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掲載日:2023年4月26日
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これまでに原因不明とされていた食中毒や有症苦情の事例のなかで、ヒラメ、馬肉を共通食とする事例が複数確認されました。これらの原因食品を詳しく調査すると、ヒラメではクドア属粘液胞子虫のKudoa septempunctata(クドア)が、馬肉では住肉胞子虫のSarcocystis fayeri(サルコシスティス)の感染が確認されました。さらに、これらの寄生虫が実験動物に対して、嘔吐及び下痢の症状を起こすことが明らかになりました。このため、厚生労働省から「生食用生鮮食品による病因物質不明有症事例への対応について(平成23年6月17日厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)(厚生労働省HP)」が通知され、これらの寄生虫が食中毒原因物質として認められることになりました。
食中毒事例の件数が少ないため、はっきりと分かっていませんが、症状は一過性で比較的軽症で終わると言われています。なお、原因物質であるサルコシスティスは、ヒトへは感染することなく、体内で死滅してしまいます。
サルコシスティスは冷凍で失活することがわかっており、次の処理をすることで、安全に馬肉を食べることができます。
サルコシスティスは住肉胞子虫と呼ばれる、筋肉内に寄生する寄生虫の一種で、現在、牛3種、豚3種、馬3種、緬羊5種の計14種いることが分かっています。(表1)
また、中間宿主と終宿主の2種類の動物に寄生することが知られています。中間宿主(草食動物)では筋肉に寄生し、その動物を補食するもの(肉食動物)が終宿主となり、終宿主の腸管で増殖し、糞便とともに排泄し、その糞便に汚染された牧草などを食べた中間宿主に再び寄生します。(図1)
中間宿主動物 |
馬 |
牛 |
豚 |
緬羊 |
---|---|---|---|---|
種 (終宿主動物) |
S.equicanis(犬) S.bertrami(犬) S.fayeri(犬) |
S.cruzi(犬) S.hirsuta(猫) S.hominis(ヒト) |
S.miescheriana(犬) S.porcifelis(猫) S.suihominis(ヒト) |
S.tenella(犬) S.arieticanis(犬) S.mihoensis(犬) S.gigantea(猫) S.medusiformis(猫) |
図1サルコシスティスの生活環
今回、食中毒の原因物質と特定されたS.fayeriは、中間宿主である馬と、終宿主である犬に寄生する住肉胞子虫です(図1参照)。馬に寄生している間は、シスト(中に虫体をたくさん含んだ袋状のもの)という、幅0.5mm以下の細長い糸状の形をしています。この、馬肉に寄生しているシストやシスト内の虫体に、食中毒を起こす物質(毒性物質)が含まれていることが確認され、シストを含む馬肉をすりつぶした物にも、同じように含まれています。
上記2の予防法のとおりに冷凍した食肉であれば、毒性物質は胃液で分解され、発症することはありません。しかし、冷凍していない肉では、胃液で毒性物質を分解することが出来ず、食中毒を起こします。
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