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掲載日:2022年10月13日
Q 江原久美子 議員(県民)
状況は落ち着いてきてはいるものの、まだまだ大変な重い状況の中で、そんな生活を余儀なくされ、さらに追い打ちをかける台風17号による被害が出ているようで、心が痛みます。被災された皆様が一日でも早く日常を取り戻せるよう、心よりお祈りを申し上げます。
一方で、今回の予想を超えた災害ではありましたが、結果として行政の後手後手の対応が、マスコミをはじめ既に数多く指摘されています。
大規模災害時には、被災市町村からの支援要請が基本です。もちろん被災状況にもよりますが、今回、小さな自治体ほど市民の対応に追われ、被害状況を把握できなかったり、そもそも通信網が断絶した被害地域からは被害の報告が出せなかったため、県の支援が受けられなかった事案が多数発生しました。そういった手が足りない自治体に対してこそ、県から手を差し伸べるようなプッシュ型の支援は必要だと考えます。
防災基本計画では、県の役割として、被災市町村の体制、資機材のみでは不足すると見込まれる場合に必要な支援を行うことが掲げられています。しかし、今回、病院用に保管していたとの報道もありますが、千葉県保有の備蓄品である非常用の発電機のうち、ほぼ半分にわたる250台は倉庫に眠ったままという事態が発生したように、県が保管していることが市町村に十分認識されていなかったため、結果的に市町村からの要請依頼がないことでこのような事態が発生してしまいました。
そこで、伺います。県の災害対応能力向上の観点からも、市町村が持っている備蓄品と県の備蓄品の把握が必要だと考えます。これは一方ではなく、相互に情報を把握し、共有していなければ意味がないと考えますが、県の現状について、危機管理防災部長に伺います。
これまでも日本全国で起きた災害は教訓にされ、全国各地で様々な対策や改善が図られてきました。阪神・淡路大震災では、倒壊の被害の大きさから耐震化が強化され、東日本大震災では、津波や水の恐ろしさが認識され、堤防や河川対策が行われました。埼玉県では、平成25年に発生した竜巻被害を踏まえて、県と県内全市町村共同による独自の人的相互応援制度を創設し、翌平成26年の大雪災害を契機に検討を始め、同年12月には地域防災計画に雪害対策を加え、バージョンアップしていることは高く評価しています。しかし、今までのいわゆる災害の種類によって対策を講じるだけではカバーし切れない被害が散見されるようになりました。
平成28年の熊本地震では、被災が長期化することによる、いわゆる関連死が問題となりました。関連死とは、災害に伴う過労や環境悪化などによる病死などで、内科的死因に基づく死と規定されています。熊本地震では、直接死は50人、災害関連死は215人と、何と全体の死者の80%が関連死という驚愕の事実が突きつけられ、近年の台風災害でも関連死が発生しています。災害が長期化することによって引き起こされる関連死のほうが圧倒的に多いといった課題が生まれているのです。
そこで、伺います。先ほど説明しました関連死対策こそ、今後の地域防災計画に盛り込むべきと考えますが、危機管理防災部長に見解を伺います。
また、関連死については、市町村の審査会がそれぞれ独自の基準で決定しています。地域の差が出ないよう、県として統一した一定の基準が必要だと考えますが、併せて危機管理防災部長に見解を伺います。
次に、地域防災計画の整合性について伺います。
埼玉県下の市町村は、それぞれ地域防災計画を作成しています。しかし、先ほど来お伝えしている大規模災害は広域にわたる被害であるとともに、今までは各市町村内で完結している現在の地域防災計画ではカバーできない状況が想定されます。
例えば、埼玉県で想定される洪水被害などで水没することが想定される自治体では、隣接の市に避難しなければならない状況が起こるでしょう。しかし、隣接市に避難する計画をしていても、当該隣接市はその計画自体を知らないので対応ができないといったことがないようにすべきだと思います。
また、地理的に当該市より隣接地に避難をしたほうが良い場合や、被災している市が被災していない市の避難所を造ることも想定されます。今までは各市町村で対応することが基本でしたが、これからは今述べたような新しい視点も必要だと考えます。そのとき、各自治体が作成した防災計画の内容について整合性を図り、調整をする必要があります。市域をまたいだ避難の可能性があるからこそ、県がその調整役をし、取りまとめるべきと考えますが、危機管理防災部長に見解を伺います。
もちろん、災害そのものやその後の対応について、丁寧できめ細やかな検証は必要です。今後検証結果も出てくるでしょう。菅原経済産業大臣が今回の停電を受けて、電柱の強度を見直すとの報道もあり、電力設備が大きく取り上げられていますが、電線の地中化を含めた電力設備だけでなく、森林管理やまちの看板類など、ほかの設備の強度も見直さなければ、効果が限定的になると思います。
最後に、検証結果を更に埼玉の地域防災計画に反映・改善していただくことについて、危機管理防災部長に見解を伺います。
A 森尾博之 危機管理防災部長
まず、県及び市町村の備蓄品の情報共有についてでございます。
県では毎年、市町村に対して、備蓄物資の調査を行い、その品目と数量を把握するようにしております。
一方、県が備蓄する食料や生活必需品、発電機などの主な防災用資機材について、地域防災計画の資料編の中で公表はしておりますが、十分に市町村と共有されているとは言い難い状況にございます。
県と市町村を結ぶ災害オペレーション支援システムに県の備蓄品の情報を表示し、しっかりと共有できるようにしてまいります。
次に、関連死対策を今後の地域防災計画に盛り込むことについてでございます。
大規模災害は、発災後、長期間にわたって生活基盤が麻痺することが予想されます。
議員御指摘のように、発災時には助かった命が避難に伴う身体的・精神的疲労や生活環境の悪化により関連死という形で失われてしまう恐れがございます。
現在、地域防災計画では、避難者の心のケアを含めた健康管理やプライバシーの確保といった生活環境への配慮などを定めております。
今後、例えばエコノミークラス症候群を予防する弾性ストッキングや段ボールベッドの活用など、関連死を防ぐ具体的な対策についても計画に盛り込んでまいります。
次に、関連死認定の県としての統一基準についてでございます。
関連死の認定につきましては、全国の自治体で共通する問題でもございますので、国において一定の基準を示すことが望ましいものと考えております。
今後、国では東日本大震災や熊本地震等の過去の災害関連死の認定例や、判例等を収集、分析し、整理した上で公表する予定と聞いております。
こうした国の動きも踏まえながら、市町村と意見を交換してまいります。
次に、各自治体の防災計画を県が調整することについてでございます。
平成30年7月豪雨では、倉敷市真備町の被害が甚大だったことから、隣接する総社市は市内の避難所に真備町の被災者を数多く受け入れたという事例がございました。
大規模災害に備え、市町村の区域を越えた対応も想定しておく必要がございます。
例えば、県内では、川島町は上尾市、桶川市、北本市の3市と災害時に避難所などを相互に利用する協定を締結し、地域防災計画に反映させております。
広域避難など市町村間での調整を必要とする場合、県としても積極的に関わり、それぞれの計画の整合が図られるようにしてまいります。
次に、台風15号に関する災害とその対応の検証結果を県の地域防災計画に反映、改善することについてでございます。
台風15号による記録的な暴風は、大規模停電や広範囲にわたる住家被害をはじめ、生活全般に深刻な影響をもたらしました。
今回の災害を通じて、多くの学ぶべき教訓があると考えております。
今後、国や千葉県による検証結果を本県の地域防災計画に反映させ、災害対応力の強化につなげてまいります。
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