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掲載日:2024年3月12日
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木材には欠点があり使いづらいと思い込んでいませんか。木材の欠点を補う使い方もいろいろと工夫されています。
木材は、同じ重さで比較すると、引っ張りの力に対しては鉄の約4倍、圧縮の力に対してはコンクリートの約10倍の強さがあります。
また、鉄やコンクリートは木材より耐久性があると思われがちですが、鉄は錆びて弱くなり、コンクリートも中性化が進んでしだいに劣化します。
しかし、木材は伐り倒されてから数百年間は逆に強度が高くなり、その後徐々に劣化が始まるため、長い間建物を支え続けることができるのです。
写真:巨大な屋根を支える木材(埼玉県立武道館主道場)
一般に木は燃えやすいと思われていますが、丸太など太い木材は、燃えて表面に炭化層ができると、内部へ酸素が供給されなくなるので、それ以上燃えにくくなります。
また、火災のとき鉄骨は高温で柔らかくなり、急激に強度が低下しますが、木材は柔らかくなることはありませんし、有毒ガスも発生しません。
大断面集成材を使用した建物では、燃えしろを確保する(木材は燃えるものとの前提のもと、強度計算上の断面積より燃えて失われる分だけ太くする)ことで、火災でも倒壊しない強い建物を造ることができます。
内装材については、建築基準法などの規定により木材の使用が制限される場合もありますが、そのような場合でも使用できる、「難燃処理」や「準不燃処理」、「不燃処理」が施された木材も開発されています。
写真:難燃処理木材の燃焼試験(左が難燃処理、右は無処理)
木が腐るのは、腐朽菌が木材を栄養として分解するのが原因です。この腐朽菌は生物ですから、生育には酸素、温度、水分、栄養分が必要であり、このうちどの条件が欠けても生育できません。よって、水分の供給を絶つことにより、腐朽菌の活動を抑えることが可能となります。
木材を乾いた状態で使用していれば、腐りにくく、驚くほど長く使用することができます。
1300年前に建立された、世界最古の木造建築物である法隆寺五重の塔のヒノキの柱は、今でもしっかりと建物を支えています。他にも建築後数百年経っている神社仏閣などの建物は、全国各地に数多くありますが、これは人々が適切に建物を管理し、水分から木材を守ってきたからです。
また、古民家も同様で、囲炉裏の熱や煙が柱や梁の乾燥や防腐効果を高め、建物を長持ちさせてきました。解体されてもなお強度を十分に保った木材は、新しい建物に再利用させることも少なくありません。
写真:金鑚神社多宝塔(児玉郡神川町)1534年建立
木材は、含水率が30%以下になると強度が増加します。
また、含水率が15~20%となるまで乾燥させてから利用することで、寸法の狂いがなく、強度の高い木材とすることができます。
木材を乾燥させる方法はいろいろありますが、現在は短時間で乾燥することができる人工乾燥が主流となっています。
写真:製材工場の木材乾燥施設
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