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掲載日:2022年3月29日

令和4年2月定例会 意見書・決議

意見書・・・次の10件です。

決議・・・・次の3件です。

 死亡ひき逃げ事件における公訴時効撤廃に向けた法整備等を求める意見書

平成21年9月に本県熊谷市で発生した小学生の死亡ひき逃げ事件において、犯人はいまだ検挙されておらず、愛する家族を突然奪われた遺族の心情は、想像を絶するであろうことは察するに難くない。
死亡ひき逃げ事件の公訴時効は、現行法上、救護措置義務違反が7年、過失運転致死罪が10年、危険運転致死罪が20年とされている。熊谷の事件は当初、過失運転致死罪が適用されていたが、捜査罪名が危険運転致死罪に変更適用され、現在も捜査が続いている。
死亡ひき逃げ事件に関して、警察は、初動捜査の段階では、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪などを見据え捜査を行っているが、最終的にどの罪状を適用するかの判断は各都道府県警察に委ねられているため、結果、時効成立に関し全国的に不均衡が生じている。
そもそも公訴時効は、犯罪発生後、法律の定める期間が経過すると、犯人を起訴・処罰することができなくなる制度であり、その根拠として、時間の経過とともに被害感情等が薄れ犯罪の社会的影響が減少すること、時間の経過により犯罪に係る証拠等が散逸して審理が困難になることなどが挙げられている。
しかし、時効成立によって被害者・遺族に一生重い悲しみを背負わせることにもなる。
殺人罪や強盗殺人罪などの事案については、国民世論の高まり等を受け、平成22年に公訴時効を廃止するなどの法整備がなされた。
一方で、死亡ひき逃げ事件は、仮に加害者が道路交通法に定められた救護措置義務を速やかに履行すれば被害者が亡くならずに済んだ事案も少なからずあったと推量されるにも関わらず、救護措置義務を果たさず被害者を死亡させ、故意に逃走を図った点では殺人罪にも匹敵する凶悪な犯罪である。しかしながら、時効が撤廃されていない。
また、危険運転致死罪の法定刑については、危険運転の態様に応じて、1年以上の有期懲役又は15年以下の懲役となっているが、危険運転致死罪として認定するための要件が厳しいため、同罪に限りなく近い事故態様であっても、裁判では「疑わしくは被告人に有利に」との建前の下、過失運転致死罪に認定され、法定刑7年の限度で判決が言い渡されることが非常に多い。僅かな事故態様の違いだけで刑が軽くなってしまうという不均衡が生じているため、被害者遺族らの被害感情に沿わないばかりか国民の一般的な規範意識からもかけ離れてしまい、無謀な運転の抑止にもつながらない。
よって、国においては、凶悪な犯罪を見逃さない強い姿勢を示すことで、国民の誰もが安心して生活することのできる社会を構築するため、下記の事項を速やかに実施するよう強く要望する。

1 死亡ひき逃げ事件などにおける公訴時効の撤廃を検討すること。
2 過失運転致死罪の法定刑の上限を引き上げることによって、危険運転致死傷罪との不均衡を是正するとともに、危険運転致死傷罪の構成要件に関しては、明確性を失わないようにしつつ、現行よりも幅広く認定できるよう改正を行うなど関係法令の整備を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月25日

埼玉県議会議長 梅澤 佳一 

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣         様
法務大臣
国家公安委員会委員長

 労働者災害補償保険の給付の迅速化を求める意見書

労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)は、労働者の業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、死亡などに対して、労働者やその遺族のために必要な保険給付等を行う国の制度である。
休業期間中の休業補償や治療費などは労働者の生活を支えるものであり、速やかに保険給付されることが基本である。
しかし、これまで一般的な疾病等に係る労災保険給付の認定までの期間は、半年以上を要することがあった。
一方、今般の新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という。)の感染拡大に伴い、患者と接する機会の多い医療機関の医療従事者や介護施設の職員などが感染するケースが多くなっており、こうした労働者に対しても労災給付がなされている。
厚生労働省は、最初に緊急事態宣言が発出された令和2年4月に、全国の労働局に対し、「調査により感染経路が特定されなくとも、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められる場合には、これに該当するものとして、労災保険給付の対象とする」旨通知するとともに、請求書の提出があった場合には、迅速・適正な処理を行うよう求めた。
しかしながら、厚生労働省が迅速な処理を行うよう求めていても、依然として、現場の労働基準監督署では認定に至るまでにかなりの期間を要している状況にある。休業期間中の賃金が支払われない中、労災保険の休業補償の給付に時間がかかっているため、負傷や疾病が癒えた者などの生活再建が困難になっていることが喫緊の課題となっている。
よって、国においては、国民が安心して働ける労働環境を整備するため、労働基準監督署の体制を強化し、新型コロナ関連に限らず労災保険に係る申請受理、審査、給付決定の各手続において、AIやDXなどの先端技術を活用するなどして効率化を進めることで、給付の迅速化を図るよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月25日

埼玉県議会議長 梅澤 佳一 

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣         様
厚生労働大臣

 在宅医療及び在宅介護従事者の安全確保を求める意見書

本年1月に、本県ふじみ野市の患者宅で発生した立てこもり発砲事件により、訪問医療の医師が殺害されたことは、関係者のみならず広く国民全般に大きな衝撃を与えた。とりわけ関わりのあった地域の在宅医療関係者の精神的ダメージは極めて大きい。
かねてから、国は、超高齢社会の到来を受け、医療費を抑制するべく、病院ではなく住み慣れた自宅などでの在宅医療を推進してきた。
在宅医療には、定期的な訪問診療と臨時の往診がある。国の統計によれば、2020年に1か月当たりの訪問診療の件数は約83万件を超え、2010年の約30万件から3倍近くに増加したが、患者やその家族からの暴力被害の問題も深刻である。
全国訪問看護事業協会が2018年に実施した全国調査によれば、訪問看護師の約53%が「精神的な暴力」を、約45%が「身体的な暴力」を、利用者や家族から受けたと回答した。訪問看護を行う事業所へのアンケートでは、約97%の事業所が利用者・家族による暴力への対策の必要性を認めながらも、約60%が「具体的にどうしたらよいか分からない。」と答えている。
在宅医療等の現場は密室になることが多く、トラブルになるリスクを常に抱えている。しかも、病院等とは異なり、すぐに応援を呼ぶことができない。
国は、近年、医療現場での迷惑行為の内容に応じた対策などを紹介する動画や介護現場でのハラスメント対策マニュアルの公開などを行ってきたが、十分なものではない。
国は、在宅医療の実効性を高めるためには、医師、歯科医師、看護師、薬剤師などの力を活用した多職種連携が重要であるとし、併せて、退院時のスクリーニングの実施により症状等を在宅医療ネットワークで情報共有するICT活用を推奨してきた。在宅医療等従事者の安全対策の観点からも、これらの取組は重要である。
一方、一部の自治体では、利用者やその家族からの暴力行為等で2人以上の訪問が必要なケースでありながら、利用者の同意が得られずに介護報酬上の2人訪問加算ができない場合に、加算相当額の一部を補助する制度を設けるなど、訪問看護師や訪問介護員の安全確保に資する独自の取組を行っている。
国は、在宅医療等を強力に推進してきたことから、在宅医療及び在宅介護の現場や地方自治体などと緊密に連携を取り、医療・介護従事者の安全確保に向けた抜本的な対策を講ずる責任がある。
よって、国においては、在宅医療及び在宅介護従事者の安全を確保するため、下記の事項を速やかに実施するよう強く要望する。

1 在宅医療及び在宅介護従事者の安全を担保する、実効的なガイドラインを作成すること。
2 地方自治体における在宅医療及び在宅介護従事者への暴力行為等を未然に防止する独自の取組に対する財政支援を講ずること。
3 スクリーニングの確実な実行、在宅医療ネットワークを強化するために不可欠なICTシステムの導入と情報共有、緊急時の安全対策を含めた多職種との連携強化を進め、これらに対する財政支援を講ずること。
4 トラブルを未然に防ぐために、警察や警備会社に通報できる仕組みの構築を検討すること。
5 精神的ダメージを受けた在宅医療及び在宅介護従事者のダメージを和らげるとともに、悲嘆にくれながらも日常生活を取り戻していく過程を支援するグリーフケアの仕組みを構築すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月25日

埼玉県議会議長 梅澤 佳一 

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣             様
総務大臣
厚生労働大臣
国家公安委員会委員長

 多様な学びの場を提供する施策の充実・強化を求める意見書

国の調査では、令和2年度に全国の小中学校において30日以上欠席した不登校の児童生徒の数は約196,000人で、8年連続で増加し過去最多となっており、本県でも前年同期比8%増の約9,000人と増加傾向にある。
国は、平成29年に教育機会確保法を制定し、個々の不登校児童生徒の状況に応じて必要な支援を行うことなどを基本理念とした。同法に基づく基本指針では、不登校児童生徒の実態に配慮した特色ある教育課程を編成し、教育を実施する学校(以下「不登校特例校」という。)について、一層の設置促進を図ることなどを定めている。
また、令和元年10月に国が発出した通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」では、「不登校児童生徒の一人一人の状況に応じて、教育支援センター、不登校特例校、フリースクールなどの民間施設など、多様な教育機会を確保する必要がある。」旨が示された。さらに、学校等の取組の充実において、「スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーを効率的に活用し、学校全体の教育力の向上を図ることが重要」である旨が示された。しかし、スクールカウンセラー等の配置状況は決して十分な状況とはいえない。
さらには、今日、不登校特例校やフリースクールなどが行う学習、教育相談、体験などの活動は、様々な事情により学校生活になじめない児童生徒の社会的自立に向けた学びの場として、大変重要な役割を果たすようになっている。
しかしながら、全国で約500か所とされるフリースクールは、就学支援金などの国の支援はなく、一部の自治体による助成にとどまっている。平成27年の国の調査では、保護者の負担は入学金、授業料、交通費などで年間約40万円程度となっており、小さくないものとなっている。
加えて、不登校特例校は、現在、公立の8校を含めても全国に17校しか設置されていない上に、私立では経済的負担が大きいという理由から入学を断念する児童生徒も少なからず存在する。
よって、国においては、不登校児童生徒に対する多様な学びの場を提供する施策を充実・強化するため、下記の事項を速やかに実施するよう強く要望する。

1 都道府県や市区町村による不登校特例校の設置が進むよう、設立・運営に関し、更なる財政的・制度的支援を図ること。
2 フリースクールをはじめとした不登校児童生徒の学校以外での多様な学習活動に対する保護者負担軽減のための経済的支援を早急に実施するとともに、フリースクール等に対する財政支援を実施すること。
3 不登校児童生徒、不登校特例校やフリースクールに関する実態調査を実施し、実態に即したきめ細やかな施策を実施すること。
4 不登校の児童生徒と学校のつなぎ役として重要な役割を果たしているスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどについて、必要な人材や財源を確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月25日

埼玉県議会議長 梅澤 佳一 

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣              様
総務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
こども政策担当大臣

 児童養護施設の入所者・退所者に対する支援充実を求める意見書

明日の日本を支える子供たちが夢と希望を持って成長することのできる社会の実現を目指すためには、子供たちの成育環境を整備することが重要である。
児童養護施設は、児童福祉法に基づき、保護者のいない児童や虐待されている児童など環境上養護を要する児童を入所させ、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的としている。
在所期間は原則として18歳、大学等に在学中の場合は満22歳まで延長することができるが、一定の年齢に達すれば施設を退所し、自立することが求められている。
国の統計によれば、令和2年5月現在における入所児童の高校進学率は約95%と高水準になった一方で、高校卒業後については、大学等進学率は約2割で全高卒者の約3分の1に過ぎず、就職率が全高卒者よりも高くなっている。
こうした就職や大学進学などにより児童養護施設を退所した者には、頼れる大人がおらず、これまでの虐待経験による心身の不調などもあり、退学や離職に追い込まれたり、孤立や困窮状況に陥ったりするケースが少なくない。国は、近年、社会的養護自立支援事業や身元保証人確保対策事業などを創設・拡充したが、十分な支援を受けられない退所者の状況が明らかになっている。
令和3年3月に、児童養護施設などで暮らした者の退所後の実態を把握するべく初めて実施した全国調査の結果を国は公表した。その結果から、退所後に在籍した施設や公的機関などのサポートを全く受けていない者は約2割にのぼることが明らかになった。また、身元保証人の確保が困難で住居の賃貸借契約を締結できない、離職してしまった場合に再就職が困難である、施設職員に連絡しても相談に乗ってもらえず孤独や孤立を感じるなど、日常生活の中で様々な困難に直面していることが判明した。
さらに、児童養護施設を退所した大学生などには、今般のコロナ禍によってアルバイト収入の減少がより厳しい状況となっており喫緊の対応が求められている。
加えて、入所児童に関しても、虐待など厳しい生活環境を経てきたために、一人一人の生活に寄り添うケアであるインケアを必要とする児童が多数いるにもかかわらず、職員不足等によって十分なインケアが実施できない状況となっている。
よって、国においては、児童養護施設の入所者・退所者がコロナ禍においても早期に心身ともに安定し自立した生活を送ることができるようにするため、下記の事項を速やかに実施するよう強く要望する。

1 児童養護施設の退所者が住居を確保し、生活基盤を築けるよう、公営住宅の優先入居の制度化など住居支援の充実を図ること。
2 児童養護施設の退所者を対象として、自立に向けた就職や生活など様々な事項に関する相談対応や支援を行う「支援コーディネーター」を全国に配置するとともに、現状よりもサポート率を向上させる目標設定を行うこと。
3 児童養護施設の退所者を雇用する企業への支援策を講ずること。
4 児童養護施設の人材確保や職員の処遇改善などを講ずることにより、インケアを強力に推し進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月25日

埼玉県議会議長 梅澤 佳一 

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣        様
厚生労働大臣
経済産業大臣
国土交通大臣

 乳幼児等に対する公費負担医療制度の創設等を求める意見書

各地方自治体では、子供の健康の向上と福祉の増進を図ることを目的として、子育て世代を対象とした様々な行政サービスを充実させてきている。
乳幼児やひとり親家庭などに対する医療費助成は全ての都道府県で実施されている。また、本県の全ての市町村では、地方単独事業として15歳又は18歳までの入院や通院にかかる費用を子育て支援策として無償化している。
こうした対策は、本来、国が全国一律で実施すべきものといえるが、現状では市町村が各々実施しているため、受給者の基準や受給内容が異なっており、地域による不均衡が生じている。
また、平成30年度からは、市町村が現物給付を行う場合における、未就学児までを対象とする医療費助成については、国民健康保険の国庫負担金減額措置が廃止されたが、受給対象を未就学児以外とする医療費助成については、減額措置が継続されている。
本県では全ての市町村において、受給対象を未就学児以外としており、全国的にもこうした傾向がある中、受給対象を未就学児以外とする医療費助成について国庫負担金減額措置を講ずることは、実態と大きくかけ離れていると言わざるを得ない。
よって、国においては、地方単独事業として全ての都道府県で実施されている乳幼児やひとり親家庭などに対する医療費助成について、下記の事項を速やかに実施するよう強く要望する。

1 こども家庭庁創設の際は、18歳までの医療費無償化の財源を国庫負担とすることについての議論を進め、同庁に権限を付与すること。
2 未就学児以外を対象とする医療費助成に行われている国庫負担金減額措置を廃止すること。
3 乳幼児やひとり親家庭などへの支援を行っている地方自治体に対し、全額を国庫負担とするなどの財政措置を講ずること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月25日

埼玉県議会議長 梅澤 佳一 

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣            様
総務大臣
厚生労働大臣
こども政策担当大臣

 学校給食無償化を実施する地方自治体に対する財政支援の強化等を求める意見書

学校給食は、学校給食法により教育の一環として位置付けられ、適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ることとともに、望ましい食習慣を養うことなどの教育目標が付与されている。
加えて、コロナ禍等による経済的な苦しさなど、学校給食の果たす役割はますます大きくなっている。
しかし、国の平成29年度「学校給食の無償化等の実施状況」調査等によると、1,740自治体のうち無償化や一部補助などを実施しているのは506自治体であり、そのうち小学校・中学校ともに無償化しているのは76自治体にとどまっている。
また、新型コロナウイルス感染症への対応により地方自治体の財政状況は厳しく、さらに、学校給食に係る人件費や高騰する材料費などが自治体財政を一段と圧迫する懸念から、学校給食無償化の導入の検討ができない地方自治体も少なくない。国として、学校給食の今後の在り方について、経済的な課題、子供たちの栄養や健康の増進、子ども食堂との兼ね合いなどを含めて、議論する必要がある。
ところで、給食費を含む学校徴収金の徴収・管理業務は、平成31年の中央教育審議会答申において、「基本的には学校以外が担うべき業務」と位置付けられた。しかし、令和3年度の国の調査結果によれば、給食費を含む学校徴収金の徴収・管理を教職員が関与しない方法で行っている割合は、33%にとどまっている。
よって、国においては、児童生徒の心身の健全な発達に資するため、下記の事項を速やかに実施するよう強く要望する。

1 無償化を含め、学校給食の今後の在り方を検討すること。
2 学校給食の無償化を実施している地方自治体に対する財政支援を強化すること。
3 給食費の徴収・管理事務に関し、教職員は直接関与せず、地方自治体や教育委員会などが実施する仕組みの構築を国が支援すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月25日

埼玉県議会議長 梅澤 佳一 

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣          様
総務大臣
文部科学大臣
こども政策担当大臣

 介護従事者の処遇改善に関する手続の簡素化等を求める意見書

我が国では、高齢化の進展に伴い介護が必要な者が増加する一方で、介護人材は不足しており、国は、介護報酬における介護職員処遇改善加算(以下「処遇改善加算」という。)や介護職員等特定処遇改善加算(以下「特定加算」という。)により介護従事者の賃上げを図ってきた。
また、令和3年11月に閣議決定された「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」において、収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための措置の実施が決定し、本年2月から介護職員処遇改善支援補助金が支給されている。
さらに、国の社会保障審議会において、本年10月以降に臨時の報酬改定を行い、同補助金の要件・仕組み等を引き継いだ新たな加算を創設することが検討されている。
現行の処遇改善加算や特定加算による加算制度においても、書類の多さなど、事業所の事務処理負担が大きい中、新たな加算の創設により更なる負担増が懸念されている。
加えて、特定加算については、事業所内の加算金の配分方法に制限があるため、実情に応じた処遇改善が図れないといった課題がある。
よって、国においては、地域の介護サービスを持続可能なものとするため、下記の事項を速やかに実施するよう強く要望する。

1 新たな加算の創設に当たっては、現行の処遇改善加算及び特定加算との統合による一本化を検討するなど、事務手続の簡素化を図ること。
2 特定加算の対象者については、法人や事業所が実情に応じて処遇改善を図ることができるよう、加算金の配分方法に係る制限を更に緩和するなど、より弾力的な運用が可能となる制度への見直しを検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月25日

埼玉県議会議長 梅澤 佳一 

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣        様
厚生労働大臣

 命と生活と事業を守るために原油価格高騰への対処を求める意見書

長期にわたるコロナ禍の影響により、国民生活や経済活動は窮地に立たされている中、世界的な原油価格の高騰に伴い、国内のガソリン、灯油、軽油などの燃料価格が約13年ぶりの高水準となっている。
ガソリンや軽油価格の高騰は、自動車を利用する家計への直接的な痛手となるとともに、暖房などの燃料のコストも上昇し、国民生活にさらなる影響を及ぼしている。
また、トラック、タクシー、定期船などの運送業や運輸業、ハウス栽培などの農林漁業、クリーニング業など多くの業種で、燃料代や石油関連製品の値上げに伴う仕入れ価格の高騰により、収益が圧迫され、国内産業も打撃を受けている。
国は、本年3月4日、関係閣僚会合を開き、「原油価格高騰に対する緊急対策」として、燃料油価格の激変緩和事業である石油元売り事業者に対する補助金の支給上限を1リットル当たり5円から25円への引上げを決定したが、早くも3月17日には補助金額が25円に達した。
さらに、小売物価統計調査において、ガソリンの平均価格が3か月連続で1リットル当たり160円を超えた場合、揮発油税の上乗せ税率分である 25.1 円の課税を停止する「トリガー条項」について、現在、国において、凍結解除が検討されている。しかし、減税対象から灯油や重油が外れているなど課題も多い。
よって、国においては、原油価格高騰への影響を最小限に抑え、国民の生命、生活、事業活動を守るため、下記の事項を速やかに実施するよう強く要望する。

1 ガソリンや灯油価格などの高騰によって厳しい環境に置かれる者に対して、ガソリン等の購入費等への助成措置を講ずること。
2 現下のコロナ禍の厳しい経済状況に鑑み、レギュラーガソリン1リットル当たり160円超相当分について事業者に対する緊急支援を行うこと。また、他の油種についても同様の支援措置を講ずること。
3 ガソリンの場合で、1リットル当たり25.1円の旧暫定税率分の価格を下げる「トリガー条項」について、凍結解除・発動を行うとともに、金額について更なる上乗せを図ること。
4 原油価格の安定化を実現するため、既に行っている国際交渉の強化をはじめ、あらゆる対策を講ずること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月25日

埼玉県議会議長 梅澤 佳一 

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣           様
総務大臣
外務大臣
経済産業大臣

 新型コロナウイルス・オミクロン株の感染症法上の位置付けにおいて「五類感染症」への引下げを含めた柔軟な対応を求める意見書

昨年後半に出現した新型コロナウイルス感染症(以下「新型コロナ」という。)のオミクロン株による感染拡大第6波を受け、国は、本年1月、まん延防止等重点措置を適用し、その後、3月21日をもって全ての地域で終了した。
オミクロン株は、これまでのデルタ株などと比べて、重症になる割合は低いとされているが、感染力は非常に強く、医療ひっ迫だけでなく濃厚接触者や自宅待機者の激増など社会全体にその影響が広がった。
国は、感染症法により、症状の重篤度や感染力の強さなどに応じて各感染症を概ね五段階で区分しており、現在、新型コロナに関しては、結核などと同じ「二類感染症」相当に位置付け、症状のある者に対する入院勧告や就業制限といった規制のほか、治療費を公費で負担するなどの措置を取っている。
しかしながら、オミクロン株は、無症状や軽症で済むケースが多いとされていることから、季節性インフルエンザ相当の「五類感染症」への引下げを求める声が高まった。
新型コロナを「二類感染症」に位置付ける運用のままでは、国への全数報告や療養場所の特定などが保健所や医師に義務付けられていることにより、感染者の急増に保健所などの対応が追い付かず、ひいては危険度の高い感染者への対応の遅れを生じせしめ、かえって国民の生命や健康に影響を及ぼすことになりかねない状況となっている。
感染症の専門家らは、本年2月、「基礎疾患など重症化リスクのない若年層の感染者について、必ずしも徹底した公衆衛生対応を必要としないことが多い。」旨指摘し、検査や健康観察の省力化など感染症法の柔軟な運用を求める提言を公表した。一方で、法改正などには「今後のウイルス変異の予測は困難」として、慎重な対応を求めている。
新型コロナとの闘いは長期に及ぶことが想定され、オミクロン株のように重症となる割合が低いといった一定の科学的知見が得られたものに対しては、感染症法上の位置付けの引下げも含めた柔軟な対応が必要である。
よって、国においては、医療ひっ迫や経済社会の機能不全を防止するため、下記の事項を速やかに実施するよう強く要望する。

1 新型コロナに関する科学的知見を集約・考察し、今般のオミクロン株の取扱いについては、感染症法上の位置付けを「五類感染症」に引下げること。
2 「五類感染症」に引き下げた場合でも、ワクチン接種、検査、治療費などに係る公費負担を継続すること。
3 今後発生する変異株の取扱いについては、その性質に応じて、「五類感染症」若しくは「二類感染症」に随時変更すること。
4 「二類感染症」を維持するのであれば、新型コロナ専用病床における必要病床数の確保に関して柔軟な対応をとること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和4年3月25日

埼玉県議会議長 梅澤 佳一 

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣                 様
厚生労働大臣
新型コロナ対策・健康危機管理担当大臣
ワクチン接種推進担当大臣

 ロシアによるウクライナへの侵攻に対する抗議決議

我が国を含む国際社会が強く自制を求める中、ロシアは本年2月24日、ウクライナに侵攻した。
ロシア軍によるウクライナへの侵攻は、力による一方的な現状変更を認めないとの国際秩序の根幹を揺るがすとともに、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害する明白な国際法・国連憲章違反であり、断じて容認することはできない。
よって、本県議会は、今回のロシアによるウクライナへの侵攻に対し強く抗議するとともに、軍の即時撤収、国際法の順守を強く求める。
以上、決議する。

令和4年2月28日

埼玉県議会

 課題や悩みを抱える児童生徒に対する公教育の充実を求める決議

全国の小中学校の不登校児童生徒数は、令和2年度に19万人を超え、増加傾向にある。
本県においても、令和2年度における国の調査結果では、小学校では2,624人、中学校では6,310人の不登校児童生徒がいるが、その中で学校内外の機関等で相談・指導等を受けた児童生徒の割合は約7割となっている。
不登校児童生徒への支援は、スクールカウンセラー、相談員、市町村が運営する教育支援センター、民間のフリースクール、不登校特例校など様々な機関で行われているが、必ずしも十分な支援が行われているとは言い難い。
また、令和2年度に県が実施した「多様性を尊重する共生社会づくりに関する調査」の結果、性的マイノリティであるLGBTQに分類される割合は3.3%であること、さらに、LGBTQの方のうち「学校での性の多様性に関する教育が十分でない。」と回答した割合は42.9%であることが明らかとなっている。
県内の公立学校では、性自認に悩む児童生徒への教育相談や教職員に対する啓発リーフレットの配布などにより、性の多様性の理解増進の取組を進めてきたところであるが、LGBTQの児童生徒に対する支援が必ずしも十分とは言えない。
よって、本県議会は、課題や悩みを抱える児童生徒に対する公教育を充実させるため、県において下記の措置を講ずるよう強く求める。

1 不登校特例校の設置、スクールカウンセラーや相談員の増員を含めた不登校児童生徒に対する支援の充実を図ること。
2 制服の選択制を拡大するなど性の多様性を尊重した教育の充実を図ること。
以上、決議する。

令和4年3月25日

埼玉県議会

 北朝鮮による弾道ミサイル等の発射に重ねて断固抗議し、制裁措置の厳格な履行等を求める決議

北朝鮮は、国際社会の度重なる強い警告にもかかわらず、今年に入ってからも既に10発を超える弾道ミサイル等を発射している。防衛省によれば、本年3月24日に北朝鮮から発射された弾道ミサイルが、我が国の排他的経済水域である北海道渡島半島西方約150キロメートルの海域内に落下した。
度重なる弾道ミサイルの発射は、国際連合安全保障理事会決議等への明らかな違反であり、我が国や北東アジアのみならず、国際社会に対する明白な暴挙である。
こうした北朝鮮による弾道ミサイル等の発射は、国際社会の平和的解決に向けた努力を踏みにじるものであり、我が国の航空機や船舶の安全確保の観点からも断じて容認することはできない。
本県議会は、令和3年9月定例会において「北朝鮮による弾道ミサイル等の発射に断固抗議し、制裁措置の厳格な履行等を求める決議」を行ったところであるが、北朝鮮に対し、その軍事的暴挙に断固として抗議するとともに、核兵器及び弾道ミサイル等の開発を即刻に放棄し、更なる軍事的挑発行動を行わないよう重ねて強く求めるものである。
また、国は、米国をはじめとする関係国と緊密に協力し、国際連合安全保障理事会決議に基づく制裁措置を完全に履行するとともに、我が国独自の制裁措置をより一層強化し、北朝鮮に対し、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けた具体的行動を促すよう強く求める。
以上、決議する。

令和4年3月25日

埼玉県議会

 

  • 注意:議員の氏名の一部にJIS規格第1・2水準にない文字があるため、第1・第2水準の漢字で表記しているものがあります。

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