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掲載日:2020年7月7日
Q 高木真理 議員(民主フォーラム)
感染爆発による医療崩壊を起こさないために何をやるのか。
外出自粛など人の移動や接触を抑制して封じ込めようとした第1波でしたが、こうしたやり方は経済や子供たちの学びに深刻な影響を与えました。そこで、第2波を迎えるに当たっての方針は、国も、本県も徹底的な検査でウイルスを隔離すると同時に、できる限りの日常生活を紡いでいくというものだということは、これまでの答弁を聞いていてよく分かりました。
さて、そうした中、やはり不安なのは、オーバーシュートが起きた際の病床確保です。
今回、自宅療養者が亡くなられたとの報道があった4月22日前後は、医療が逼迫し、最大で自宅待機者が337名と、正に全国から埼玉はどうしたのだとマイナスの注目を集めてしまいました。しかし、人口当たりの医師数が全国最低、人口当たりの一般病床数も全国最低の埼玉県にあっては、他都道府県に比べ比較にならない苦しい医療資源の状況の中、新型コロナウイルスの感染爆発という同じ闘いを強いられていたわけです。しかも、通常の医療では都内や群馬などにも高度医療を求めて患者の移動がありますが、新型コロナの陽性患者は県境を越えないことが前提のようになっています。軽症者は宿泊施設で療養していただく形で整備されていき、中等症以上の治療が必要な方の病床数は602床の確保まで対応が進みました。基礎的な病床数、医師数におけるこれだけのハンデの中では、本当にすごい関係各所の皆さんの努力の賜と思います。
しかし、この602床でも、ピーク時の病床数として3月に厚生労働省が出した埼玉県の目安、2,412床のうち、25%に過ぎません。2,400床は何も対策をしなかった場合の数字なので、現在、国で再検討が進められている病床数は、これより少なくなるであろうとも伺っています。しかし、602床で足りるというものではないと思います。既存の医療機関に受入れ拡大を更にお願いしているのかと思いますが、受入数を増やすにはコロナ以外の患者の入院を先延ばししてもらうなどの調整が必要です。しかし、今年4月の4年平均超過死亡数が埼玉県でも736人、14.4%のプラスになっていることに鑑みると、これ以上ほかの疾患のベッド数を奪うと、コロナ以外の死亡を増やしかねません。
そこで、伺います。
次の感染のピークに備えて、確保病床の拡大はどのように進める方針でしょうか。
私は医師数や一般病床数に埼玉県よりずっと余裕のある近隣都県に、そちらの感染者数が少なくて余裕がある場合には受入れをお願いする協力関係を事前に構築すべきではと思いますが、御見解を知事に伺います。
二点目として、医療機関への情報提供について伺います。
今回、発熱外来PCR検査センターが、郡市医師会の御協力の下、各地で運営される運びとなっております。それぞれの診療現場をお持ちの先生方が輪番で御担当いただけるとのことで、その御苦労に感謝申し上げます。
さて、この医師会運営の発熱外来PCR検査センターですが、各クリニックなどで診察を受け、検査が必要と判断された患者が検査してもらえる場所ということになっています。しかし、このセンターに患者を送るには、当該クリニックなどの医療機関とセンターの間に連携先登録が必要ですが、医師会に入っていないお医者さんには、こうした登録の必要性や自身のクリニックが紹介できるセンターがどこなのかという情報が届いていないのです。
新型コロナに関しては、このセンター以外のことでも、厚生労働省の通知や県内の患者の流れなど、医療機関に知っていただく必要のある行政情報が出ています。お医者さんは感染症の治療に関する医療情報などは各自で収集する術をお持ちですが、なかなか医療に関する行政の枠組みが、いつ、どう変わっているのか分からないというのが現状です。全医療機関に必要な情報を届ける術を構築するべきと考えますが、保健医療部長の御見解を伺います。
三点目として、そもそもの医師、病床不足の是正についてお伺いいたします。
今、コロナ禍の渦中にあっては、国に国内の医師、病床の偏在について根本的な対応策を真剣に検討してもらうことが難しいとは思いますが、このコロナ禍は同時に本県の置かれる医師、病床不足の現状がどのような悪影響を及ぼすのかを如実にあぶり出しました。しかし、この医師、病床不足はいずれも国がこれまで取ってきた医学部設置方針、医師の勤務地、診療科目の自由選択制度、基準病床数の運用の結果を大きく受けているものであることは言うまでもありません。もちろん、県独自でこれを補う方策を一所懸命進めていますが、国の進めてきた政策の大きな間違いがこのような形に出ているのだということを、この新型コロナは明らかにしたわけで、国に方向転換を大きく迫るべきと考えます。毎年の国への要望にも、医学部設置と病床数の弾力的運用について挙げてきていますが、今、この埼玉県が国策により苦しめられている現状をもって国を動かすべく、この問題を訴えていくおつもりがあるか、知事にお伺いいたします。
A 大野元裕 知事
まず、「新型コロナウイルス感染症第2波を迎える備えとして」のお尋ねのうち、「医療面について」の、次の感染のピークに備えて確保病床の拡大はどのように進める方針か、についてでございます。
議員お話しの約2,400床については、6月1日に会議を開催し、確保の対象となる医療機関の病院長などに具体的な割り振り案をお示ししております。
それを受けた各医療機関では、既に、院内でピーク時のシミュレーションを行うなど検討を進めていただいているところです。
この約2,400床は、中国武漢市の感染動向に基づき、外出自粛要請などの公衆衛生学的介入を行わない前提で、国が3月に示した患者推計を基にしています。
去る6月19日には再度、国から通知があり、日本国内での実際の感染動向を基に、外出自粛要請などの公衆衛生学的介入の効果を反映した、より精緻な推計の新たな考え方が示されました。
現在、これに基づき、ピーク時の患者数や、ピークに到達するまでの増加スピードを改めて見込んだ上で、段階的なフェーズを再設定し各フェーズの必要病床数を推計する作業を進めております。
この作業が終わり次第、専門家の御意見をいただいた上で、改めて病床確保の対象となる医療機関を集めて会議を開催し、具体的な割り振り案をお示しする予定であります。
そして、各地域の医療関係者などで構成する地域医療構想調整会議において、新型コロナの患者の受入れに伴うほかの診療科への影響や、それに伴う地域での役割分担について協議・調整を行ってまいります。
議員お話しの、近隣都県との協力関係の構築は、平時の医療充実の観点からも重要であると考えており、私の公約においても医療過疎地域での隣接県との連携強化を掲げ、取組を進めているところであります。
例えば、県北地域を中心に、年間3,000件を超える救急搬送を受け入れていただいている群馬県との間には、救急医療情報システムを相互に利用し、救急搬送に活用してまいりました。
搬送を担う消防からの評価も高いことから、今年3月からは千葉県、茨城県ともシステム連携を行っております。
さらに、群馬県との連携体制を強化するため、本庄保健所と群馬県の伊勢崎及び藤岡保健福祉事務所との間で、群馬県・埼玉県三保健所情報交換会を設置いたします。
情報交換会では、地域の保健医療体制の充実・強化を図ることを目的として、救急医療や災害時医療などを議題としていく予定であります。
こうした取組をさらに広げ、感染拡大時のコロナ患者の受入れについても円滑に行えるよう、近隣都県と顔の見える関係を構築してまいります。
次に、国策により医師・病床が不足している現状をもって、国を動かすべく問題を訴えていくつもりがあるか、についてでございます。
医師養成や病床数に関わる権限を国が有していることで、都道府県の責務とされている医療提供体制の整備が大きく制約されていることは、議員御指摘のとおりであります。
県はこれまで、県議会の御協力もいただきながら医学部の新設と、病床の確保について、国に対して様々な働き掛けを行ってまいりました。
この結果、基準病床数の算定方法の見直しの実現や、基準病床数の加算協議により、新たな病床の確保を図ってきたところです。
今回の新型コロナウイルス感染症対策の中でも、4月27日に西村経済再生担当大臣に対し、「新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要望」を行った際、本県の人口当たりの医師数や病床数が全国で最も少ない中で、医療現場がギリギリの努力を続けていることを訴え、支援を求めてまいりました。
さらに、5月15日に加藤厚生労働大臣に対して抗原検出用キットの優先供給を要望した際も、医療資源が限られた体制のまま、新型コロナウイルス感染症対策に向き合わざるを得ない厳しい現状を、強く訴えかけたところであります。
医療提供体制の充実は、「安心・元気の埼玉」の実現に向けた本県の重要政策であると考えております。
地域における医療提供に必要な医師・病床の確保に向けて、国に強く働き掛けを行ってまいります。
A 関本建二 保健医療部長
議員御指摘のとおり、診療に当たっている医療機関に必要な情報が行き渡ることは大変重要です。
現在、検査や治療に関する国や県からの通知文書については、埼玉県医師会又は管轄保健所を経由して全ての医療機関に周知をしております。
今後は、県ホームページの新型コロナウイルス感染症総合サイトに医療機関の皆様への情報を集約したページを新たに作成し、通知のみならず行政の動きなども含め必要な情報の提供に努めてまいります。
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