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掲載日:2023年12月6日

平成29年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(杉島理一郎議員)

 要介護度改善モデル事業の問題点について

Q 杉島理一郎議員(自民

介護保険は、利用者の要介護度が改善をすると介護報酬が減ってしまうため、自立支援や重度化予防に取り組むいい事業者ほど経営が苦しくなってしまうという矛盾を抱えています。そこで、本県では昨年から、4つの市町で、介護度が改善をすれば事業者にインセンティブとして報奨金を支給するという要介護度改善モデル事業を実施しております。私は、かねてよりこの制度の先行自治体を研究してきたため、本県の制度では課題が多いと感じておりましたが、さきの定例会で菅原議員の質問に対し上田知事は、このモデル事業の成果を絶賛され、このまま全県展開を図っていくような答弁でありましたので、今回もまた、知事肝いりのモデル事業が全県展開で失敗しないよう、提言も含めて5点質問させていただきます。
1点目の問題は、本県では対象をデイサービスに限っているため、利用者の状態改善のみを評価している点です。本来重要なのは、重度化しないための取組であり、評価するべきは、改善だけではなく、維持改善であります。そこで、全県展開するに当たって、事業要綱の趣旨を維持改善に改めるとともに、介護サービスの対象を広げて、維持に対しても評価する制度にできないか、お伺いします。
ちなみに、川崎市では全ての介護サービスを、神奈川県ではデイ以外にも訪問や入所、居住系を対象にしています。介護サービスがどれだけ要介護度の改善に寄与したかという因果関係の証明が、この事業の課題とされておりますので、少なくとも24時間そこにいる特養や有料ホームなどの施設系介護は対象に含めるべきだと考えますが、見解を伺います。
2点目の問題は、要介護度の改善した人数だけを評価指標としている点です。他県の先行事例では、職員研修、チームケア、医療機関連携など、サービスの質向上に向けた総合的な評価でランキングを付けています。なぜならば、要介護度の改善人数だけを見て報酬を与えれば、改善が見込めるような人だけを受け入れる、そんな利用者の選別をする事業者が出てくるからです。また、モデル結果でも明らかなように、介護の卒業まで進んでいる和光市などでは改善率が低くなってしまい、制度的に報われません。本県は、先行事例を研究していないのでしょうか。どうもモデル事業の成果が出やすい制度設計になっている気がしてたまりません。そこで、なぜあえて指標を単純化したのか、総合的な評価の指標を入れるべきでないか、見解を伺います。
3点目の問題は、報奨金の金額と配分方法についてです。神奈川県は、上位20事業所に一律100万円の報奨金を交付しています。また、川崎市では5万円、品川区では2万円を、成果のあった事業所全てに交付しています。一方、本県では、参加事業者数掛ける0.4掛ける40万円を市町村ごとに交付し、配分は市町村に任せる方式をとっています。そこで、この0.4という係数と40万円の金額の根拠は何か。全県展開で参加事業者数が増えても、この計算式で交付をするのか、その際の予算規模はどれぐらいと試算されているのか伺います。
4点目は、全県展開した際の集計方法について、先ほど取り上げた国保データシステムの介護情報を活用して、要介護度の改善を事業所単位で簡単に把握できるシステムの構築ができないか、お伺いします。また、総合的な評価を入れた際には、その指標もデータベースでの運用ができるように整備できないか伺います。
5点目に、現在、国としては国保と同様に介護保険の仕組みにもインセンティブを付与する制度改正に向けて動いております。そこで、もしこれが試行された場合、要介護度改善事業はどうなるのか。介護保険自体の制度としてインセンティブ制度が導入をされても、県単独で介護事業所へのインセンティブ事業を続けていくつもりはあるのか伺います。

A 田島   浩   福祉部長

まず、事業の趣旨を「維持・改善」に改めるとともに、事業の対象を広げることはできないかについてでございます。
事業者が行う要介護者の自立に向けた取組を支援する自治体が増えており、デイサービスだけを対象とするところや特別養護老人ホームなど施設を含むところもあります。
事業の目的については、要介護者の状態の改善のみとする自治体や、状態の維持を含めるところもございます。
要介護者の自立の支援については、全国的に軽度の方の状態を改善する取組に力を入れる自治体が多くなっております。
このモデル事業は、こうした全国の取組を参考として、軽度の方の状態を改善することを目的にしており、軽度の方が多く利用するデイサービスを対象としました。
また、なぜ指標を単純化したのか、総合的な評価の指標にすべきではないかについてでございます。
事業所の評価については、複数の指標を用いている自治体もありますが、利用者のうち要介護度が改善した割合だけを指標としているところもあります。
本県では、客観的で分かりやすくするため、数字で表せる要介護度の改善率を指標としております。
このモデル事業については、来年度から全県で展開していきたいと考えております。
このためモデル事業の結果を踏まえて事業内容を見直すこととしておりますので、議員お話の状態に維持を加えることや対象施設を広げること、総合的な評価の導入についても、検討してまいります。
次に、報奨金を支給する事業所の割合と金額の根拠は何か、全県展開でもこの計算式で交付するのか、予算規模はどれくらいを想定しているのかについてでございます。
報奨金を支給する事業所の割合については、幅広い参加と積極的な取組を促すため、参加事業所全体の上位4割としたところです。
また、報奨金の額については、標準的なデイサービスの事業所で2割の方の要介護度が一段階改善したと想定した場合の減収額の半額である40万円を基準としています。
この事業を全県展開した際の、報奨金の算定方法や予算規模などに関しては、現在、来年度予算に向けて検討を行っているところです。
次に、要介護度の改善が事業所単位で分かるようなシステムの構築はできないか、また総合的な評価を取り入れた際はその指標をデータベースで運用できないかについてでございます。
今年度、県国民健康保険団体連合会が保有する介護給付の情報をもとに要介護度の改善に関するデータを分析するシステムの構築を進めているところです。
このシステムは、議員お話の要介護度の改善が事業所別に分かるものとなっております。
また、指標のデータベースでの運用については、モデル事業の結果を踏まえて事業内容を見直す際に、併せて検討してまいります。
最後に、介護保険自体にインセンティブが導入されても、県単独で介護事業所へのインセンティブ事業を続けていくのかについてでございます。
現在、国では自立支援に取り組む事業所へのインセンティブを与える制度の検討を進めていると聞いておりますが、まだ具体的な内容は明らかになっておりません。
このため、県単独の事業所へのインセンティブについては、国の制度を踏まえて検討してまいります。

再Q 杉島理一郎議員(自民

軽度の改善だけを目的として、改善だけに焦点を絞ったほうが分かりやすいので、今回はデイサービスだけに絞って、その改善だけを指標としたという答弁でありました。しかしながら、これから全県展開をするというつもりであり、その中でこれから制度設計はまた見直しをしていきたいという答弁でありました。そうすると、このモデル事業というのは何のためのモデル事業なんでしょうか。全県展開が決まってから制度を変えていくとすれば、そのモデル事業の効果検証というのは必ず数値が変わってしまいます。金額にしても、その対象にしても、その入れるべき制度でモデル事業をやって、成果があったから初めてその制度を本格導入するのではないかと思いますが、その点について福祉部長の見解を伺います。

再A 田島   浩   福祉部長

このモデル事業は今年度で終了し、来年度はこの事業を全県に広げていきたいと考えております。
このためモデル事業の結果を検証し、モデル事業で問題点や不都合な点がないかを検討し、事業を見直すということはありうるものと考えております。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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