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掲載日:2023年10月23日
Q 関根信明 議員(自民)
初めに、障害者の雇用対策についてお聞きします。
令和2年4月に策定された埼玉県障害者活躍推進計画によれば、令和元年6月の障害者雇用促進法の改正により、国及び地方公共団体が率先して障害者を雇用する責務が明示され、この計画を作成することが義務付けられました。私は、この計画をいかに具現化し、魂を入れていくことが大切だと考えております。
この計画書の中で障害者雇用率を見ていくと、令和元年6月1日時点、法定雇用率は2.5%で、知事部局、議会事務局、企業局、病院局、下水道局、全ての部局で達成。教育委員会では独自に同計画を策定し、法定雇用率2.4%で、教育委員会3万264.5人の障害者雇用率算定基礎による職員数に対し、1.58%と未達成でありますが、事務職員の雇用率が7.31%、9割を占める教員職員雇用率が1.07%と低いがゆえに未達成となっております。
そこで、知事部局、他部局で昨年6月の雇用率は、法定雇用率2.5%を上回っておりますが、現時点での課題と今後の取組について、総務部長にお伺いいたします。
また、県教育委員会は、雇用率が達成できない理由について、雇用率を上げる取組について、雇用率向上に向けた国への要望活動について、教育長の御所見をお伺いします。
次に、本庁舎3階にスマートステーション「flat」がこの9月に開設、9月25日、現場確認をさせていただきました。現場は明るく、オープンオフィス、バリアフリー化、ICT化、業務のデータ化、見える化等を図り、障害者8人と一般職員、計約30名で各課の定型業務を請け負う組織「flat」、若手職員が発案した組織とお聞きしております。模範的な職場だと感じたところであります。
そこで、障害者と共同する「flat」を作った背景とその目的、どのような効果を考えているのか。また、障害者雇用の方々を増員していく方向性なのか、総務部長に御見解を伺います。
次に、重度障害者施設を運営する社会福祉法人から意見聴取いたしましたので、これらに対する県の考え方についてお伺いします。
(1)その法人より、県を含め障害者雇用は進んできており、雇用率を達成している企業も少なくありません。しかし、現状において、より障害が軽い、より問題がない障害者から選別し採用している。つまり、重度障害者が取り残されている状況であります。より雇用されることが困難な障害者雇用を目指すという、重度障害者雇用の新たな仕組みを検討いただきたい。
(2)障害者雇用率も大切であるが、継続率や離職率の検討をしなければ効果の測定はできません。障害者のサポートは継続性、永続性が必要であり、サポートを充実させていただきたい。
(3)優先調達で障害者福祉施設は規模が小さく、チャンスや好事業があっても事業内容を遂行する規模には至らず、受注できない施設が多い。現在、県ではどのように障害者優先調達を行い、福祉施設の共同受注が行われているのか、教えていただきたい。
以上3点について、前の質問と重なるところがありますが、県の考え方について、産業労働部長、福祉部長に御所見をお伺いします。
次に、障害者の避難場所についてお伺いします。
昨年の台風第19号、今年の九州豪雨により川が氾濫し、介護施設等の浸水で多くの犠牲者を出したことは、皆様、御承知のとおりだと思います。大変悲しい出来事であり、何か対応策があったのではないか。埼玉県でも、特に川の周辺にある施設が浸水することを想定に、対策を打っていかなければならないと考えます。また、市町村が主体で避難所、福祉避難所を指定していると思いますが、障害者にとって避難場所に行っての諸課題があること、一般の避難所でトラブルになる可能性があることを県が認識、把握することが大切であると考えます。
9月5日には、浦和東署と葬儀会社がホールを緊急事態発生時等における施設の一時使用に関する協定を結んだことや、9月14日には、県と県ホテル旅館生活衛生同業組合と災害時の避難施設として協定を締結したとあり、大変期待しているところであります。
そこで、障害者の避難施設について2点伺います。
(1)障害者の方は、初めに一般の避難所に行き、それから選別して福祉避難所に行くようでありますが、時間的、労力的、危険度からいっても好ましくないのではないか。障害者の避難場所、福祉避難所の現状と課題についてお伺いします。
(2)浸水が想定される施設から、避難指示後、障害者を車両で職員が避難所へ向かうのでは、2次災害が発生する可能性があります。もっと事前に、避難指示が発令される前に、実質的に効率良く避難するシステムを構築できないか。また、私は、川沿いにある浸水が想定される障害者施設の専用福祉避難所の指定制度を創設し、大規模災害で避難指示が発令される前から、施設の職員が中心となって専用の福祉避難所に移動させるべきと考えます。新たな試みですが、早急に御検討いただきたい。福祉部長の御所見をお伺いします。
A 北島通次 総務部長
「障害者の雇用対策について」お答えを申し上げます。
県では、障害者雇用率の目標を法定雇用率を超える3%と定め、障害者雇用の拡大を図ってきたところでございます。
近年では、精神障害者と知的障害者を受験対象に加えるとともに、受験年齢の上限を34歳から58歳に引き上げました。
こうした取組の結果、知事部局の今年の障害者雇用率は暫定値ですが、2.88%と、前年と比べて0.14ポイント上昇したところでございます。
一方、障害者雇用率は上昇しているものの、目標の3%を達成していないということが一つの課題となっております。
現在、執務環境の改善などハード面の整備を行っているほか、研修や相談体制の充実、多様な働き方といったソフト面での拡充を図っております。
目標の障害者雇用率3%が達成できるよう、積極的に障害者の採用を進めてまいります。
次に、スマートステーション「flat」についてでございます。
「flat」を開設した背景には、業務の一層の効率化が求められたこと、短時間勤務でも一般職員として採用できる会計年度任用職員制度の導入があったことなどがございました。
そこで、各課所で行っていた定型的な業務を切り出し、障害者と共に処理する組織として「flat」を立ち上げたところでございます。
この組織の目的は、県庁の生産性、創造性を向上させること、障害者と健常者が互いに理解、尊重し合いながら共に働く場を作ることです。
「flat」の効果としては、まず、定型業務を集約することで、各課の職員がより創造的な業務に専念できるようになることがあげられます。
また、障害者への就労支援はもとより、庁内の職員が障害者が働くことへの理解を深める場となることも期待します。
「flat」というこの愛称には、障害者と健常者が「同じ目線」に立ち、共に働く場という思いを込めております。
最後になりますが、「flat」で働く障害者の増員についてです。
まずは、現在勤務しております8名の障害者の方にしっかりと定着していただき、スキルを磨いていただくことが重要と考えております。
今後は、さらに障害者に適した業務の切り出しを進め、障害者の就労機会の拡大に努めてまいります。
A 高田直芳 教育長
まず、県教育委員会の雇用率が達成できない理由についてでございます。
議員御指摘のとおり、教職員全体の9割を占める教員の障害者雇用を進められていないことが大きな要因だと認識しております。
これは、障害のある教員が、教育現場で安心して勤務するための人的サポートや施設設備が必ずしも十分ではないこと、教員免許を取得する障害者が全国的に少ないことなどが課題として挙げられます。
次に、雇用率を上げる取組についてでございます。
県では、教員の障害者特別選考を実施しており、令和元年度から、これまでの身体障害者に加え、精神障害者を新たに対象とするなど、採用の拡大に努めております。
また、障害のある方が働きやすい環境にするための施設設備の整備や、教職員が障害者をより深く理解できる研修の実施などに努めております。
次に、雇用率向上に向けた国への要望活動についてでございます。
これまでも、障害のある教員の負担軽減のための人的支援や学校環境整備のための財政措置、教員を志す障害のある方が学びやすい環境となるよう大学等に働き掛けることなどについて国に要望しております。
国に対しては、今後とも様々な機会を捉え強く要望してまいります。
今後、より一層障害のある教職員の雇用を進めるとともに、障害のある方が働きやすい職場づくりに全力で取り組んでまいります。
A 加藤和男 産業労働部長
「障害者の雇用対策について」お答えを申し上げます。
まず、重度障害者雇用の新たな仕組みの検討についてです。
県では企業の障害者雇用の支援に積極的に取り組んでおり、昨年の民間企業の障害者雇用率は法定雇用率を上回ることになりました。
今後は重度障害者の更なる雇用などが課題です。
重度障害者の雇用については、これまで施設改修に対する助成制度などがありましたが、新たに通勤や職場での介助に対する助成制度が本日から始まりました。
県ではこうした助成制度を積極的に紹介し、重度障害者の雇用が確実に進むよう取り組んでまいります。
また、働く意欲と能力がある重度障害者を雇用につなげる新たな仕組みについてもしっかり検討してまいります。
次に、障害者のサポートの充実についてです。
障害者は離職率が高いことから、定着支援も重要です。
そのため、県では、定着が難しい障害者を雇用する企業にジョブコーチを派遣し、職場に適応するまでの支援を行っております。
継続的・永続的な支援につきましては、身近な市町など地域での支援が望ましいことから、地域の障害者就労支援センター職員のスキルアップ支援を併せて行っております。
県といたしましては、障害者の方が安心して働き続けられるよう、引き続き支援の充実に努めてまいります。
A 山﨑達也 福祉部長
「障害者福祉施設に係る優先調達及び共同受注の状況について」お答え申し上げます。
県では、毎年策定する埼玉県障害者優先調達推進方針に基づき、庁内の連絡会議において、各施設の受注可能な業務リストを配布するなど、全庁で優先調達に取り組んでいます。
令和元年度の県の優先調達の実績は約1億214万円で、取組を始めた平成25年度と比べ、約3倍の増となっています。
共同受注につきましては、大規模な建物の清掃や公園の除草など作業面積が大きい場合には、複数の施設で共同受注できるよう配慮しています。
次に、「障害者の避難場所、福祉避難所の現状と課題について」です。
福祉避難所は、県内全ての市町村で設置されており、本年4月現在799カ所となっています。
昨年の台風19号では、県内で初めて9市町28カ所で開設されました。
福祉避難所は災害の状況に応じて開設されるものであり、受入れ人数も限られることから、国のガイドラインで、まずは一般避難所へ避難することが基本とされています。
一方、議員御指摘のとおり、時間的、労力的、危険度などから、そうした対応が困難な場合も想定されます。
このため、県では市町村に対し、要配慮者の状態などを考慮の上、直接福祉避難所へ避難することについても働き掛けています。
次に、「避難指示が発令される前に自主的に効率よく避難するシステムを構築できないか」についてでございます。
浸水想定区域内にある入所施設では、避難確保計画を定め、地域住民に避難指示が出る前の段階で避難を開始することとなっています。
一方、「これまでも大丈夫だった」という意識が職員に働き、避難行動が遅れる可能性があります。
これを防ぐには、平時から様々なケースを想定した避難訓練を重ねることが必要です。
万が一の際に入所者が着実に避難できるよう、各施設の取組を支援してまいります。
次に、「専用福祉避難所の指定制度の創設について」でございます。
施設の入所者の避難先は、できるだけ近距離にあることや、避難に必要な期間使えること、障害の特性に応じた設備が整っていることなどの条件が求められます。
県では、市町村に協力を求め、施設が近隣の公共施設の一角を確保することなどにより、専用で避難できるスペースが確保できるよう支援しています。
御提案の専用福祉避難所の指定制度の創設については、今後、障害者施設や市町村の御意見も伺いながら、入所者が安心して過ごせる避難先の確保の方策の一つとして検討してまいります。
県としては、施設に対し、災害時の早期避難や避難先の確保の指導を徹底し、入所者の安全安心が確保されるよう取り組んでまいります。
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