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掲載日:2023年12月6日
Q 前原かづえ議員(共産党)
10月22日から23日にかけて、超大型の台風21号が県西部地域を中心に甚大な被害を発生させました。とりわけ、川越江川都市下水路の溢水によって、川越市寺尾地区とふじみ野市元福岡地区は、広範囲にわたる浸水被害になりました。両市合わせて床上浸水463件、床下浸水319件に上り、救命ボートで救出される住民が相次ぎました。
党県議団は、発災後直ちに地元市議団とともに現地調査を行い、「畳の張替えや壁の修理で200万円はかかる。わずかな見舞金ではとても直せない」など切実な声が寄せられ、被災者住民説明会では、川越市の危機管理対応に対して批判とともに、水没した車や家屋の修理費用について補償を求める声が相次ぎました。「車は2台を廃車に、10歳の孫は被災の恐怖感がストレスとなり、3日間は食事をとっても戻していた」と語る高齢者、「1か月余りもにおいが残り、2階での生活を余儀なくされていた被災者は、とにかく予想外の状態と出費で気持ちがふさぐ毎日だった」と語っています。
県は、23日午後3時頃に川越地区消防局から連絡を受け、ヘリを飛ばして現地の状況を確認したといいます。現地には、家や車が水に沈み、命の危険を感じながら救助を求めている人たちがたくさんいたわけです。
災害救助法施行令1条1項4号では、多数の者が生命又は身体に危害を受けるおそれが生じた場合、直ちに県が同号適用を決定すれば、床上浸水した半壊住宅へ最大57万4,000円相当の国・県の財政支援を受けられます。県は、寺尾、元福岡地区の被害の深刻さを認識した時点で同法を適用するべきでした。
私が国に申入れを行った際、内閣府の担当者も、「空振りを恐れず、積極的に4号適用するようにと県の担当者にも説明している」と述べていました。
そこで、知事に伺いますが、今回の台風21号の対応に当たって、2013年の竜巻被害と同様に、災害救助法の4号を適用しなかったのはなぜなのでしょうか。県が市と協力して、災害救助法適用に相当する独自の被災者支援を今からでも行うべきと考えますが、2点、知事の答弁を求めます。
災害救助法施行令1号では、10万人未満の自治体の適用基準は、人口規模に応じて5つの区分に分かれている一方、10万から30万人は1区分しかありません。人口11万余りのふじみ野市は、住宅滅失数にわずかに足らず、1号適用対象外でした。
そこで、10万人から30万人の住宅滅失数の基準を、人口規模に応じて更に細分化を国に要望していただきたいのですが、危機管理防災部長に答弁を求めます。
国の被災者生活再建支援制度は、主に大地震などによる住宅倒壊などの被害を想定したものです。県の生活再建支援制度も国に準じており、浸水被害の実態に十分対応できているとは言えません。大型台風や集中豪雨による水害が県内でも頻発している以上、浸水家屋への支援メニューを作るべきだと考えます。
県と市町村の生活再建支援制度は、もともと国の不十分さをカバーする目的で創設されたはずです。栃木県小山市の被災者住宅復旧支援制度のように、半壊や半壊に至らない浸水被害にも、埼玉県・市町村被災者安心支援制度を拡充すべきと考えます。
また、浸水被害について、浸水の高さによって全壊、大規模半壊、半壊と認定する基準を実態に応じて細分化するなど、支援対象拡大を国に要望していただきたいのですが、危機管理防災部長の答弁を求めます。
川越市の寺尾とふじみ野市の元福岡の浸水被害は、新河岸川の水位の上昇を受け、市街地側への逆流防止のために川越江川の水門を閉めたことで、行き場を失った雨水の溢水によるものです。川越市は今回の事態を想定せず、水門に排水ポンプを設置していなかったために被害を深刻にしました。川越市は今後、水門に排水ポンプを付ける計画とのことですが、排水ポンプや調整池の整備について、県も財政面、技術面で積極的な支援を行うべきです。
また、新河岸川の水位上昇の抑制のために、未整備区間の河川改修を積極的に推進すべきです。
以上2点について、都市整備部長、県土整備部長、お答えください。
A 上田清司 知事
今年、災害救助法の4号基準が適用された災害は、7月の九州北部豪雨だけでございます。
福岡県では朝倉市など3市町村において、住宅の全壊が268棟発生し、最大3,424人の避難者が最長144日間の避難生活を余儀なくされております。
いわゆる4号基準はこのように多数の方が命の危険にさらされ、更に避難して継続的に救助を必要とする事態を想定したものでございます。
今回の台風21号に際し、県では川越地区消防局から被害情報が入った後、直ちに防災ヘリを飛ばし、上空から現地の状況を確認いたしました。
併せて、川越地区消防局に状況を確認したところ、救助の見込みが立ったので広域応援までには必要ないとのことでございました。
さらに、現地に職員を派遣し収集した情報などから災害救助法が適用できないか詳細に検討をさせていただきました。
住宅の全壊世帯数などで判断する定量的な基準には該当しないこと、洪水の水位が下がり始め、避難所の利用者が徐々に減っている状況などから、災害救助法を適用する状況にないと判断をいたしました。
なお、避難所に避難していた方々も翌々日に全員退所しており、県や市が用意した公営住宅の申込みもありませんでした。
今後とも国や市町村と緊密に連携しながら、災害救助法の適切な運用に努めてまいります。
次に、災害救助法適用に相当する独自の被災者支援を今からでも行うことについてでございます。
県ではこれまで、ふじみ野市からの要請に応じてブルーシートと毛布をそれぞれ200枚ずつ提供しております。
また、県税の減免や金融機関が行う個人向け融資などの案内も行っております。
議員御提案の独自の被災者支援制度の創設については、本県では既に県と市町村が共同で運営する独自の埼玉県・市町村生活再建支援金の制度がございます。
この制度の見直しについては市町村の御意見等協議が必要でございますので、こうした議論があったことをしっかりお伝えしながら、市長会、町村会の御意見をしっかり踏まえたいと思います。
A 槍田義之 危機管理防災部長
まず、災害救助法における住家滅失数の基準の細分化を国に要望することについてでございます。
最近、全国の防災担当部長にお会いすると、真っ先に水害対応の話になり、全国各地で水害対応に苦慮していることを痛感します。
このため、まず、都道府県消防防災・危機管理部局長会などの場で、災害救助法も含めた被災者支援のあり方について議論してまいりたいと考えています。
次に、半壊や半壊にいたらない浸水被害にも埼玉県・市町村生活再建支援金を拡充することについてでございます。
本制度の対象を床上浸水などまでに広げることにつきましては、昨年の台風9号を受け、共同で運営している市町村に見直しの意向を伺いました。
その結果、見直しに賛成する市町村はわずかでありましたため、昨年度は制度の見直しを見合わせることといたしました。
しかし、本県ではここ数年台風による被害が続いていることから、制度の見直しについて改めて市町村の意向を伺いながら、検討してまいりたいと考えています。
次に、被害認定基準を実態に応じて細分化するなど、支援対象拡大を国に要望することについてでございます。
住家の被害認定は、罹災証明書を発行するために、国が定めた基準に基づき市町村が実施するものでございます。
このため、まずは県内市町村と現行基準の課題や改善すべき点について意見交換を行ってまいります。
そのうえで、基準の見直しや支援対象の拡大が必要となれば、国への要望について検討してまいります。
A 野川達哉 都市整備部長
川越江川の整備につきましては、すでに、管理者である川越市及びふじみ野市と今後の対策について、協議を開始しております。
両市においては、今回の災害の検証を行ったうえで、必要な事業の計画を策定すると伺っております。
県といたしましては、このような市の取組について、効果的な計画策定ができるよう、また事業に当たっては、円滑に国の交付金が活用できるよう、積極的に支援を行ってまいります。
A 西成秀幸 県土整備部長
新河岸川については、朝霞水門から不老川合流部までの延長約16.3キロの整備が概ね完了しております。
未整備となっている都境から朝霞水門までの約2.6キロメートルのうち、都境から約1.5キロメートル区間の整備を重点的に進めております。
更に、新河岸川上流部の流下能力を高め、都市下水路の川越江川から新河岸川への排水がスムーズになるよう、新河岸川放水路の渋井水門の改修について検討をしてまいります。
再Q 前原かづえ議員(共産党)
台風21号の災害対応と被災者支援ということで、知事のほうからお話がありましたが、市町村会で検討するに当たって、制度の拡大と重要な活用について市町村会で検討するというふうにおっしゃっていますけれども、やっぱり県としてこういう考え方を持っている、こうだけれどもどうだという形で積極的にお話ししていただきたいと思うんですね。
12月4日にふじみ野市長さんと川越市長と、台風災害に対する要望書を提出するときに、該当する県議、私も同席させていただいたんですけれども、そのときに知事さんは、床上浸水といっても、結局そこで、断熱材が水を吸い込んで上までいっちゃうと、結局は壁を剥がさなくちゃいけないし、だからそういう意味では大変な被害になっていると、壁全体を取り替えなくてはならないという事態になると。畳だとか床だけの問題で終わるものではないというふうに被害状況を把握されておりましたので、それであればなおのこと、ただ市町村会に投げ掛けますということではなくて、自分としてはこうしたい、こうすべきだということを言っていただきたいと思うんです。
住宅応急処理費用などの補助が受けられるように、本来なら災害救助法の適用を県が見送ったわけですが、現行の支援制度の活用はもとより、それから新しく制度を作るなど、県の被災者支援の責任を果たしていただきたいと思いますので、もう一歩踏み込んだ形で御答弁願いたいと思います。
再A 上田清司 知事
川越市長とふじみ野市長がお訪ねされた時の私の対応の中で、被害の認識についてきちっと把握をしていたということについての評価、ありがとうございます。
一方、市町村とは昨年の段階でもこの話が出ておりました。
御案内のとおり、比較的、西部ブロックや北部では高台の市町村が多く、浸水被害がほぼない状況の中で、こうした浸水被害に重点化した形での新しい仕組みづくりについては、大方が否定的でございました。
その方々にも、負担をお願いするという形になってしまいますので、今回、やはりこういうことがまた起きているということも含めて、再度、市長会、町村会にも、お願いをしなければならないということで、私自身の取組の方向性については、申し上げたつもりでもございますので、御理解を賜りたいと思います。
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