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掲載日:2024年3月21日

令和3年2月定例会 代表質問 質疑質問・答弁全文(田並尚明議員)

コロナ禍における高齢者の健康づくりについて

Q   田並尚明  議員(民主フォーラム)

今年の元旦に、「高齢者要介護度、全国的に悪化区分変更申請、緊急宣言後に急増」という時事通信の調査が報道されました。記事によれば、新型コロナウイルス感染を恐れた高齢者が外出や施設利用を控えたことで、身体機能に悪影響が出ている可能性があるとのことでした。複数の自治体が「通所リハビリや短所入所の利用が落ちている」、また「家族が帰省できず対応や支援が遅れがちになっている」との回答も寄せられたとのことでした。
そこで、本県の昨年4月から10月の状況を調査いたしました。すると意外にも、初の緊急事態宣言が発出され、4月、5月は区分変更申請件数が前年同月に比べ10%前後減少して、それ以降、10月から20%増加していましたが、平均すると例年並みとのことでした。また、区分変更申請で介護度が上がった割合も例年並みとのことでした。
しかし、多くの専門家は、コロナ禍で高齢者が外出して体を動かしたり人と触れ合ったりする機会が減ることで、コロナフレイルが大問題になるおそれがあると警鐘を鳴らしています。そして、運動不足は免疫低下にもつながります。
また、全国の介護事業所の経営状況について国が発表した調査結果によると、「感染の流行前に比べ経営状況が悪くなった」と回答した事業所は、昨年の5月時点で全体の47.5%、10月時点で32.7%となっています。そして、昨年11月の読売新聞には、「コロナで外出や面会自粛で認知症進行に影響している」と認知症介護指導者の85%が感じていることが、民間団体認知症介護研究・研修センターの調査で分かったとの報道もありました。そして、全国で500万人いると推計されるMCI(軽度認知障害)などの認知症予備軍にも、影響を及ぼすと懸念されます。
認知症に限らず、閉じこもることは心身に大きな負担を及ぼし、廃用性症候群の症状を引き起こすと指摘されています。認知症予防や進行の抑制においては、かねてより家族や社会とのつながりが重視されています。
以上を踏まえてお伺いいたします。
コロナ禍での高齢者の健康づくりに県としてどのように取り組んできたのか。また、専門家の指摘などを踏まえて今後どのように取り組んでいくのか。そして、経営が厳しくなっている介護事業所の存続に向けての支援をどのように行っていくのか、知事の御見解をお伺いいたします。
また、新型コロナウイルスの流行が長引く中で、外出自粛で孤立しがちな高齢者の声に耳を傾け、不安を解きほぐす傾聴の重要性が高まっています。各地の傾聴ボランティアは、電話やオンラインなどを駆使して画面越しに顔を見て話すことで、高齢者らの表情が生き生きとしているのが分かると言います。
本県でも、高齢者の孤独を防ぎ、社会とのつながりを持っていただき、見守りをするためにも、こうした取組を広げていくべきと考えますが、知事の御見解をお伺いいたします。

A   大野元裕  知事

県としてどのように取り組んできたのか、今後どのように取り組んでいくのかについてでございます。
議員お話しのとおり、コロナ禍であっても、高齢者が身体を動かしたり、社会とのつながりを保つことが、フレイル予防に重要であると認識しております。
県民の健康づくりを推進するコバトン健康マイレージでは、現在、参加者のうち、約4割の方が65歳以上であり、人混みを避けて健康マイレージを活用したウオーキングや、家でできる体操などをお勧めしております。
高齢者が集まって運動や交流を楽しむ「通いの場」は、感染症の拡大によりその多くが中止となっているため、県では、再開に向けた留意点をまとめたチェックシートを作成し、市町村に配布しております。
一方、「通いの場」が中止となっている間の高齢者の健康状況の把握は、非常に重要であります。
ときがわ町では、保健師が「通いの場」参加者の自宅を訪問し、各参加者からのメッセージや介護予防体操などからなるビデオレターを配布しながら、本人の状況を確認しています。
今後は、こうした市町村の優れた取組事例について、介護予防に関する研修等の機会を通じて、情報の共有を図ってまいります。
また、県では、高齢者が自らの健康について考えるきっかけとなるよう、運動や交流機会の確保など20項目からなる健康チェックのリーフレットを作成をしております。
このリーフレットを高齢者御本人や専門家の意見を取り入れコロナ禍を踏まえたものにリニューアルし、市町村を通じて本人や支援する方々に対して情報発信してまいります。
次に、経営が厳しくなっている介護事業所の存続に向けての支援についてであります。
高齢者が感染を恐れて介護サービスの利用を控えたり、感染が発生した介護事業所では一時的にサービスの中止や縮小をせざるを得ないことから、経営が厳しくなっている事業所も出てきてあります。
国は、特に経営が厳しい通所介護事業所においてサービスを短縮して提供したり、電話による安否確認を行った場合にも介護報酬を算定できる特例措置を講じており、県では直ちにその活用を事業所に周知いたしました。
また、介護事業所が事業を継続していくためには、マスクや消毒液などの衛生用品を確保するとともに、飛沫防止パネルの設置、換気設備の改修など十分な感染防止対策を講じていく必要があります。
こうした経費の負担を軽減するため、県では国の交付金を活用して介護事業所の感染対策に必要な費用を補助しており、これまでに延べ約8,000施設に対して、総額約57億円の補助を行っております。
さらに、経営基盤を強化し、危機を乗り切れるよう足腰を強くしていくことも重要です。
ICTを活用した職員会議や記録作成、介護ロボットの導入などを進め、密を回避しながら効率的な事業運営ができるよう必要な費用を補助するとともに、丁寧な経営相談などを実施してまいります。
こうした取組を進めることで、コロナ禍においても介護事業所が安定して事業を継続し、必要な介護サービスが提供されるよう取り組んでまいります。
次に、「傾聴」の取組を広げていくべきについてでございます。
議員お話しのとおり、新型コロナウイルスの流行が長引く中で、高齢者の孤立対策として、相手に寄り添いじっくり話を聴く「傾聴」の重要性は高まっていると考えられます。
県内では、37市町村で傾聴ボランティアの養成を行っており、いずれも主に福祉施設や高齢者のお宅などを訪問して、活動を行っています。
また、傾聴は、認知症の方への対応において特に有効であるとされています。
今後は、県で実施する「認知症サポーター養成講座」に、「傾聴の重要性」や「コロナ禍における接し方」などの内容を組み込むとともに、市町村主催の講座でも導入していただけるよう、働き掛けてを行ってまいります。
さらに、コロナ禍の中、電話やオンラインによる会わなくてもできる傾聴を進める必要があります。
例えば、久喜市では、「ふれあい電話サービス」として、電話による高齢者や介護者に対する傾聴ボランティアが行われており、こうした取組は、高齢者の見守り体制を作っていく上でも重要と考えております。
県内で取り組まれている様々な事例をホームページや市町村の会議で紹介するなど、コロナ禍においても工夫を重ねることで高齢者の健康づくりを推進してまいります。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

お問い合わせ

議会事務局 政策調査課 広報担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4923

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