのでしょうか。市町村の資金繰りでは、地方税等の収入の前に支払いが先行する現金収支のタイムラグ、これが原因となる資金不足がありました。県の資金繰りでも同様の事態を想定するわけですが、いかがでしょうか。
なお、地方税収入は、その時々の景気動向に影響されます。不景気の際は税収が減少することもあり得ます。したがいまして、本県については過去の事例も踏まえ、答弁を願います。
なお、私は資金不足に際しては基金の一部をこれに充てる、いわゆる繰替え運用、この仕組みがあることは承知しています。しかし、銀行等から短期資金を調達し、これを補填した。その際、支払い金利も発生した。このような事例は過去なかったでしょうか、答弁願います。
二つ目の質問です。私のこの提案に法的な制約はあるのでしょうか。私が調査した限りでは、会計間の資金の融通、これを禁じている法令はない、そう判断しているところですが、いかがでしょうか、答弁願います。
さて、キャッシュマネジメントシステム、このシステムは金利上昇局面に一層経済合理性がある、そう私は認識しています。と申しますのは、今日のように低金利の時代には資金不足に際し、基金で運用している預金等を中途解約し、繰替え運用しても利息が損になるということはありません。しかし、高金利の時代が到来した場合はどうでしょう。基金は元本割れのない安定的な運用をしても、高い利回りが確保されているはずです。したがいまして、それを中途解約しては損になります。では、銀行等からの一時借入れを行ってはどうか。残念ながら、そのときは借入れ利息も同様に高い。つまり、高金利時代は基金の中途解約も一時借入れも、ともに資金コストを伴うということであります。このようなときです、キャッシュマネジメントシステムが威力を発揮するのは。余剰資金のある会計から不足している会計へ資金を融通する。そうすれば、金融機関に払うコストは0です。
そこで三つ目の質問です。これは提案にもなりますが、県は高金利時代に備え、このキャッシュマネジメントシステムを整備してはいかがでしょうか、見解を伺います。
A 伊東弘道 会計管理者
まず、資金不足の状況とその補填の手段についてでございます。
一会計年度の歳計現金の状況を見ますと、毎年その残高は大体同じような動きをしております。
4月から5月にかけては、事業完了に伴う前年度分の支出に加え、県債償還金や退職手当、国民健康保険財政調整交付金など大きな支出があるため、自動車税などの収入があるまで歳計現金が不足する傾向にあります。
この時期の歳計現金の不足に対しまして、ここ10年間を見てみますと、平成20年度から平成27年度までは金融機関から借入れを行いました。
金融機関に支払った利息は平成20年度が最も多く、40日間の借入れで約4,230万円、少なかったのは平成24年度の3日間で約27万円でございました。
この借入れは、金融機関から借りるコストと基金の運用で得られる利回りを比較した結果でございます。
なお、平成28年度は低金利という中で、基金の一部を運用に回さず歳計現金の不足に充てることといたしました。
いわゆる、基金の繰替運用を行いまして、支払利息は約1万4,000円まで圧縮することができました。
また、平成29年度におきましては、県債の早期発行などにより資金不足の縮減に努めた結果、4月から現時点まで歳計現金に不足は生じておりません。
次に、企業会計の資金を一般会計等と一括管理することについての法的な制約についてでございます。
地方自治法により一般会計や特別会計の資金管理は会計管理者が、地方公営企業法により、企業会計の資金管理は公営企業の管理者が行うことになっております。
法令上、両者の資金の一括管理を禁止する規定は特段なく、知事と公営企業の管理者と会計管理者による協議を行えば、実施することは可能であると解されております。
次に、キャッシュマネジメントシステムの整備についてでございます。
議員御提案のとおり資金管理につきましては、連結ベースでできるだけコストの削減に努めるという視点は重要でございます。
金融機関からの一時借入や基金の繰替運用に加え、企業会計からの資金融通という手法は、金利上昇時や資金不足額の拡大時などにおける有効な選択肢の一つと考えられます。
企業会計における資金収支の状況を分析するなど、キャッシュマネジメントシステムについて研究してまいりたいと存じます。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください