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掲載日:2023年12月1日
Q 齊藤正明議員(自民)
物質的に恵まれていても、なぜか心が満たされない人がいる。仕事に追われ、自分を見失っている人もいる。政治、経済、教育と我々の抱える課題は多いが、外面ばかりにとらわれ、その根本にある大切な何かを見過ごしてはいないだろうか。物事を損得でしか判断しない風潮がとても目につきます。戦後教育の中で自己の権利を主張することばかり身に付け、他人に与えるということをおろそかにしてきたことに原因の一端があるのではないでしょうか。
今、心の教育だとか、豊かな心を育てるということが盛んに言われていますが、具体的にどうしたらいいのか誰も分からない。そういう教育をやろうという先生方自体が仕事にきゅうきゅうとして人生を豊かな気持ちで生きておらず、意見を述べても実践が伴っていないのが実情ではないでしょうか。
以前、福岡県のある中学校の男の子が亡くなったときの話です。仲間の良い友人たちは皆その子の葬儀に出席したいと考えていました。ところが、校長先生の考えはあくまで葬儀より授業優先で、とうとう生徒たちの出席を許可しませんでした。どうしてもその子を送ってあげたい、友人たちは彼の両親に連絡し、霊柩車が火葬場に向かう途中で学校に寄ってもらうよう頼みました。大勢の生徒が教室を抜け出し、校門でその子を送ったといいます。子供たちの純粋な友に対する気持ちの表れた行動でした。
別の中学校の話です。ある体の不自由な生徒がいました。体力も乏しく、学校も休みがちでした。心優しい友人たちに支えられて頑張り、卒業式の日を迎えることになりました。ところが、その晴れの日に体調がすぐれず、とうとう卒業式に出席することを諦めてしまいました。彼は寂しい思いをしながら、自宅のベッドで天井を眺めておりました。お昼時、不意に玄関のチャイムが鳴りました。母親がドアをあけてみると、そこには校長先生が卒業証書を持って立っていました。そして、「今からお子さんの部屋で卒業式をさせていただきたいのですが」とおっしゃるのです。友達も大勢来ていて部屋の中で彼を囲み、みんなで拍手をしながら校歌を歌ってくれたといいます。
以上、2つの話は、どちらも立場は同じ中学校の校長の対応の例でありますが、子供たちに与えた影響は天と地ほども違います。私は、この違いは2人の校長先生の心の豊さの違いだと思います。
教育的立場にある人間の考え方、価値観は、子供たちの一生を左右します。学校へ通う子供も、子供を学校へ送る親も、先生を選ぶことはできません。選ぶことのできない相手を務める人間は相当な覚悟で臨まなければ、人を良き人生にいざなうことはできないと私は考えます。教師になる資格は成績優先、手慣れた面接優先だけではない、もっともっと大事なものがあるのではないでしょうか。
教師のあるべき姿として教師の人間性に何を望みますか。そして豊かな心を育むために、教育長は生徒や先生に何を教えていきますか。
A 小松弥生 教育長
まず、教師のあるべき姿として、教師の人間性に何を望むかについてでございます。
教師の考え方、発する言葉、立ち居振る舞いの一つひとつが、子供たちの成長に大きく関わっておりますことは、議員お話のとおりでございます。
教師のあり方として、まず自らの信念や生き方を子供たちに示しつつ指導することにより、子供たち自身がどう生きていくかを考えさせるというものがあると思います。
一方、教師が先導するのではなく、子供たちが自発的に学ぶ場を巧みに設け、適宜適切に支援することで、自然に良い方へ導いていくという、そういうあり方もあると思います。
いずれのあり方であろうとも、最も大事なのは、教師と子供たちの間に温かい人間関係が築かれていること、教育者としての自覚を持ち、子供の立場に立って考えることである、というふうに思っております。
私は教師のあるべき姿として、その人がいることで子供に何かを感じさせられるような人柄であってほしい、自らの経験をもとに、思いやりの心や困難に立ち向かう勇気を伝えられる感覚を持ってほしいと願っております。
次に、豊かな心を育むために、生徒や教師に何を教えていくかについてでございます。
生徒の豊かな心を育むには、教科書を使って学ぶことだけでなく、学校行事など、教科以外の活動や学校の外での多様な体験を積みながら、多くの人たちとコミュニケーションを重ねることが重要であると考えます。
そのためには、教師自身も地域の活動に参加したり、スポーツ、文化活動を行ったりするなど、様々な体験をしながら豊かな人生を過ごすことが大切であることを伝えてまいりたいと思っております。
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