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掲載日:2020年7月8日
Q 金子正江 議員(共産党)
2018年度から県が国民健康保険の保険者となり、市町村の国保行政を統括監督する仕組みが始まります。国民健康保険法第1条には、「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と、国保が社会保障であることを明確に述べています。
知事にお尋ねしますが、国保の都道府県化に当たって、知事会が国費1兆円の投入を求めました。これは、社会保障にふさわしい国の責任を求めたことにほかならないと考えますが、いかがでしょうか。
1兆円の国費投入は実現しませんでしたが、毎年度3千400億円の投入を約束したとされています。これで知事は十分とお考えでしょうか。2点、知事の答弁を求めます。
県は3月に、国保事業費納付金及び標準保険税額の第2回シミュレーションを発表しました。この標準保険税額は、28年度比で全県平均で1.4倍か小鹿野町で2.06倍、蕨市1.86倍、戸田市1.83倍など余りにも大きく、自治体と住民に衝撃を与えています。国保では、加入者は低所得者なのに保険税は高いという国保の構造的矛盾が深刻です。年金生活者などの無職と非正規労働者などの被用者が、合わせて国保世帯の八割近くを占めるようになっています。加入世帯の平均所得は130万円台です。仮に第2回のシミュレーションのような国保税の値上げをしたら、滞納が更に増え、制度そのものが破綻するのではないですか。新制度に当たって国保加入者の負担増は許されないと考えますが、どうか。
また、県も責任主体として、法定を超えて応分の財政支援をすべきと考えますが、以上、保健医療部長、お答えください。
県国保運営方針では、市町村法定外繰入れを赤字として、その解消を強調しています。市町村の法定外繰入れについて、解消すべき繰入れ、続けても良い繰入れに分けています。2015五年度、全県の市町村が行った法定外繰入れは375億円、その約8割が解消すべきとされています。この繰入れ解消計画が実行されれば、全県で国保税の更なる引上げが起こることは明らかです。保健医療部長、市町村の法定外繰入れは、市町村の判断を尊重すべきと考えますが、御見解をお示しください。
高い国保税が払い切れない滞納世帯が2016年6月現在、埼玉では約116万世帯の17.9パーセント、20万7千世帯に上ります。短期被保険者証交付世帯は約3万世帯、保険証が交付されない資格証明書発行世帯が1千500世帯です。保険証がないため受診せず、受診したときには既に手遅れという悲劇が全国でたびたび起きています。県内では絶対にこんな悲劇を起こさせないよう、資格証明書の発行をやめる指導をすべきです。保健医療部長の答弁を求めます。
A 上田清司 知事
知事会が国費1兆円の投入を国に求めたことは、社会保障にふさわしい責任を国に求めたものかについてでございます。
全国知事会としては、国の定率負担の引上げなど様々な財政支援の方策を講じ、今後の医療費の増大に耐え得る財政基盤の安定化を図るよう国に要望をしております。
御質問の「国費1兆円」は、全国知事会の社会保障常任委員会委員長の福田(ふくだ)富一(とみかず)栃木県知事の発言と聞いております。
福田知事は平成26年7月の自民党の社会保障制度に関する特命委員会において、国保の財政基盤を強化するために必要な財政支援の1つの試算として例示した、このような旨を聞いております。
私は国民皆保険の趣旨に照らすと、本来医療保険はナショナルミニマムとしての国が一括して運営すべきものだということはこの議場でも何回か申し上げたことがございます。
今回の国保制度改革はその第一歩であり、少なくとも国の責任において安定した財政基盤を確立させる必要があると思っております。
そういった意味では、この発言は国に役割をしっかり果たすように求めたものであると考えております。
次に、国民健康保険に対する公費投入が毎年度3,400億円では十分と考えるかについてでございます。
国と地方の協議により決定した国保に関する公費投入は、国保の財政基盤の強化に一定の役割を果たすものだと考えております。
しかし、国民健康保険は低所得者や医療ニーズの高い高齢者が多いなどの構造上の問題を有しております。
平成27年度決算においても3,400億円を上回る赤字補填(ほてん)が行われているのが現状でございます。
今後、県は国保の財政運営の責任主体となることから、赤字削減に向け市町村と共に収納率向上や医療費適正化に、より一層取り組んでいかなければならないと考えております。
一方、国に対しては、国保を持続可能なものにするための制度の見直しや財政基盤の強化について強く求めてまいります。
A 本多麻夫 保健医療部長
まず、新制度にあたっての国保加入者の負担増についてです。
制度改革により、来年度から市町村国保は県と市町村による共同運営となります。
新制度では、市町村は県に納付金を納め、県は市町村に対して保険給付に必要な額を全額交付金として交付いたします。
保険税については、市町村が、県が提示する標準保険税率などを参考にして、地域の実情に応じて決定することとなります。
納付金制度の導入により市町村ごとの納付金額に増減は生じますが、この制度改正により県全体の国保の医療費の総額が大きく増えることはないと認識しております。
制度の改正に伴う被保険者の負担増は可能な限り避けることが望ましいものと考えておりますが、一方、新たな制度では、県は、持続可能な安定した財政運営を担っていく責務を負うこととなります。
御指摘の国保加入者の負担への影響については、そうした視点から総合的かつ慎重に検討していく必要があると考えておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
次に、県の市町村国保に対する法定外の財政支援についてです。
県は法定の財政支援として、市町村に対して財政調整交付金などで平成29年度は総額約584億円の負担をする予定です。
このうち、低所得者対策として保険税軽減のために約117億円の支援を行うこととしております。
県として、これに加えて市町村国保に対する法定外の財政支援を行うことは考えておりません。
なお、国保財政の安定化には、支出を抑えることも重要です。
このため、県では糖尿病性腎症重症化予防事業や健康長寿埼玉プロジェクトなど、医療費の増加抑制に取り組む市町村の支援をしてまいります。
次に、市町村の法定外繰入れは市町村の判断を尊重すべきについてです。
県は市町村に標準保険税率を示しますが、保険税率は最終的には市町村が決定することとなっております。
法定外繰入れについては保険税率と密接な関係があることから、市町村の判断によるものと認識しております。
なお、安定的な財政運営のためには、国保特別会計における収入の確保や支出の削減に努め、バランスよく財政運営を行うことが必要です。
県としては法定外の一般会計繰入れは健全な財政運営の視点からは望ましくないと考えております。
次に、資格証明書の発行をやめるよう指導するべきについてです。
資格証明書は、保険税を納付できない特別な事情がないにもかかわらず滞納している方に対し、納付相談の機会を確保するために交付しています。
事業の休止や廃止、病気など、保険税を納付できない特別な事情がある場合には、分割納付の相談や税の減免など個々の状況に応じた対応をしています。
県としては、納付相談の機会を十分に確保し、適切な対応が行われるよう、引き続き市町村に対して、研修や実地指導等を行ってまいります。
再Q 金子正江 議員(共産党)
今、御答弁をいただきました。そして、この制度が新しい制度になった場合、公費の投入も行われますけれども、市町村がこれまで行ってきた赤字解消のためのいわゆる独自繰入れが削減、解消されてしまうということでありますと、やはり国保の構造的な矛盾は改善されないというふうに思うんです。
それで、もう一度お伺いしますけれども、市町村の一般会計からの繰入れ、いわゆる法定外繰入れを行ってきた市町村に対して、これは先ほど保険税のことでは、市町村の判断に委ねるという最終的にはそうなんだというふうなお話でしたけれども、この辺の繰入れの問題についても市町村の判断を尊重するということで良いのか、その点について再度確認をさせていただきたいというふうに思います。
それから、同時に、先ほど県のほうでは負担軽減のために117億円予定しているという御答弁でした。実施主体が県というふうになるのであるならば、やはり県がしっかりとした財政支援をして、シミュレーションによりますと、全体的に引き上がるということで、このシミュレーションを見た加入者は大変心配しているわけです。そういうところでも、国保加入者のいわゆる財政的な、ぜい弱なそういう基盤からいえば、加入者のこれ以上の負担をしてはならないというふうに思うんですけれども、その辺について、やはり県が実施主体としての責任を果たすべきだと思いますけれども、再度、御答弁お願いします。
再A 本多麻夫 保健医療部長
まず1点目、市町村の法定外繰入れは市町村の判断を尊重するかについてでございます。
法定外繰入れについては、地域の実情に応じて、市町村が、県が提示する標準保険税率を参考にして、判断するものと考えております。
2点目、県が財政支援を行い、実施主体としての責任を果たすべきについてでございます。
被保険者の負担増は可能な限り避けることが望ましいものと考えておりますが、持続的な安定した財政運営を担っていく責務がございますので、そうした視点から総合的かつ慎重に支援してまいりたいと考えております。
なお、県として法定外繰入れを行っていく予定はございません。
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