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掲載日:2023年12月1日
Q 岡地 優議員(自民)
私の地元桶川市には荒川左岸北部流域下水道の元荒川水循環センターがあり、埼玉県下水道公社北部支社が下水処理や施設の維持管理を行っています。私は東日本大震災の教訓を踏まえ、平成26年9月定例会で地震による災害に関し一般質問をいたしましたが、流域下水道の施設、設備を全て耐震化するには膨大な費用と時間がかかると承知しています。施設、設備の耐震化は、計画的に重要なものから順次進めていくのは当然のこととして、被災時の緊急的な対応や被災時の応急復旧対策の強化が重要との考え方に、今も変わりはございません。下水道は県民生活に欠かせない重要なインフラとして定着しており、朝、昼、夜いつでも利用できるのが当たり前の生活となっています。昨年4月の熊本地震で、私たちの日常は常に地震の脅威と隣り合わせであること、そして下水道は被災して使えなくなるまで、そのありがたさを忘れてしまいがちなことを再認識しました。
下水道局では、市町村や民間事業者と災害時支援協定を締結するなど支援による災害時の対策に取り組み、去る10月26日には業務継続計画BCPに基づき、県市町村の下水道公社、協定締結民間企業など500人以上が参加して実践的な訓練を実施しています。また、10月22日から23日の台風21号による水害の際には、下水道公社の北部支社が災害時復旧支援協定に基づき、包括的民間委託により民間事業者が管理している市野川水循環センターの排水作業を滑川町まで出動して支援したとも聞いております。
さきの一般質問では、元荒川水循環センターは、震災時の他県からの支援の受入基地としても適しており、被災箇所の早期復旧を最前線で指揮する防災拠点として整備するとの答弁がありました。
また、同センターではバイオマス発電の準備を進めているとの答弁もいただきました。バイオマス発電は地球温暖化対策や循環型社会の構築に寄与するものであり、その効果を疑うものではありません。しかしながら、流域下水道の受益者としては、流域下水道事業でバイオマス発電を実施するとなると、どうしても流域の市が負担する建設や維持管理の負担金など経営に与える影響を心配してしまいます。
本県の流域下水道事業は、県人口がピークを迎える中で事業着手から50年が経過し、施設の老朽化による修繕、改築、更新需要の増大など事業環境が大きく変化しております。適切な建設投資、能率的な事業運営には細心の注意を払う必要があるはずです。
そこで改めて、防災拠点整備の目的と進捗状況、並びにバイオマス発電導入に当たっての考え方、及び費用対効果等について、下水道事業管理者の御見解をお伺いいたします。
A 粟生田邦夫 下水道事業管理者
まず、「防災拠点整備の目的と進捗状況」についてです。
下水道事業では、設置者の対応能力を超える大規模地震等による災害の発生に備え全国的な災害時支援のルールが定められ、先の熊本地震では、国や九州の他県、山口県等から支援者が駆けつけています。
また、本県では、埼玉県建設業協会や日本下水道管路管理業協会などと下水道施設の復旧支援に係る協定を結んでいます。
下水道局では、今後30年間で発生確率70%以上とされる東京湾北部地震が発生した場合には、これらのルール等に基づき支援を受けなければならない事態が発生することも想定しています。
「防災拠点」は、これらの支援者が参集し、被災状況の把握や現場での業務・人員・資機材の割振り等を行うための「受入・活動拠点」として、桶川市にある元荒川水循環センターに整備するものです。
来年3月末までには、現場を統括するオペレーションルームや会議室兼支援者用執務室、事務用機器等の整備を完了させ、4月には初動対応等の業務を担う荒川左岸北部下水道事務所を行田市から移転する予定です。
次に「バイオガス発電導入にあたっての考え方と費用対効果」についてです。
下水道事業では、地球温暖化対策や再生可能エネルギーの利用促進、新たな収益源の確保などの観点から下水道資源の有効活用が大きな課題となっており、バイオガス発電はその対策の一環として導入するものです。
この発電は、汚泥を脱水し焼却する工程の前に近年の技術開発で実用化された消化タンクを建設し、発生させたバイオガスを燃料とするもので、平成31年度から元荒川水循環センターで開始する予定です。
導入に当たっては、議員からお尋ねの費用対効果について、バイオガス発電ありきの事業とならないよう、しっかり検討しております。
費用の面では、まず、施設の長寿命化と建設工事の効率性を考慮し、脱水機や焼却炉の耐用年数が経過し、改築が必要な処理場を対象にしています。
次に、従前のとおり脱水機や焼却炉を更新する場合と消化タンクを新設して更新を行う場合の建設費と20年間の維持管理費の見込額を比較し、県等の負担額がほぼ同額であると試算しています。
これは、ガスを発生させた分だけ汚泥の量が減り、脱水機と焼却炉のサイズをその分小さくできることや、ガスの一部で焼却炉の燃料を賄うことができるためです。
また、バイオガス発電そのものは、建設費の負担がなく、維持管理の負担や発電に伴うリスクも軽減できる民設・民営方式で行っています。
効果の面では、まず、発電事業者に対し年間で一般家庭約500世帯分・270万kWhの発電量に相当する再生可能な燃料としてバイオガスを供給し、売却収入約6,000万円を見込んでいます。
さらに、環境面では、焼却する汚泥の減量や焼却燃料を発生するガスで賄うことにより汚泥処理工程から発生する温室効果ガス排出量を年間で一般家庭約580世帯分・3,000トン削減できると見込んでいます。
下水道局では、今後とも新技術の開発動向を踏まえ、積極的に下水道資源の有効活用に取り組んでまいります。
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