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掲載日:2023年7月10日

令和2年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(高木真理議員)

新型コロナウイルス感染症第2波を迎える備えとして - 教育について

Q  高木真理  議員(民主フォーラム)

今回の新型コロナウイルス感染拡大第1波で全国全ての人々に影響がありましたが、最も大きな影響を受けたのは、学校に通う子供たちであると言っても過言ではないと思います。2月末の突然の休校要請から激動の3カ月、子供たちも、先生も、手探りで大いに頑張りました。現在、分散登校などを経て徐々に日常を取り戻しつつありますが、今後、第2波・第3波が予測される中では、まずこの3カ月の休校期間の教育をしっかり検証し、次回があるのであれば何がベストなのか、考えた準備をしなければなりません。
まず、ア、休校期間に行ったオンライン教育の内容と今後の方向性について伺います。
準備期間もない突然の休校で、3月は復習プリントの配布ぐらいしか対応できなかったところがほとんどかと思います。この3月もフォローが必要ですが、行事準備を除くとほぼ学習が修了しているとのことで、やはり最も振り返りが必要なのは、4月、5月の学習活動でしょう。学校に子供が来られない、しかし学びを止めてはいけない。メディアからは先進各国で感染拡大に対応する中、オンライン学習が進められている状況が報道されておりました。我が国では遅ればせながらGIGAスクール構想をスタートさせ、一人一台端末を5年で整備しようとしたところでした。しかし、これは校内における実践ですから、現場は校内のICT活用の経験を積む前に、一足飛びにリモートでのオンライン学習の提供という課題に取り組まなければならなくなりました。かなり過酷なことでどのように指導すべきか、大きな苦悩と準備への労力が全ての現場にかかったことは理解するところです。
そこで、教育長に伺います。
県内市町村立小中学校、県立高校においては、オンライン学習の取組につき可能な限り実施をしてほしいとの指針を出したと伺っておりますが、それぞれの取組状況はどのようなものだったでしょうか。また、これらの現場の取組を県教育委員会としてどのように支援したか伺います。
さて、手探りで進められたオンライン学習ですが、取り組み方はそれぞれとは言え、やはりほとんどが動画配信だったかと思います。しかし、この動画作成、幾つかの実施例を私も見ておりますが、先生方の大変な頑張りが分かる一方で、動画慣れした世代の子供たちにとって学びを定着させるのに適切な動画が作成されているかというと、疑問が残らざるを得ませんでした。飽きないように短くコンパクトにまとめなければならないが効果的にまとめられない、文字と音声のみで、子供が興味を持てる動画になっていない、動画と連動したテキストやプリントとの対照関係が対面ではないので説明されないと混乱してしまうなどなど。先生たちの苦労の割に、子供たちは少ししか学び取れないのではなかったかと疑問が残りました。
先生たちは今まで動画のみで学習内容をどう伝えるかという訓練はされていません。授業のクオリティーを保つのは無理だと私は感じました。初日の質問で齊藤邦明議員が指摘されていたように、県教育委員会が作成したお手本動画等を全県で活用すれば効率化は図れると思いますが、この総合教育センター作成動画も教育効果の保証されたつくりになっているのか、疑問が残るものもあります。ちなみに、再生回数は6月3日時点で多いものでも2,500回程度であり、小中動画の平均は444回と、県内児童生徒数を考えると活用が進んだとは言えません。
他方、Zoomのような双方向の授業を展開する場合はどうでしょう。板書の使い方に工夫が必要ですが、それほどの苦労なく今まで培ってきた授業の手法を発揮することができます。こうしたことを踏まえると、もし第2波以降、休校期間が生じることに備えるなら、双方向の授業ができる態勢が不可欠と考えますが、教育長のお考えを伺います。
県立高校においては、今回の補正予算でこれが実現可能になりそうです。朗報と受け止めましたが、予算が可決した後、工事を経て実際に使えるようになるのはいつ頃なのでしょうか。また、小中においては各市町村でネットワーク環境の整備状況もそれぞれと聞いており、技術面や財政面でどう考えたらよいのか、導入に困難を感じる自治体もあろうかと思います。県教育委員会に積極的に支援していただき、実現へのプロセスをバックアップしていただきたいと思いますが、教育長の御見解を併せてお伺いいたします。
次に、イ、習熟度の差を埋めるフォロー体制について伺います。
休校期間では進める必要のあるオンライン学習ですが、対面授業以上に学びの吸収に大きな個人差が出るという問題があります。オンライン学習では端末の前に最初から座らない子もいる、一度は座っても離れてしまう子もいる、分からなくなってもフォローされず、分からないままになる子もたくさん出ます。対面授業以上に内容の習得に大きな開きが出ます。こうした負の側面があるオンライン学習なので、生じた習熟度の差はしっかり埋めなければなりません。
そこで、伺います。
今回の補正予算で配置される学習指導員は、教員免許を所持していない方も含めた取組として運用し、補習等の体制を整えるとのことですが、どのくらいの充実度が期待されるのでしょうか。教育長、お答えください。
次に、ウ、休校期間の子どもの心理状態のケアについて伺います。
休校分の学びを残りの10カ月で吸収しなければならず、先生方はどうしても学習の遅れを取り戻すことに意識が向かいがちだと思います。しかし、先日、東日本大震災後の被災地の子供たちの研究をした宮城学院大学の足立智昭先生のお話を伺って、子供たちの心のケアを第一にしっかりと目を向けないと、子供たちのその後に長く大きな影響を残してしまうと、強く感じました。東日本大震災後の被災地の子供たちに起きた心理的反応は、3カ月に及ぶ休校、巣籠もりを経験した子供たちにも似た反応が起こる可能性があり、事実、出てきているとのことです。
子供たちはいつもと違う生活で様々なストレスをため込みました。いつもと違う時間の流れ、友達と関われない環境、外で体を思うように動かせない状況。家庭によっては両親が争ったり、親のストレスから虐待を受ける子供が出たりと、トラウマを抱え込んだ子供たちがいます。しかし、子供は発達年齢にもよりますが、自分がストレスを抱えているということを認識できなかったり、どのようなストレスなのかということが分からなかったりして、それを誰かに話すということもできなかったりします。発散の仕方が分からないまま体の具合を悪くしたり、理由なく暴れるようなケースが増えたりします。震災後の宮城県の不登校の子供の割合は、震災後、全国より伸びが大きく、長期的に影響が出ています。
そこで、教育長に伺います。
これらの心理的影響を乗り越えていくには、いつもに増してその場の心のケア、心の傷の進展予防、トラウマの治療とステップを踏んだ対応が必要になりますが、どのようなアドバイスを現場に届け、心のケアの対応を行っているのでしょうか、お答えください。
次に、エ、今後の休校の考え方について伺います。
ここまで述べてきましたように、休校になると大変な負荷が子供にも、先生にもかかります。まだこのウイルスの情報が薄かった第1波においては、学校も経済も行動抑制で感染拡大を制御するというのもやむを得なかったかと思いますが、検査体制が拡充する中では、疑い例を保健所の指導でしっかり検査して、学校外での待機、療養をし、感染の可能性のない児童生徒、職員はそのまま学習を続ける。つまり、なるべく休校にしないということが可能になると思います。学校現場における今後の休校判断の方針について、教育長、お答えください。
教育についての最後に、オ、市町村教育委員会への全体的な支援について伺います。
本当にこの新型コロナ対策は、全ての分野の皆さんの行動に行政の決定が関わってくる、今までにない事象になっています。さらに、行政の決定は一度だけでなく、刻々と変わる感染状況に応じて新たな決定が出てまいります。膨大な通達が文科省から出てきても、それらを的確に読みこなして各校での実践に結びつけるには、あまりにも大きな苦労があります。
ついては、ぜひ県教育委員会が分かりやすい形で通知内容を各市町村教育委員会に伝えること、これは文書に限らず必要なら時には電話等による解説付きで大事なところがしっかり分かって、ミスなく現場が対応できるよう支援していただきたいと思います。一人一台のタブレット導入に当たっても、ネットワーク環境の拡充においても、市町村教委に対して積極的に県のほうからアプローチする支援があればと思います。陽性者が校内に発生した場合の各校や当該市町村における段取り、休校の判断などもサポートが必要です。教育長の御見解を伺います。

A  高田直芳 教育長

まず、「休校期間に行ったオンライン教育の内容と今後の方向性」のうち、オンライン学習に係る取組状況はどのようなものかについてでございます。
公立小・中学校では、メールによる課題の送信や授業動画の配信など、82.5%の学校が休校期間中に、家庭学習支援にICTを活用しておりました。
また、県立高校では、全ての学校で授業動画を配信するとともに、ホームページやメール等を活用して課題を配布した学校は91.8%ございました。
次に、教育現場の取組を県教育委員会としてどのように支援したかについてでございます。
公立小・中学校に対しては、ICTも含めた家庭学習支援の方法についての具体的な例を示し、市町村への支援を行ってまいりました。
また、県立高校に対しては、オンライン学習を円滑に実施するため、生徒用アカウントを各校に配布するとともに、取組の先行事例を広く紹介するなどの支援を行ってまいりました。
そのほか、動画の撮影や配信に不慣れな公立小・中学校や県立高校に対し、県立総合教育センターの職員が電話による相談や、求めに応じて学校を訪問し、技術的な助言を行いました。
次に、第2波以降、休校期間が生じることに備えるなら、双方向の授業ができる態勢が不可欠についてでございます。
第2波以降、休校等の措置が必要となった場合においても、生徒の学びを保障することは重要であると認識しております。
そこで、県立学校において、同時双方向型のオンライン学習が可能となるよう、新たな専用回線の設置等について、今議会の補正予算でお願いしているところでございます。
次に、県立高校において、予算が可決した後、実際に使えるようになるのはいつ頃かについてでございます。
予算をお認めいただき次第、速やかに契約手続を行い、10月頃を目途に工事に着手し、現時点では2から3カ月の工期の後、順次各校において使用が開始できるように準備を進めております。
なお、議員御指摘のとおり、第2波に備え、今後も様々な工夫をしながら、可能な限り1日でも早く運用できるよう努めてまいります。
次に、市町村におけるネットワーク環境の整備について、積極的に支援するべき、についてでございます。県では、市町村に対して、国のGIGAスクール構想に関する情報提供と整備のための相談に応じるとともに、インターネット回線の通信容量を拡大する際の、更なる財政的措置について国に要望してまいりました。
今後とも、市町村においてネットワーク環境の整備が進むよう、しっかりと支援してまいります。
次に、「習熟度の差を埋めるフォロー体制について」でございます。
今回の長期にわたる臨時休業を受け、学校再開後には、学習の遅れを取り戻すため、よりきめ細かい指導を実施する必要がございます。
そのため、学習指導員を配置するための補正予算を今議会にお願いしているところでございます。
学習指導員は、授業中や放課後などにおいて、ティーム・ティーチングや個別指導、補習課題の添削など、教員の指導の補助を行い、学びの充実を図ってまいります。
教員免許状の有無は問いませんが、教員経験者や、教員志望の大学生などを対象とし、採用に当たっては、能力や適性を確認することとしております。
予算をお認めいただければ、学習指導員を適切に活用し、子供たち一人一人の習熟度に応じた指導を充実させてまいります。
次に、「休校期間の子どもの心理状態のケアについて」でございます。
子供たちの中には長期にわたる臨時休業や新たな学校生活、学習等への不安からストレスを抱えている者もおり、安心で安全な学校生活のためには、心のケアが不可欠でございます。
心のケアは、学校のみならず家庭と連携した早期発見、早期対応が重要であると認識しております。
そこで、早期発見のため、県教育委員会では、学校再開に当たって、ストレスを抱えた生徒たちと向き合う際にチェックするポイントをまとめた教職員向けリーフレットを配付いたしました。
このリーフレットでは、子供たちの小さな変化を見逃さないよう、教員一人一人が自分自身の気持ちをしっかり落ち着け、子供たちをきめ細やかに観察することなどに配慮するよう指示しております。
また、子供の見守りに加え、保護者自身のメンタルヘルスにも御留意いただくよう、家庭向けリーフレットを配付し協力をお願いしたところでございます。
早期の対応を図るため、担任や養護教諭を中心に、子供の状況をきめ細やかに把握するとともに、教員間で情報共有した上で、組織的な対応を行っていくことが大切であります。
また、専門的なケアが必要なケースについては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等による教育相談を実施しております。
子供たちの不安やストレスにしっかりと寄り添い、臨時休業による心理的影響を乗り越えられるよう、引き続き、丁寧に取り組んでまいります。
次に、「今後の休校の考え方について」でございます。
県では、6月1日からの学校再開に伴い、児童生徒や教職員の感染が確認された場合の学校の臨時休業の考え方について、専門家から御意見を頂きまとめさせていただきました。
学校の休校に当たっては、特別措置法に基づくもののほか、感染症法、学校保健安全法に基づくものがございます。
学校では主に「感染症法」と「学校保健安全法」による措置が考えられますが、感染症法による措置については、保健所による調査の結果、同法の適用が適当と判断された場合に行われます。
また、学校保健安全法に基づく休業の検討に当たっては、感染者の校内での行動、接触者数、地域の感染状況、感染経路の4点を踏まえ、保健所の助言に基づき、県教育委員会が判断することとなっております。
実際の運用に当たっては、児童生徒の学習機会を確保するため、一律に学校全体を休業とするのではなく、学年や学級に限定するなど、感染拡大防止に必要な範囲としてまいります。
なお、市町村教育委員会に対しましても、県の考え方を示し、各市町村において、適切に対応していただくようお願いしております。
引き続き、児童生徒の安心・安全を最優先としながらも、可能な限り教育活動が継続できるよう細心の注意を払って進めてまいります。
次に、「市町村教育委員会への支援について」でございます。
県では、市町村立小・中学校の学校再開に係る課題について、教育長や校長会の代表との話合いの場を設け、課題解決の方策などについて説明するとともに、意見や疑問点について丁寧に聞き取りを行いました。
このことを踏まえ、段階的な学校の再開や、再開後の教育活動の留意点などをまとめたガイドラインやQ&Aを作成するとともに、その内容を適宜更新し、市町村に周知してまいりました。
また、議員御指摘のICT環境につきましても、文部科学省から直接聞き取った内容をもとにポイントを示して情報提供するなど、市町村が事務を進めやすくなるよう支援しております。
加えて、GIGAスクールの端末の調達に当たっても、共同調達の準備を進めるなど、市町村を支援しております。
今後も、市町村の立場に立った支援をスピード感をもって進めてまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。
  • 氏名の一部にJIS規格第1・第2水準にない文字がある場合、第1・第2水準の漢字で表記しています。 

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議会事務局 政策調査課 広報担当

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