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掲載日:2023年7月4日
Q 宮崎栄治郎議員(自民)
近年、交通死亡事故全体の件数は減ってきておりますが、高齢者ドライバーによる事故の割合は増え続けています。しかし、高齢になっても生活するために車の運転が必要不可欠な状況に置かれていることも事実でございます。
こうした中、昨年10月に横浜で集団登校していた児童の列に軽トラックが突っ込み、小学生を含む8名が死傷する大変痛ましい事故が発生しました。自動車運転処罰法違反の疑いで逮捕された88歳の男性については認知症の疑いがあり、鑑定留置の後、横浜地検が処分保留で釈放し、最終的に不起訴処分となっています。報道によると取り調べの中で男性は、どこをどう走ったか覚えていないと供述しており、これまで運転をやめるよう家族から注意されたことも、また認知症の通院歴もなかったため事故の発生を予見できなかった可能性が高いとのことでありました。この事件の約3年前の平成25年11月の運転免許更新時に受けた認知症機能検査では異常が認められず、免許は更新されたといいます。認知症の進行状況は個人差があり、急に病気が深刻化する例もあると聞きます。こうした事例からも、免許更新時の3年ごとのチェックだけでは不十分だと考えます。
そこで、県警察として、身体機能や認知症の低下の疑いのある運転免許保有者を早期発見する対策はどのようにしているのか、警察本部長にお伺いします。
また、これらの対策について警察のみで対応するには難しい面があると思いますので、関係機関や団体の協力を得ながら、認知症高齢者を見落とさない対策をとる必要があると考えます。例えば、具体的に免許の自主返納を促すため、社会福祉協議会や地域の高齢者の生活状況をよく知る民生委員との連携を検討してはいかがでしょうか。地域ぐるみで高齢者本人を傷つけないようにチェックなり、診断を受けていただき、高齢者の事故を未然に防ぐ方法等は考えられないか、県民生活部長の御所見をお伺いします。
A 鈴木三男 警察本部長
県警察として身体機能や認知機能の低下の疑いのある運転免許保有者を早期発見する対策についてお答えを申し上げます。
まず法制度に基づくものから申し上げますと、道路交通法に基づき、70歳以上の方に対しては、3年毎の運転免許証更新の際に、高齢者講習を実施し、運転適性検査器材や実車走行により加齢に伴う身体機能の低下が運転に及ぼす影響を自覚していただきながら、安全運転の指導を行っており、また、その際、75歳以上の方に対しては、議員御指摘のとおり、認知機能検査を実施しているところであります。
本年3月12日、改正道路交通法が施行され、この認知機能検査において、認知機能が低くなっていると判定された方については、改正前とは異なり、違反行為がなくとも医師の診断を受けていただくこととなりました。
また、75歳以上の方が一時不停止や信号無視等一定の違反行為をした場合には、臨時の認知機能検査を実施することとなったところであります。
これにより、認知機能等の低下した方を発見する機会が増えることとなりました。
また、こうした法制度に基づくもののほか、実車による体験型の交通安全教育により、身体機能や認知機能の低下の自覚を促す「シルバー・ドライバー・ドック」を実施しているほか、昨年からは、NPO法人が作成した「運転時認知機能障害早期発見チェックリスト30」を活用し、高齢者自身に認知機能等の低下に気付いてもらう取組を行っているところであります。
このほか、迷い人の保護、事件・事故の取扱、家族からの相談等の各種警察活動を通じ、身体機能や認知機能の低下の疑いのある運転免許保有者の把握に努め、そのような方を発見した場合には、医師の診断を受けるよう求めております。
さらに、埼玉県トラック協会や埼玉県乗用自動車協会、埼玉県新聞販売店組合等7団体と協定を締結し、認知症が疑われる路上徘徊者等を発見した場合の110番通報や保護措置を要請しているところであります。
今後も、関係機関・団体とも連携を図りながら、身体機能や認知機能の低下の疑いのある運転免許保有者の早期発見に努めてまいります。
A 稲葉尚子 県民生活部長
高齢者の事故を未然に防ぐ方法などは考えられないかについてお答えを申し上げます。
議員お話しのとおり、高齢運転者の交通事故を防止するには、運転免許の自主返納や地域ぐるみで認知症高齢者を見落とさないための未然防止対策が重要であると考えております。
県では、平成28年度から「埼玉発・高齢者安全運転推進プロジェクト」事業を立ち上げ、高齢者御自身に現在の身体機能や認知機能を客観的に実感してもらい安全運転を促す様々な取組をはじめたところです。
これまで県内各地において、約2,700人の方を対象に参加型の講習会を開催し、タブレット端末による視野の狭まりの体験や動画シミュレーターによる危険予測のトレーニングなどを実施しております。
このほか、県内119か所の老人福祉センターや249か所の地域包括支援センターにおいて、研修を受けた職員が施設を訪れた高齢者に安全運転の啓発を行っております。
また、民生委員や交通安全母の会に御協力をいただき、平成28年度は延べ約104万の高齢者世帯を訪問し、身体機能や認知機能を確認する「ドライバー危険度チェックシート」により注意喚起も行っております。
今後は、運転に不安を感じる方が自主返納を考える際などにアドバイスも必要とされていることから、総合的な相談体制の整備も進めていきたいと考えております。
県警察や市町村をはじめ高齢者と関わる各地域の関係機関と協力しながら、高齢者の事故を未然に防止するための対策をしっかりと講じてまいります。
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