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掲載日:2019年10月17日
Q 杉島理一郎議員(自民)
先日、県内小学校の特別支援学級で児童5人のうち3人が不登校になる事案がありました。原因は、新年度から全教員が異動となり、障害特性や指導方針の的確な引き継ぎがなされぬまま指導に当たり、その教員が児童に恐怖を植え付けてしまったことでした。また、学校の適切な対応も遅れ、子供たちの心に大きな傷を残してしまいました。本件は一事案ではありますが、ここから読み取れる厳しい特別支援教育、とりわけ特別支援学級等の現状に改善が必要だと痛感いたしました。
現在、特別支援学校の設置が進む中、小・中学校における特別支援学級や通級による指導を受ける児童生徒数も、この10年で倍増して9,975人となり、特別支援教育全体に占める割合は約6割にも上っています。
しかしながら、現在、特別支援学級の教員において特別支援学校教員免許の保有率は33.6パーセントと非常に低く、専門的な知識や能力を有する教員の確保、育成が遅れている状況にあります。さらには、臨時的任用教員の割合は約4割にも上っており、本来ピンチヒッターであるべき臨任教員に恒常的に頼らざるを得ない状況があります。
また、市町村や学校長の意識にもばらつきがあり、まだまだ特別支援教育への理解が進んでいないように感じます。通常学級における臨任率が約11パーセント、特別支援学校の臨任率が約20パーセントであることを考えると、教員の配置では、特別支援学級に大きくしわ寄せが行っていることが見えます。実際に今回の不登校のケースも、学校側の意識は低く、特別支援学級は臨任教員に依存しており、当該教員も臨任でありました。こうした特別支援教育をめぐる構造的な問題を解決しなければ、今後も心に傷を残す児童生徒がなくなることはありません。
そこで、専門免許の取得を促し、臨時的任用に頼らない教員の確保、育成についてどのように取り組むのか、市町村教育委員会、とりわけ校内配置をつかさどる学校長に対して、県はどのようにリーダーシップを発揮して特別支援学級等の充実を図り、課題を克服していくのか、教育長にお伺いします。
さらに、今回の経験を経て、特別支援教育の肝は、切れ目のない一貫した継続性にあると痛感いたしました。これには、福祉と教育の連携や家庭と学校の連携、それを担保する情報共有の仕組みが欠かせません。特別支援教育においては、保護者と相談をしながら作成する個別の教育支援計画や指導計画こそが、その役割を担う最も大切なツールであり、家庭と学校と福祉を接続し、周辺環境や教員が代わっても不安なく継続した支援、指導を可能にするものだと考えております。また、県では福祉政策として、乳幼児期から成人に至るまでの支援記録を記したサポート手帳を交付して普及を図っており、そこにも個別の教育支援計画等の記載を促しております。
しかしながら、小・中学校において個別の教育支援計画を作成している学校の割合は、小学校で89.5パーセント、中学校で82パーセントにとどまっており、指導計画も小学校で94.1パーセント、中学校で83.4パーセントと、徹底できておりません。そこで、小・中学校における個別の教育支援計画や指導計画の活用についてどのように市町村に指導しているのか、任意ではなく、作成を義務付けて活用を徹底するべきだと考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。
さらに、福祉と教育の連携という観点においては、間もなくオープンする小児医療センターの3階に開設される発達障害総合支援センターにその役割が期待されるところであります。当センターは、子供や保護者、関係機関への支援も行うこととなっておりますが、教育局として本センターを特別支援教育の充実にどのように生かしていくのか、教育長にお伺いいたします。
A 関根郁夫 教育長
まず、「専門免許の取得を促し、臨時的任用教員に頼らない教員の確保・育成に、どう取組むか」についてでございます。
特別支援学級を含めた小中学校全体の臨時的任用教員の割合を下げるために、ここ数年、毎年1,000人を超す教員の採用に努めております。
また、専門免許の取得を促すことについては、免許法認定講習を実施し、小中学校の教員が免許取得に必要な単位修得の機会を設けております。
次に、「市町村教育委員会、学校長に対して、どうリーダーシップを発揮して特別支援学級等の充実を図り、課題を克服していくのか」についてでございます。
まずは、特別支援学級担当の経験や免許の有無等を考慮し、教員の専門性が発揮できる校内配置を進めるよう、校長への指導をより一層市町村に働き掛けてまいります。
さらに、今年度から、国立特別支援教育総合研究所と協力し、研修モデルの作成に向け、実践的な研究を進めております。
この研究の成果を踏まえ、全ての学校で特別支援教育の充実が図られるよう取り組んでまいります。
次に、「小中学校における個別の教育支援計画や指導計画の活用についてどのように市町村に指導をしているのか。作成を義務付けて、活用を徹底するべきだと考えるがどうか」についてでございます。
県では、これまで、市町村教育長を集めた会議などにおいて、計画の作成について働き掛けてまいりました。
現在、国では次期学習指導要領において、特別支援学級と通級による指導を受ける児童生徒全員に、個別の教育支援計画と指導計画の作成を義務付けるよう検討が行われております。
県といたしましては、今後とも、特別支援教育対象の全ての児童生徒に個別の教育支援計画と指導計画を作成するよう、市町村教育委員会にさらに強く働き掛けてまいります。
次に、「教育局として、発達障害総合支援センターを特別支援教育の充実にどう活かしていくか」についてでございます。
これまでも、福祉と教育が連携し、保育所や幼稚園での支援を小学校につなぐために、小学校の教職員を対象とした発達障害への理解や地域での連携に関する研修を実施してまいりました。
新たに開設される発達障害総合支援センターとも連携しながら、より専門性の高い研修を実施するなど、適切な支援を行える人材の育成に取り組み、特別支援教育の充実を図ってまいります。
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