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掲載日:2019年10月17日
Q 杉島理一郎議員(自民)
8月22日に上陸した台風9号で県内各所に被害がありました。私の地元入間市でも、市内を流れる3本の河川系で川が氾濫し、床上浸水169軒、床下浸水420軒と大きな被害がありました。これは、時間80ミリ超の雨という過去最大規模の降雨量によって、時間50ミリの基準で整備された河川の限界値を大きく超えたことが原因であると認識はしております。
しかしながら、昨年の水防法の改定によって、ハザードマップなどのソフト対策においては、基準雨量ではなく、想定し得る最大規模の雨量をもって対処に当たるよう見直されました。そこで、ハード面についても、最大規模の雨量を想定した整備へと見直す必要があると考えますが、河川整備の時間50ミリ基準の引上げについて、県土整備部長に見解を伺います。
一方で、何百年に一度という大災害が頻繁に起こるようになった今、現状でのハードの限界を不本意ながらもしっかりと認識した上で、減災対策を急ぐ必要があると考えます。今回の台風被害では、各自治体においてタイムラインの策定やエリアメールなどの活用によって災害対策がとられており、早い段階での避難ができました。また、本年3月から本県でもLアラートを整備したことによって、メディアを通じても情報発信がタイムリーに行われ、避難が進んだと言えます。
しかし、今後も想定値を大きく超えた降雨量が想定される中、河川がどのくらいのスピードで氾濫するかは予想できません。ちゅうちょせず避難情報を発令することを奨励していることもあって、避難情報の空振りが増え、オオカミ少年現象に陥って、かえって避難が遅れてしまうことも懸念されるところであります。その意味でも、県民が判断できる一次情報をどれだけ発信できるかという点が重要であると考えます。
現在、県の設置する水位計は203か所ありますが、水防警報の発令基準となる20か所の水位情報と、そのうち5か所分の定点カメラの映像は、埼玉県水防情報システムで見ることができています。そこで、まずは20か所全てにカメラが設置され、水防情報システムに反映される時期はいつ頃か、その見通しについてお伺いいたします。
また、今回被害の大きかった県西部の河川については、20か所の水位計の中に含まれておらず、県の水防情報システムでは見ることができませんでした。今後、水防情報システムで確認することのできる水位情報の範囲を順次広げていく必要があると考えますが、その見通しと選定方法について、県土整備部長にお伺いいたします。
また、県では、埼玉県版川の防災情報を本年6月から運用を開始しており、危険水位を越えたらメールで知らせるというサービスを提供しておりますが、現時点での登録者数は約1,600人と、情報配信は限定的であります。特に、防災意識の低い人にこそ情報をどう伝えられるかが、減災対策にとって最重要課題であることを鑑みると、一次情報をどれだけプッシュ型でリアルタイム発信できるかが本県の課題であると考えます。プッシュ型配信の在り方として、エリアメールとの接続による携帯電話への情報発信や、Lアラートとの接続による携帯アプリ等でのプッシュ通知などが考えられますが、今後の一次情報のプッシュ型での発信の在り方と各種サービスとの連結の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。
A 浅井義明 県土整備部長
まず、河川整備の時間50ミリ基準の引上げについてでございます。
県では、河川整備計画の中で、整備目標を時間雨量50ミリメートル程度の降雨を安全に流下させることとしております。
この整備による効果として、例えば、時間雨量50ミリメートル程度の改修が完了している所沢市の東川では、台風9号において、改修がなされなかった場合には約4倍の浸水被害が発生したであろうとのシミュレーション結果を得ております。
また、同じ東川では台風9号の直前4日前の8月18日にも時間雨量50ミリメートル程度の強い雨が降りましたが、この時は浸水被害は発生しておりませんでした。
県としては、まず、計画に基づく施設整備を着実に進めてまいります。
災害対策の基本は、同じことが二度と繰り返されないということであります。河川と下水道の連携整備などを進め、地域全体で浸水被害の軽減に努めてまいります。
次に、カメラの設置完了と水防情報システムに反映される時期の見通しについてでございます。
平成27年の浸水被害を受け、県東部地区5箇所のカメラ画像を先行して本年6月1日に公開しており、残り15箇所のカメラについては、平成28年度末までに設置を完了させ、画像を公開いたします。
次に、水防システムで確認できる水位情報の範囲を広げる見通しとその選定方法についてでございます。
今後は、西部地区の河川にも、県民が自主的に避難を判断できる一次情報とするため、カメラ画像の提供拡大などの有効な対策を検討してまいります。
また、西部地区の河川を含む203箇所の水位については、「埼玉県版 川の防災情報」から国土交通省のホームページで確認できます。
今後も分かりやすい水位情報の提供方法について、検討を続けてまいります。
次に、一次情報のプッシュ型での発信の在り方と各種サービスの連結の見通しについてでございます。
総務省により、メディアなどに危機管理情報を自動的に提供するLアラートでの洪水に関する情報の発信に向けて、システム改修を進めております。来年の5月末から試行できるようにしていきます。
また、関東の他の都県に先立ち、検索サイト「ヤフー」への河川の水位情報の提供を行っており、各種防災情報との連携も図っております。
国においては、施設で守りきれない大洪水は必ず発生するとの考え方に立ち、社会全体で洪水に備えるという「水防災意識社会再構築ビジョン」の取組を進めております。
県としても、全ての対応をハード整備だけに頼ることなく、洪水情報の発信などソフト対策と一体となって取組を進めてまいります。
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