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掲載日:2023年12月1日
Q 前原かづえ議員(共産党)
県民1人当たりの医師数は全国最低であり、その中でも北部医療圏や利根医療圏は、特に医師不足が深刻な地域です。党県議団は、10年前からこの点を指摘し、県立大学への医学部設置や医学生への奨学金創設などを提案してきました。県も積極的に医師確保対策を講じてきましたが、いまだに救急現場でのたらい回しは深刻であり、医師確保は今後も引き続き取り組むべき課題です。
NHKの「総合診療医ドクターG」を御存じでしょうか。意識がない、お腹が痛くて動けないなどの患者の症状や検査結果から、専門医の壁を超えた総合診療医のアドバイスで研修医たちが診断を下すクイズ形式の医療番組です。
急速な高齢化を迎える本県にとって、専門を超えた総合的な診療能力を有する医師の必要性が増しています。そこで、日本専門医機構が整備を進める新たな専門医制度について、総合診療専門医が創設されます。総合診療専門医の育成は、全県的医療課題の解決のためには不可欠だと考えますが、その育成の意義について、保健医療部長の見解を求めます。
総合診療専門医は、初期研修後、3年ほどの基幹病院と連携病院のプログラム研修の後、試験によって認定されます。日本専門医機構が認定する総合診療医プログラムにおいては、このうち6か月以上をへき地、過疎地域、離島、被災地、医療資源の乏しい地域での研修が条件とされており、本県の場合、へき地、過疎地域は秩父地域のみです。秩父地域で勤務研修を実施できる病院は5か所程度であるため、基幹病院からの連携申入れが殺到したら対応できません。受入れ地域が狭いので、研修応募者数も1次募集で埼玉県の定員39に対して1桁に過ぎないと聞いています。
本県の場合、医学生への奨学金制度で、秩父地域に加えて、熊谷や深谷市などを含む北部医療圏、久喜市などの利根医療圏、川越比企医療圏の一部を医師確保が必要な地域と指定しています。そのため県は、都道府県協議会として、今年10月に、研修を行う病院について秩父医療圏だけでなく、北部、利根、川越比企医療圏の一部も認めてほしいと、日本専門医機構に申し入れています。
そこで、知事、まず申入れについて、その後の状況を御報告ください。
また、総合診療専門医育成のために、これらの医療機関を研修プログラムにおける医療資源の乏しい地域として認めるよう、知事自ら日本専門医機構に申し入れていただきたいのですが、答弁を求めます。
A 上田清司 知事
本県は、人口当たりの医師数が全国で最も少なく、高齢化と医師不足という両方の課題を抱えているのは秩父地域に限った話ではございません。
このことから、医師不足対策として実施している奨学金貸与条例においては、秩父地域だけではなく北部地域や利根地域なども特に医師の確保が必要な特定地域と位置づけております。
総合診療専門医の研修先として、秩父地域に限ると5か所程度になりますが、北部地域や利根地域まで含めると13か所程度まで増えることが見込まれ、総合診療専門医の育成・定着につながるものと考えております。
このため、秩父地域のほか特定地域についても医療資源の乏しい地域として認めるよう埼玉県総合医局機構では検討し、日本専門医機構に対し必要な要望を行いました。
回答についてはしばしば催促していますが、いまだに日本専門医機構からの回答は得ておりません。このまま状況が改善されない場合には私自ら国に申し入れをしなければならないと思っております。
A 本多麻夫 保健医療部長
医学部を卒業し医師免許を取得した医師は、2年間の初期研修で基礎的な診療能力を身につけた後、専門医としてより高度な診療能力を身につけていきます。
これは、より高度化、専門化する医療技術に対応していくためであり、その結果、診療科の細分化が進み、医療はこれまで進歩を続けてきました。
一方、本県の今後の医療を考えていく上で、急速な高齢化や在宅医療ニーズの高まり、人口当たりの医師不足などが大きな課題となっています。
これらの課題に対応するためには、各専門診療科の垣根を越えて横断的に理解し見渡す能力や、その患者に適したオーダーメイドの質の高い個別診療を、地域において提供できる能力を持った医師の育成が必要です。
特に治療の選択肢が限られる場合には、医療の技術的な問題のほか、患者の気持ち、家族の状況なども考慮し、関係する他の職種と連携しながらその患者に最も適した治療方針や療養方針を提示できる能力が求められます。
このため、総合診療の専門医を養成し、県内各地域にバランスよく確保していく必要があります。
今後は、総合診療専門医が県内の必要な地域に確保されるよう育成、定着に向け、体制を整えてまいります。
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