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掲載日:2019年10月17日
Q 杉島理一郎議員(自民)
先週、全国学力テストの結果が報じられ、埼玉県が2年連続、全教科で全国平均を下回ると、その結果に衝撃が走っています。本県の教育には何が必要なのでしょうか。これまで特別支援教育における個別の教育支援計画の積み重ねや、切れ目のない支援、指導の重要性に触れてきましたが、これは通常学級における教育も同様のはずであります。その意味でも、児童生徒の学力の伸びを測る県学調が、埼玉県の学力が改善できるかの重要な鍵を握っていると考えます。
ここで2年目を終えて、学力の経年変化がとれました。重要なのは、個人別の学力データを受けて、教員が一人ひとりに応じた指導プランを作成し指導に当たり、更に検証を積み重ねていくというPDCAサイクルの積み上げであると考えます。
そこで、県学調によって得られたデータを活用して、生徒個人ベースでの学力の記録をカルテのようにして引き継ぎ、小・中学校において切れ目のない一貫した指導を行っていくことが重要であると考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
また、学力の伸びが何と相関しているかについては、様々な変数の想定が必要であると考えます。今以上に、できる限りの情報を加えて分析に生かしていくことが必要だと考えます。その上で、県学調のデータを多角度から分析することで、例えば教員の指導力向上に資する研修メニューの開発や、教員配置を含めた学校の組織運営の改善など様々な利活用が考えられると思いますが、変数の設定とデータ活用の方向性について教育長にお伺いいたします。
また、小中6年間に及ぶ県学調のデータカルテは、指導の継続性や生徒の特徴を把握する上で、高校への接続時にも有効に活用されるべきであると考えます。そこで、中学校から入学する高校へ引き渡す成績等の文書の中に、県学調のデータカルテも含める必要があると思いますが、県としての方針を伺います。
更に発展して、県立高校にまで県学調の対象範囲を広げて、小中高とデータを積み上げていくまでの未来構想はあるか、教育長に伺います。
ただし、こうした県学調のデータカルテが、決して学力だけでなく、いじめや不登校など教員の生徒指導力の向上にも役立てていくことが重要であるということを申し添えておきます。
A 関根郁夫 教育長
まず、「この調査により得られたデータを活用して、児童生徒の学力の記録を引き継ぎ、小・中学校において一貫した指導を行っていくこと」についてでございます。
現在、この調査結果で得られたデータについては、小・中学校間において引き継ぎ、6年間継続的に追えるようになっております。
今後は、議員御提案のように、児童生徒一人一人に、小・中学校で切れ目のない指導が積み重ねていけるよう、研究を深めてまいります。
次に、「学力に影響する変数の設定とデータ活用の方向性」についてでございます。
児童生徒の学力は、学校での指導だけでなく、家庭での生活状況など様々な要因が影響していると考えており、調査を継続していく中で、調査項目を不断に見直し、必要な項目について適宜追加してまいります。
また、現在、この調査結果のデータを活用し、効果的な指導方法を明らかにするための分析を行っております。
今後、校内研修の内容の充実や、効果的な指導体制の構築などによる学校の組織力向上のためにも、データを活用し、子供たち一人一人の学力向上につなげてまいります。
次に、「この調査のデータカルテを、中学校から高校へ引き渡す成績等の文書に含める必要があるのではないか」についてでございます。
中学校で行われてきた、さまざまな指導の経過を高校に引き継いでいくことは、指導の継続性という観点からも、非常に有効なことです。
継続した指導を行うため、この調査のデータを県立高校に引き継ぎ、有効に活用することについても、検討してまいります。
次に、「この調査の対象を県立高校にまで広げて、小中高とデータを積み上げていくまでの構想はあるか」についてでございます。
多種多様な高校において、共通テストの問題を作成する難しさや、費用などの課題がございます。
一方、現在国では「高等学校基礎学力テスト」の導入に向けて準備をすすめております。
このテストは、高校生に求められる基礎学力が、どの程度定着しているかを把握することを目的として、平成31年度から試験的に実施される予定です。
県学力・学習状況調査を県立高校で実施するかどうかについては、この「高等学校基礎学力テスト」の動向なども踏まえながら、研究してまいります。
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