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掲載日:2023年10月17日
Q 並木正年 議員(県民)
観光局が発表した訪日外国人数は、昨年の10月から10カ月連続して対前年同月比で減少するなど、実はコロナ禍以前からアジアを中心とした外国人旅行者は減少傾向にありました。そして、今年の1月こそ前年度をやや下回る程度の約267万人のインバウンドでしたが、4月は2,900人、5月も1,700人など、4月からは4カ月連続して前年同月比で99.9%減少するなど、今なお大きな打撃を受けています。
訪日外国人のインバウンド消費はイメージ的には巨額に見えますが、国内の日本人と訪日外国人旅行者の旅行消費額は合わせて約27億円で、そのうちインバウンドが占める割合は18%の約5億円です。このことから、日本人の宿泊に関連する消費額は約22億円もあることが、旅行観光消費動向調査から分かるように、しばらくインバウンドに期待できない中では、今後は日本人、より多くの県民にも埼玉観光の魅力を発信しなければなりません。
昨年の東日本台風の影響で秋の行楽シーズンであった県内の宿泊施設は、約4,000件のキャンセルが相次ぎ、また新型コロナウイルスの影響でも全国旅行業協会埼玉県支部の調査では、4月から7月までに約15万件の旅行がキャンセルになっていることから、物産品の購入費や飲食費を含めた一人当たりの観光消費額に多大な影響を及ぼしています。
そこで、一つ目の質問として、県内における観光に関する影響額を伺います。
二つ目として、観光消費額を上げるためには、資源の認知度の向上から、訪問地点数の増加、そして滞在時間の長期化といったフローが大切であると考えます。
今定例会で観光関連事業者への支援に対する補正予算が出されていますが、今後、観光分野の回復と拡大を図るために、どのような取組を行っていくのか、中長期的な視点でお聞かせください。
三つ目として、多彩で豊かな観光資源の再認識を図るため、多様な人材を持つ市町村の観光協会や近隣県との情報共有から埼玉観光を進めたいとして観光サミットを開催するなど、相互連携から資源の掘り起こしを図ってはどうか伺います。
次に、観光拠点の在り方についてです。
観光には、その土地ならではの食やお土産、民芸品など物産の魅力を消費者に広く紹介し、購入していただくことで、観光と一体となった観光消費額の底上げを図る必要があります。本県の観光と物産拠点は、ソニックシティ2階の物産観光館「そぴあ」であると思いますが、日曜日と祝日に休業しているこの拠点施設が、果たしてその役割をしっかり担えているのか、大きな疑問を持っています。都内には他県のアンテナショップが多くあり、近県を見ても、栃木県は東武線と接続する東京ソラマチ、また群馬県は銀座7丁目に構えるなど、常に新しいマーケットの開拓に余念がありません。
都道府県魅力度ランキングで毎年下位である群馬県は、その危機感からか、平成20年に銀座にオープンしていますが、コロナ禍の影響で4月に始めた通販は好調と伺っており、県産食材100%を使ったレストランを併設するなど、昨年度は年間33万人が来店し、売上げは1億3,000万円にも上っています。売上げが伸びれば、当然、物産品を扱う事業者の業績アップにもつながり、またそこに食材や物品などを納入する業者にも利益が生まれることで、事業の継続から後継者の育成にもつながります。
物産観光館「そぴあ」は、リニューアルから7年目を迎えていますが、この拠点を多くの人が往来する場所、例えば大宮駅構内や知事公約である大宮スーパー・ボールパーク構想を見据えた大宮駅東口などに移転することで、販売促進はもちろん、県が進める埼玉県おもてなし通訳案内士による外国人旅行者への対応、そして旅行業の資格を生かした観光提案を行うなど、より価値の高い観光拠点を目指すべきだと思います。
本県の観光拠点の施設の在り方について、また移転を進めるべきであると思いますが、以上4点、産業労働部長に伺います。
A 加藤和男 産業労働部長
まず、県内における観光に関する影響額についてでございます。
全国旅行業協会埼玉県支部では、4月から7月の日帰りも含めた旅行のキャンセルによる県内旅行業者への影響額を約23億円と集計しております。
また、埼玉県ホテル旅館生活衛生同業組合が行った調査では、時期は1月から5月となりますが、約6万9,000人のキャンセルがあり、これに一人当たりの消費額を掛けますと影響額は約16億円と推計されます。
次に、観光分野の回復と拡大を図るため中長期的にどのような取組を行っていくかについてでございます。
新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間は、安心して楽しめる近場の観光が主流になると考えております。
その第一歩として、広く県民に埼玉の魅力を再発見していただき、観光関連事業者も幅広く支援するための事業を今議会の補正予算でお願いしております。
まず、県民限定のクーポン券配布事業では、旅行期間中に限り利用可能なGoTo トラベル事業の地域共通クーポンよりも有効期間を長く設定し、宿泊旅行の後にも再び日帰り旅行等に活用していただけるものとしております。
また、デジタルスタンプラリーでは、各市町村1カ所以上で県内100カ所以上のポイントを設け、より一層の県内周遊を促してまいります。
さらに、バス事業者の支援では、観光バスの利用を促すことで、小中学生の社会科見学も含めた幅広い観光需要の掘り起こしに努めてまいります。
これらを通じて、観光資源の認知度の向上と訪問地点数の増加、滞在時間の長期化を図り、観光消費額の増加につなげてまいります。
こうした視点での取組を中長期的に積み上げ、本県観光の回復と拡大を図ってまいります。
次に、観光サミットの開催などによる相互連携についてでございます。
県内の観光連携としては、埼玉県物産観光協会が事務局となり県内全ての市町村等で構成する「埼玉みどころ旬感協議会」を通じて観光資源の発掘や情報共有を図っております。
また、近隣の群馬県や新潟県と連携し、各県主催イベントにおける共同観光PRや、3県周遊観光コースの海外への情報発信にも取り組んでおります。
こうした取組の現状を踏まえ、議員御提案の観光サミットの開催につきましても、埼玉みどころ旬感協議会や近隣県と協議してまいります。
最後に、物産観光館「そぴあ」の在り方と移転についてでございます。
「そぴあ」は、県産品の販路拡大や物産・観光業の振興を目的として設置され、埼玉を代表する土産物など常時650種類以上の商品を取り扱っております。
現状の「そぴあ」は県産品の販路拡大やPRが主となっておりますが、議員御提案の外国人旅行者への対応などのサービスが提供できれば、観光拠点としての価値がより一層高まります。
「そぴあ」の在り方につきましては、今後、物産事業者なども交えて観光拠点施設としての機能や場所、更には運営方法などをしっかり議論しながら、移転という選択肢も視野に入れて検討してまいります。
再Q 並木正年 議員(県民)
私が質問した中身というのは埼玉県の中長期的な観光でありまして、今回、今答弁されたような今定例会の議案の中身というのはまた委員会で議論されるわけですから、どこに配るとか、クーポン券が幾らのがどうだとかという話を聞いてきたわけではないのです。埼玉県まち・ひと・しごと創生総合戦略の中にもあるように、従来型の観光の枠を超えた本県独自の観光立県を目指すというのが埼玉県まち・ひと・しごと創生総合戦略の中身ですので、ぜひ部長には中長期的な視点に立った観光を答弁いただきたいと思います。
再A 加藤和男 産業労働部長
中長期的な視点での施策をというお話でございましたけれども、先ほど申し上げましたのも一つの事例といたしまして、議員の方からお話がありました観光資源の認知度の向上、それから訪問地点数の増加、それから滞在時間の長期化というのが有効な手段ではないかというお話でございましたので、それを踏まえましてまずは近い場所でのお話をさせていただきました。
こうした視点を中長期的に積み上げるというお話を差し上げましたが、やはり今後状況の変化等に十分対応しながら本県観光の回復が図れますよう、しっかりと中長期的なビジョンを考え今後の計画に生かしてまいりたいと考えております。
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