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掲載日:2024年3月21日

令和3年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(田並尚明議員)

ICT教育について

Q   田並尚明  議員(民主フォーラム)

国立教育政策研究所が公開している2018年OECD生徒の学習到達度調査によりますと、日本の15歳のICT活用は、OECD諸国の中で、チャットやゲームは1位、学習は最下位という結果になっております。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や学校の長期休校などを踏まえ、国はGIGAスクール構想で義務教育段階の児童生徒に一人1台の情報端末を当初令和5年度までに整備する計画を前倒ししました。埼玉県では、県立高校はBYOD方式、スマホなど私的端末を利用する方針で、その結果、今年度末までに小中高、特別支援学校等における一人1台端末及び高速大容量の通信ネットワーク整備というハード面での環境が整うこととなり、これにより、県全体で考えると令和3年度から本格的な活用が始まるとのことです。
そこで、この一人1台端末の実現により、埼玉県の教育は具体的にどのように変わるのか。埼玉県として、ICTを活用した教育について将来的なビジョンをどう描いているのか、まずお伺いいたします。
本来であれば、一人1台環境におけるICT活用計画や達成状況を踏まえたフォローアップ計画などを定めた埼玉県学校教育情報化推進計画を策定し、それに基づき効果的な活用が図られるべきですが、現時点においては、国の計画が示されていないことが影響しているのか、その指針となる埼玉県学校教育情報化推進計画は策定されておりません。
国の方針転換により、当初の想定よりもかなり前倒しして一人1台端末や校内通信ネットワーク環境が整うことになりますが、県の指針となる計画もない中で、それを授業で活用する教職員の指導体制など、環境の体制は十分に整っていると言えるのか。新年度における県内各学校でのICT活用について、県としてどのように対応する考えなのか、お伺いいたします。
GIGAスクール構想の中には、「一人1台端末及び高速大容量の通信ネットワークを整備することで、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを全国の学校環境で持続的に実現させる」とあります。小中高校、特別支援学校等の児童生徒が個々人の教育的ニーズや理解度、学習履歴に応じた活用やグループ学習、双方向のオンライン授業など、学校教育における学習の形、幅が広がることが期待されます。
しかし、各自治体では細かな導入仕様や運用方針もまちまちであり、新型コロナウイルス感染症による昨年の臨時休校措置によるオンラインの活用についても、各自治体、各学校、家庭の環境によって差があったことも事実としてあります。
そこで、真に誰一人取り残すことのなく、公正に個別最適化された学びを全県の学校現場で実現するために、学校教育におけるICT活用について、各自治体、各学校、家庭でのオンライン教育などの格差が出るといったことがないよう、今後県としてどのようにフォローしていくのか、お伺いいたします。
最後に、国のGIGAスクール構想の中では、数年ごとに発生する端末の更新費用は、国が持つ法律上の義務はうたわれておりません。財政力の弱い自治体はその更新費用などの財源が課題になってくると思いますが、県内の子供たちが住んでいる地域によって学ぶ環境に差が出ないよう、県としてどのように対応していかれるのか。
以上四点について、教育長にお伺いいたします。

A   高田直芳  教育長

一人1台端末の実現により埼玉県の教育は具体的にどのように変わり、県としてICTを活用した教育について将来的なビジョンをどう描いているのかについてでございます。
一人1台端末の環境が実現されることで、他県や海外の児童生徒とオンラインで交流しながら授業ができるようになったり、一人一人の学習状況に応じた課題を配信するなどの個別最適化された学習が可能となります。
また、ICTを活用することで、台風などにより臨時休業を行った場合や、病気や怪我により入院している児童生徒がいる場合にも、児童生徒の学びを継続することができます。
今後、本県で取り組んできた協調学習などの授業実践と、最先端のICT教育を融合することで、新たな学びを創出し、児童生徒の力を最大限に引き出し、これからの社会をたくましく生き抜く力の育成に努めてまいります。
次に、新年度における県内各学校でのICT活用について、県としてどのように対応する考えなのかについてでございます。
令和2年9月に県が実施した調査の結果、例えば、タブレット端末を活用した授業を実施することに習熟していない高校教員が1割程度いることが分かりました。
また、小中学校を対象に実施した調査においても、半数程度の学校がICT関係の研修が不足していることを課題としてあげております。
そこで、11月以降、県立総合教育センターにおいて、小・中・高・特別支援学校の管理職や教員の希望者を対象に、授業におけるICT活用研修を新たに5回実施するなど、教員のICT指導力の向上に努めてまいりました。
また、「ICT教育ガイドライン」を策定し、各教科等の指導における活用方策や指導例を各学校に具体的に示しました。
新年度につきましては、これらの取組などの一層の充実を図るため、ICT教育の推進に向けた体制強化を図りたいと考えております。
次に、ICTの活用について、各自治体・各学校・家庭間で格差が生じないように県としてどのようにフォローしていくのかについてでございます。
県では令和2年8月に、通常登校再開後の各学校の授業等の状況に関する調査を実施し、その中で学校や家庭におけるICT活用の課題などを把握した上で、市町村や学校に改善を働き掛けてまいりました。
具体的には、ICTの活用能力の高い教員はいるものの、教員の活用能力の差が大きいことを多くの学校が課題にあげていたことから、県としてもICT活用の好事例の収集や研修の見直しを図るとともに、市町村や各学校が取り組むべきことを整理し、対応を要請いたしました。
また、学校が臨時休業になった際には、家庭にICT環境が無い児童生徒が必要な支援を受けられるよう、学校のパソコン教室を開放したり、モバイルルーターの貸与を行うなどの必要な対応策を検討するよう各学校に促しました。
さらに、市町村間でICTを活用した教育に格差が生じないよう、12月には、さいたま市を除く全ての市町村の担当者を集めた「埼玉県ICT活用推進ワーキンググループ」を設置し、国の動向についての情報や、県内の好事例の共有などを図っております。
今後も引き続き、県内市町村や各学校の実態をきめ細かに把握しつつ、ICT活用について格差が生じないようしっかりと支援してまいります。
次に、端末の更新費用などの財源により、子供たちが住んでいる地域によって学ぶ環境に差が出ないように、どのように対応していくのかについてでございます。
GIGAスクール構想で整備した端末の更新に係る経費については、莫大な財政支出を伴うことから、市町村から懸念の声があがっており、県としても重要な課題であると認識しております。
県といたしましては、GIGAスクール構想が国主導の下に進められたものであり、ICT環境を維持するための端末の更新費についても、国による十分な財政支援が不可欠と考えております。
このため県では、これまでも更新経費などに係る継続的な財政支援を行うよう、国に要望してまいりました。
文部科学省では、関係省庁や地方自治体などと協議して検討を進めるとしておりますので、今後、県内市町村や全国都道府県教育委員会連合会などとの連携を強化し、様々な機会を捉え国に強く要望してまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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